7話
今日も朝はミントが起こしに来てくれた。
今日の朝からは、食卓にポチ、クロ、シロと僕の4人で朝食を食べている。
シルキーである、ミントは完全に給仕に徹している。
なんでも、シルキーとして、僕の世話をすることが存在理由なのだとか。
こんな扱いは、今まで、受けた事がないけど、いつかは慣れるんだろうか。
メイドに給仕をしてもらうのは、お金持ちになった気分で悪い気はしないけどね。
「ミント、昨日の狐さんたちと熊さんたちの家を建てようと思うんだけど、まだ空地はあったよね?」
「はい、いくつかございます。私のほうで、決めておきますか?」
「ん~。本人たちの意見を聞いて、なるべく住みやすいとこの方がいいと思うんだ。だから、なるべく本人たちに話をきかないとね」
「かしこまりました。では、私の方で手配しておきます。」
おや、僕がしなくちゃいけないと思ってたけど、ミントがしてくれるのかな?
そこまではできなかったように思うけど、まぁ、このままお願いしてみるのもありかな。
「ありがとう。助かるよ、ミント!あと、他のみんなの家畜小屋なんだけど、あそこも狭いと思うんだ。お願いできるかな?」
「そちらは、差し出がましいとは思いましたが、すでに話を通していますので、もう改築が始まっています」
有能すぎるよ、ミントさん。
ゲームのシステム以上に動いてくれている。
僕よりミントがこの土地をを回したほうが、うまくいくんじゃないか?
朝食を食べ終わったら、さっそくアオに乗って、さっそく出かける。
今日も、ポチ、クロ、シロは当然のようについてきてくれる。
僕たちが向かったのは畑だ。
畑には、主食となる、小麦に、お米を栽培してる田んぼもある。
どちらも品種改良を行って高品質のものが取れる。
他にもいろいろな野菜がある。
畑には、妖精たちが、せわしく働いてくれいた。
FFFでは、いろいろな作業を手伝ってくれる妖精たちがいる。
彼らは『ヘルファー』という妖精で、さまざまなことを手伝ってくれる。
精霊たちは基本的に属性を持ってい者が、ほとんどだが、ヘルファーたちは属性をもっていない。
あえて言うなら無属性なのかな?
ヘルファーの背中には蝶のような翼をもっている。
あまり羽ばたいてないのに宙を浮く姿は、まるで魔法で飛んでるように見える。
背中の羽を使って、飛び回るもの、大地に足をつけて、荷物を運び込むものなど、それぞれが連携して働いてくれいる。
しかし、彼らは、夜になる体を休める必要がある。
彼らが、休む場所は巨木である。
巨木には化身であるドライアドがおり、夜の間に彼らを癒してくれる。
畑にもやはりゲームの時のシステムが生きていた。
季節なんてお構いなしにいろんなものが収穫されている。
現実ではありえないスピード作物は育ち、実をつける。
土も収穫が終われば、一日か二日か休ませればまた元気になる。
食糧には困りそうにないね。種も土も高品質まで上げておいてよかった。
ここでも何か変化がないかヘルファー達に聞いてみたが、どうやら、あの日から余計に収穫率が上がってるみたいだ。
これはこれで、喜ばしいことだと思う。
みんなに、ひもじい思いはさせたくないしね。
見た感じ問題ないみたいだけど、狐さんや、熊さんたちも近々引っ越してくるし、念のため耕地を広げるか新たに作るかする必要があるね。
これも後で、ミントに相談しよう。
ドーガに言われていた、最後。
果樹園にやってきた。
ここでもヘルファーたちが働いてくれていてる。
そして、樹が元気になっていて、収穫率があがったみたいだ。
ただ、果樹園の主役の樹木たちが元気になりすぎて、トレントになってるけど。
果樹トレント達とも話をしてみた。
始めはびっくりしたが、昨日の熊さんよりは衝撃は少ない。
精神耐性がついて、僕も日々、進化しているのだよ。
植物と話す機会なんて初めてなので、動物と違いなにかないかと思ってたけど、
「我らが、王であり神である、ユキ様になんの不満もありません。また抱くこともありえない。ユキ様に仕えることこそが、我らトレントの全てです」
「いやいやいや、そんな大げさな。君たちも意志を持ったなら、意見があれば遠慮せずに言ってね」
「我ら、トレントや、ドライアド達にすれば、世界樹の化身たる、ユキ様が決定されることが全てなのです」
「っ!」
えっ?
世界樹の化身ってありえないよ。
だってそんなゲームではなかった。
世界樹はあくまでやりこみ要素として、育てることが、出来るだけであって。
化身になったり、何か力を授けてくるようなものじゃない。
もしかして、僕が気を失う前に世界樹の種を持ちながら、<しんか>を選択したことが原因!?
あの時に世界樹の種と僕が同化したって事なのか。
ドーガが言ってた僕の力って、世界樹の力の事を言っていたのか!
でも世界樹って何ができるんだ?ただ、僕の所有する土地を潤すだけだろ。
いや、十分な力ともいえるか。
だめだ、混乱してうまく考えられない。
「王よ。お気を確かにお持ちください」
これが平常心でいれるか!
見た目は人間だけど、自分で知らない間に人間をかってに辞めさせられたんだぞ!
「お館様、申し訳ありません。すぐにお伝えしなかったのは我らの総意でもあります」
ポチは、そういって僕の足元に跪いた。
「みんな、知ってたのか!」
僕は大声を出して、威嚇するように、ポチを睨みつけてしまった。
その表情は悲痛に歪みそうなのを耐えていた。
周りをみたら
クロもシロも泣きそうな顔してる。
わかってるよ、
誰も悪くない、
みんなだっていきなり、
こんな状況になったんだ。
それも300年前に突然。
最初は混乱して、戸惑ったりしたんだろうな。
みんなは踏ん切りがついたんだろうか?
もしかしたら、あのゲームの時に戻りたいのかもしれない。
それでもみんな300年も眠ってた、僕を護ってくれていたんだ。
嫌なら、ここから、出ていく事だってできのに。
みんなの表情をみてたら、なんか落ち着いてきた。
一人だったら、きっと発狂してたかも。
誰も悪くないんだ。
みんな被害者なんだ。
幸運にも僕には、この土地があり、支えてくれる仲間がいるんだ。
「怒鳴ってごめん」
「お館様が謝る必要はありません」
「そうだよ、主は悪くないよ」
「わたくし達は、旦那様に隠し事をしました。全てはわたくし達が悪いのです」
ポチ、クロ、シロの優しさが胸にいたい。
うん、こうなったんなら、しょうがない。
できるだけ、この世界で生きていこう。
みんなと一緒に。
「ありがとう。もう大丈夫だから。僕は一旦家に帰ってミントと話てくる。みんなは、4大精霊の王たちを呼んできてくれないかな?これからの事を話し合いたいんだ。」
「「「はい!」」」
ポチたちはすぐに動いてくれた。
僕もアオに乗って一旦自分の屋敷にもどる。
きっと僕たちがこの世界に来たことで、岩山の外の世界にもなんかしらの影響を与えているはずだ。
この世界で生きていく為に僕たちができることを模索しなくちゃ。