77話
ドルガ王の声で、僕は攻撃を止めた。
だが護衛4人の拘束も解いてないし、いつでも二人に攻撃できる位置に蔦を止めている。
「ドルガ王よ、先ほど我が護衛の者が伝えたとおりだが、何故その時に動かなかったのか?」
これは少し意地悪な質問だ。
ドルガ王が動き出した時にはすでに護衛の4人が僕に切りかかって来た所だった。
しかもわずか数十秒で終わった。
「息子たちには辞めるように伝えたのだが、私の落ち度だ。すまなかった、ユキ陛下。どうか怒りを鎮めて欲しい」
そしてまた、頭をさげた。
王が他国の王に頭を下げたのだ、僕は蔦をしまい、拘束を解く。
「この愚か者が、二人とも何をしておるユキ陛下に謝罪をせぬか!」
二人ともあっけに取られていたが王の言葉に我に返ったようだ。
すぐに頭を下げて謝罪をしてきた。
その日の晩餐会はそこでお開きとなった。
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王の執務室にて
「あれほど辞めろと謝罪をして来いと言ったではないか!? 何故従わなかった!?」
「父上、お言葉ですが、あれで、エデン王の実力を図れたのも事実です」
「まだ、そんなことを言っているのか!? エデン王は実力の半分もだしておらんわ! あの涼し気な顔をみておらんかったのか。エデン王が私に目で合図を送らねばお前たちも護衛の者たちと同じようにさらし者になっておったのだぞ!」
「まさか、そんなことをあの一瞬で」
「モンスター達を束ねる王が只者でない事ぐらい少し考えればわかるだろうが!? これで、わが国もエデンを中止とした。和平に参加せねばなるまい」
☆★☆
晩餐会はめちゃくちゃになってしまったがこれで、王に貸しができた。
和平の道は開かれるだろう。
平和が一番。
しかし、魔晶石の武器が剣だけなのだろうか?
あれだけなら、エデンとしては、そこまでの脅威にはならない。
グラン達土精霊の方がもっといいものを作れるだろう。
明日はドワーフ達があ集まって会議をするらしいので、また1日ここで時間を潰さないといけない。
ネットやテレビがないって暇だな。
さてどうやって時間を潰そうか。
ドワーフ王に頼んで書庫でもみせてもらうか?
書庫への入室はすんなりと許可された。監視付きだが。
しかし、監視君は昨日の僕のやり取りを見てい居たのか少し緊張しているようだ。
そりゃ、人間の姿をしていてもモンスターだと思うと怖いよね。
でも悪意のない人をむやみやたらと攻撃したり、いきなり暴れたりしないからね。
書庫では、魔術の本やら、ドワーフ王国の歴史などの本で特に面白そうな本は見つからなかった。
適当にとった、本でもみながらその日は過ごした。
☆★☆
ユキヒトが図書館で本を読んでいる間ドワーフ達の会議は紛糾していた。
「ここはやはり、和平を結んだ方が得策ですぞ、王よ」
「しかし、エデンが脅威なのは変わりない。」
「エデンは和平を結んでもあくまでどの国に対しても中立と聞いている。ならば、ほかの国々と同盟を結んでいざという時にそなえるべきでは」
と、似たようなことをひたすらに論議していた。
ただ一つ確実なのは、今はエデンとの和平を結ぶべきという声が圧倒的に多かった。
そして、仮想敵国として、エデンを見据えて他の国との大連合を作るべきだという意見も多かった。
「エデンとの和平は必ず結ぶ。皆、よいな。それに従い、エデン王との過度の接触も禁じるこれは昨日の我が愚息たちが起こしたことでもあるが、エデン王一人でもあの強さなのだ、さらに護衛に連れて来ているモンスターも全て上位種で本来な軍を動かして討伐すべきモンスターばかりだ。下手に刺激せぬように細心の注意を払え!」
とドワーフ王ドルガの言葉で会議は終わった。
☆★☆
次の日には和平の調停式がすぐに執り行われた。
エデンとの国交も取り決められ、ドワーフ王にはもはや定番の伝書鳥をプレゼントしてあげたら、これはドワーフ王国にもなかったみたいで大変喜ばれた。
こちらは代わりに魔晶石の武器をおねだりしてみたら、軍事機密の為と断られた。
まあ、おいそれと簡単に軍事機密の詰まった武器を渡すはずがないか。
しかしこれで、エデンはこの大陸の国全てと和平を結んだことになる。
これでようやく、案大して暮らせるといものだ。
ドワーフ王国との和平を結び終え僕達はエデンへと帰路につく。
ドワーフ王には今度、6か国会議で顔合わせを約束したし、特に帰りも問題なくエデンへと着いた。
かえって来たエデンは平和そのもので、やはりここが僕の家だなと思える。
「パパお帰りなさい!」
とアウラが元気よく飛び込んでくるのを上手く抱き留め抱え上げる。
「ただいま、アウラ」
「お仕事終わったの?」
「ああ、もう今日はもう終わったよ」
取り敢えずは家に入り、ミントに軽く軽食を作ってもらいコーヒーを飲む。
一息つくと、いろんなことがあったと思う。
これでこの大陸はきっと安全だろう。
後は如何に経済面での発展をしていくかだ。
その辺はエデンも考えてお互いに利益が出るように、困った時はお互いに支え合える国になって欲しい。
そういえば、アウラも成長するにつれて、なぜか僕と似た能力を身に着けだしている。
例えばまだまだ未熟だが作物の品質を上げたり、少しだけ成長を早めたりできるようになっているので、
僕と接してる時間が長いせいか進化しているようだ。
もうアウラウネとは完全に違う種になっていると思う。
まるで世界樹の苗のように感じる、流石、アウラが僕の自慢の娘だ。
アウラの成長を喜んでいるとミントが血相を変えて慌ててやってきた。
「ミントとが慌てるなんて珍しいね、なにがあったの?」
「大変です、旦那様!悪魔が5体もエデンに現れたとの報告が入りました」
5体の悪魔ってなんでまた。
嵐は起きてないはずなのに、例の上級悪魔だろうか?
「わかった、すぐにいく。それで、すでに戦闘は始まっているの?」
「いえ、それが、ユキ様を出せとしか言わず、今は睨み合いが続いている状態です」
僕はエデンダミーに急いでいどうする。
そこには確かに5体の悪魔が居た。
見たところ1体の女の上級悪魔に4体の下級悪魔だ。
この戦力差なら十分に勝てる相手だ。
「僕がエデン王のユキだ。一体何ようだ」
こちらいつでも戦えるように全員がが臨戦態勢だ。
すると、1体の女悪魔が前に出てきた。
「エデンの王よ、いえ、世界樹の化身、ユキ様。どうか魔界を救うためにお力お貸しください」
そう言って、悪魔たちは僕に傅いた。




