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78話

 突然魔界を助けて欲しいと、かしずく悪魔たちに僕は、困惑をかくせないでいた。

 悪魔と言えば嵐と共にやって来て瘴気をまき散らし作物を枯らすのがゲーム内の設定だった。

 しかし現実はエネルギーを魔界に送るために地上に出てくることがわかっている。

 その悪魔が今、僕の目の前で傅き助けを求めている。

 うん、意味がわからん。

 はっきり言って、迷惑しかかけられていない。


 「ユキ様に取ってはご不快な事は承知しております。ですが、我々が生き残るにはもう、世界樹の化身であるユキ様に頼るしか無いのです」


 「悪いけど、そう簡単には信じられない」


 「ならばこの命を今ここで絶てば信じていただけるしょうか。ただし、1人は魔界にお連れするのに残して欲しいのです」


 そこまでの覚悟があるのか。


 「そこまで、してまで魔界を助けたいのか?」


 「魔界の住人の命がかかっておりますので」


 「ふぅ、分かった信じよう」


 「旦那様!あまりにも危険です!」


 とミントが心配してくれる。


 「大丈夫だよミント、こいつらは信用できる気がする」


 「信用して頂きありがとうございます」


 「で、なんでまた、僕が必要なのか説明してくれる?」


 「口で説明するより、まず魔界を見ていただければわかりやすいと思います」


 「じゃあ、メンバーを決めて、そちらに行く準備をするから、少し待ってて」


 「それは、おすすめできません。魔界にはユキ様お一人でお願いします」


 「っな!僕一人だけで、魔界に!?」


 「魔界には、生息できる生物に限りがあります、他の皆さまだといずれ弱って死んでしまう可能性もあります」


 「そんなに瘴気が濃いのかい?」


 「瘴気は我ら悪魔が持つ魔力の一種です、あまり関係ありませんが、空気が違うので他の生物では対応できないのです」


 「でも、僕なら平気だと?」


 「世界樹の化身であるユキ様なら自信の自浄作用で問題ないかと」


 なるほど、悪魔たちは僕が世界樹の化身である僕の能力をある程度、知ってるわけだ。

 でもなぜ、僕が世界樹の化身である事がわかったんだろ?

 まあ考えても仕方ないか。

 

 女悪魔が指でパチンと鳴らすとゲートが現れた。

 これで魔界にいくのだろう。


 「じゃあみんな後のことはよろしくね。僕は魔界を救ってくるよ」


 「パパちゃんと帰って来るよね?」


 「もちろんだよアウラ、それまでアウラが国を守ってね。ミント後は、任せるよ」


 「畏まりました。旦那様、どうかご武運を」


 僕は、悪魔たちとゲートをくぐり抜けていく。

 そこで見た世界は、荒廃し土地だった。


 「ここが君たちの世界なんだね」


 「はい、この荒廃した大地をユキ様のお力で何とかして欲しいのです。まずは私たちの街に来て欲しいのです。そこにはまだ緑が残っていますので」


 そして連れてこられらた、街にはほんの少しの緑というか、砂漠の中のオアシスしかなかった。

 これを広げるのはかなり力をつかうぞ。

 街の悪魔たちは僕を遠巻きにみている。

 

 「そういえば、まだ名前をきいてなかったね」


 「私は、ララと申します。それで、緑を増やすのは可能でしょうか」


 「ララだね、緑を増やすのは」大変だけど頑張ってみるよ」


 まずは僕は持っている種改良してをオアシスの近くに植えて急速に成長させ、落ち葉を作る。

 その落ち葉をオアシスの近くの土に混ぜ合わせる。

 そして、持ってきている、精霊石を使う。

 これでを繰り返すことで、荒廃し土地もだいぶマシになる。

 後は耕して、苗木を植えて成長させる、もちろん荒廃した土地でも育つように品種改良済みだ。

 一連の作業をみて、まわりからは、歓声が上がる。

 後は、自然の自浄作用を高めるためにも水質をあげないと。

 僕はオアシスの水の中に精霊石を投げ入れた。

 これで、水質もあがるはずだ。

 投げ入れた精霊石のちからでオアシスの水も輝きを取り戻す。


 「これで後は少しずつ腐葉土を増やしいけば、このあたりの土地もだいぶマシになるはずだよ。後はみんなで少しづつやって行こう」


 「ありがとうございます!さあみんな頑張るわよ」


 と、ララ。

 ぼくが次に取り組んだのは悪魔たちの畑だ。

 ここでも畑が荒れ放題だったので、僕は足もとから根っを張り巡らしてトラクターの用に土を耕していく。

 もちろん落ち葉を混ぜて、世界樹の落ち葉はそれだけでも栄養が高いはずだから何とかなるだろう。

 人海戦術でやれば後はスピードも上がるだろう。


 悪魔たちの街に来て、2週間が過ぎた。

 街にはすっかり緑が生い茂るようになった。

 世界樹の僕、万能すぎる。

 この2週間で分かった事は、悪魔たちは少しでも緑豊かな土地を争い奪い合っているらしい。

 それと緑を増やすために地上にでては少しのエネルギーを得るために瘴気をまき散らし生命力を奪っては、魔界に持ち帰り緑を保全していたようだ。

 魔族の国ガルガンティスと獅子族での悪魔は稀のようで、本来なら、今年は不作だなと思い過ごす程度らしい。

 ここは元々緑が薄く辺境の地なので何とかオアシスを見つけて細々と暮らしていたらしい。

 それが今や緑が増えてきている。

 作物も安定して育っているし、問題解決かな?

 悪魔式のエコプラントを考えて、水を飲めるようにしたし、荒廃した大地にも適応できる植物も生み出した。

 精霊石でこの辺の大地の力も回復しているし、後はララに頼んで、地上に返してもらうだけでいいだろう。


 「ララ、なんとかこの街もなったし、そろそろ帰してくれる?」


 「そのユキ様、大変言いにくいでんすが、あの術は数年がかりでできる、術で、すぐには帰せないのです。だましたような事をしてすません」


 「っな、何でそんな大事な事を今更になって」


 「言えば、来て頂けないのではないかと思い伏せていました。誠に申し訳ありません」


 じゃあ、あと数年はみんなと会えないのか!?

 完全に騙された。

 だから、地上に現れた悪魔も長期に渡って地上に滞在していたのか?

 でも他の悪魔に頼めば、帰れるのでは?

 

 「ララ、他の悪魔に頼めば、いいんじゃないのか?」


 「他の悪魔には頼みにくいと思ういます」


 「えっ!?なんで、この街にもたくさんの悪魔がいるじゃん」


 「1体の悪魔では時空を曲げるの不可能なのです、あの時も町全体の悪魔の力で私たちはユキ様に会いに行く事ができたのです」


 「じゃあ、他の街にも行けば、悪魔の力を借りられる可能性はあるのかな?」


 「可能性はありますが、その街の緑をこの街同様にしなければ、信用してもらえないかもしれません」


 「可能性があるならじゃあ、いっちょやりますか」


 これぐらいで諦めてたまるもんか!

 アウラに必ず帰ると約束したし、きっとエデンの皆も待っているはずだ。


 「ララ、次の街に連れていって欲しい、魔界に緑が増えればそれだけ争いも減るだろうし、そのうち地上に帰れると思うんだ」


 「私は着いて行くとはできません、この街にいる上級悪魔はわしだけなのです。私が街を離れると襲われたときに戦える者が減ってしまいます」


 「そっか、じゃあ道だけでも教えてくれないか?」


 「あと数年待っていただければ、地上にお返しできます」


 「その間に帰れるかもしれないし、帰れそうになければ、この街にまた戻ってくるよ。だからそえれまでは、可能性を追い求めたい」


 「そこまでおっしゃるなら、お止めはしません。街にはこの道を真っすぐ進むと着くでしょう」


 「ありがとう、またいづれどこかで」


 こうして、僕は一人で旅立つ。

 帰るために、そして魔界にも少しでも平和を取り戻すために。


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