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74話

 ドワーフ王国の王都への道までは特に何事もなく進んだ。

 起きた事といえば、野良のモンスターゴブリンさんぐらいです。

 どこにでも湧いて出てくるな、ゴブリンさん。

 そして野生の本能さえないのか、明らかに格上のモンスターにも挑んでくるのは、逆に賞賛にあたいするよ。

 まぁ全部、返り討ちにあうんだが。

 数だけは多いからね。

 

 王都が遠くに見えてきたころに此方は五芒星の国旗を掲げ、エデンであることをしめす。

 すると王都から騎馬隊と思わしき者たちが近づいてきた。

 

 「エデンからの使者とお見受けするが、如何か?」


 ポチが答える。


 「そうだ、我らはエデンから来た。ここからは、そちらの誘導に従おう」


 「感謝する、では着いて来てくれ」


 ドワーフ王国には事前に使者も送っていたので、門で待たされることもななくスムーズに中に入る事ができた。

 

 「長旅ご苦労様です、まずは客室に案内いたしますので、そちらで、お休みください。今夜にはささやかではありますが、晩餐会も用意しております。」


 僕たちは客室に通された。

 疲れたぁ、と僕は客室のソファにダイブする。

 エデン製の馬車とは言えずっと座ってると疲れるもたまる。

 さてと、謁見まではゆっくりとしますか。


☆★☆

 

 ドワーフ王国の王ドルガは、領主からの手紙を読んで頭を抱えていた。

 とんでもない国ができたのだと。

 これが真実だとすれば、ドワーフ王国は完全に孤立する。

 すでにエデンは、他の4か国との和平をむすんでいる。

 戦争になれば、勝ち目はない。

 ここは、和平に載るしか無しと。

 しかし、息子たちはなにかと功績を上げようと躍起になっている。

 第1王子チャコフは軍部を味方につけ、第2王子スーベルトは文官たちを味方につけている。


 「お前たちは、この度のエデン王の和平への申し込みをどうみる?」


 第1王子チャコフが応える


 「モンスターが治める国となど、和平が結べるとは思いません。必ず裏切って我が国を攻め落としに来るでしょう」


 第2王子スーベルトが応える


 「兄上の言う事は一理ありますが、所詮はモンスターの集団です。和平を結んで、こちらが有利になるように条約を結べはよいのです。きっとそこまで頭も回りますまい」


 「お前たちは、そう見るのか。儂は同等の和平を結ぶべく動くべきだと思う。軍事力では明らかにあちらが上であろう、そして、たかがモンスターの集団が他国の4か国と和平を結んでいるのだぞ」


 「我らには魔晶石を使った新兵器があります。そのように及び腰ではなめられてしまいますぞ父上。新兵器さえ量産できれば、負けるはずがありますまい。エデンに代わって我らが、他の4か国の中立ち合いになればよいのです」


 「兄上の言う通り、5か国の中心はドワーフ王国でなければなりません。ここは、一度実力の違いを見せるのも一興かと思います」


 ドワーフ王ドルガは領主からの手紙を息子たちにみせることにした。


 「このような事が真実であるはずが、ありますまい」


 「確かに。大方、酒でも飲み過ぎて頭が回ってなかったのでしょう。それも謁見の席で化けの皮が剝がれることでしょう」


☆★☆


 休んでる間に謁見の準備が整ったようだ。

 僕達は全員で謁見の間にはいる、なお護衛の兵士も居れてよいとの事だったので、護衛の30人のモンスター達も入る。

 左右には軍部の者が息を飲んでこちらを見ているのがわかる。

 そしてその後ろにいるのは文官たちや貴族だろう。

 中央の玉座にはドワーフ王が座っている。

 そしてその左には王子だろうか?

 2人がたっており、王の右には宰相らしき人物がたっている。

 僕はある程度前にでて、止まる。

 頭は下げない。

 

 「此度は我らの和平への申し込みに賛同して頂きありがとうございます。ドワーフ王よ。私がエデンのユキヒト・カミヤです、どうぞ、ユキとお呼び下さい」


 「ユキ殿遠路はるばるご苦労であった。儂がドワーフの王、ドルガである。」


 「すでにわが国ではご存知かもしれませんが、魔族の国ガルガンティス、人間の国グラバドニア、エルフの国エルドラード、獣人連合国との和平を結んでおります」


 「うむ、その話しは此方にも届いている。エデンを中心とした和平がなっていると」


 「出したら、賛同していただけているのですから確実にするためにまずは、エデンと和平を結び。その後、他国との橋渡し役をエデンが努めさせていただきます。」


 「その話は少し待って欲しいのだ。まだ国内での話合いが終わっておらん。もちろん前向きに検討している段階だがな」


 「親書には賛同する旨が書いてありましたが?」


 「確かに賛同するとは言ったがまだ検討中の旨、そなた達を呼んで話しを聞きたかったのだ。エデンの民はほとんどがモンスターと聞く。その国との和平に疑問を持つものおれば、国民もそう勝手に納得しない」


 ありゃ?

 結構今回はスムーズにいくと思ったのにそうでもないみたいだ。

 これは困ったぞ。


 「それで私と話して何か心境の変化はありましたか?」


 「そうだな、やはりそなた達との和平は少し待って貰いたい」


 「理由をお伺いしても?」


 「今は話せん。しばらくはこの城に滞在してもらいたい。もちろん要望があれば何なりと言ってくれ、不自由はさせない」


 ここは一先ず、言う事を聞いておいた方がいいのかな?


 「わかりました、色よい返事が聞けるように待たせてもらいましょう」


 「それでは今夜の晩餐会の時にまた会おう」


 これで謁見は終わった。

 賛同するって書いてあったら普通、和平の調停に付いて話し合いをするでしょ!

 なんか怪しいな。

 何事もなければいいけど。


☆★☆


 謁見が始まり、ドワーフ王ドルガはエデン王が連れてきた護衛達を見て目を疑った。

 どのモンスターも上位種。

 軍を率いて討伐せねばならないほどの戦力を護衛として30体も連れて来ていたのだ。

 それにあのエデン王のすぐ後ろの護衛の獣人達もなかなかの強者として目に入った。

 あそこで、もし暴れられていたら、抑えこむのは無理だったと思った。

 だが、エデン王の指示が行き届いているのか、凶悪なモンスター集団は見事に兵士としての役割を全ういるように見えた。

 噂によると、エデン王自体もモンスターだと聞く、あれだけのっモンスターの集団を統一できるモンスターが城内にいると思うと恐怖も湧いてくる。

 しかし、エデン王と話しているとかなり理性的にみえた。

 今は話を長引かせて本当に信じられるかを確かめたかった。

 息子2人も流石に目の前のモンスターをみて冷や汗をかいているのがわかった。


 謁見が終わり、エデン王が出ていってから気づいた。

 手に汗をかいていた。

 謁見中はまるで自分が綱渡りをしている気分だった。

 それでも耐えれたのは王としての矜持ゆえか、はたまた、エデン王が下手に出てくれていたからか。

 晩餐会まではあまり時間がない。

 下手にエデン王を刺激してはならないことは領主からの手紙でわかっていた。

 が、実際に見るのと聞いてみるのでは全然違うのも事実だ。

 ここはやはり、和平に手を出して、他国との同盟を結んだ方が得策であろう。

 あとは、晩餐会で馬鹿が出ないことを祈るばかりだ。


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