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68話

 白虎族との死闘のすえホブロを催眠効果のある花粉で眠らせた僕は、ホブロや他の者達を治療して回った。

 幸い、死者は出ていないが、けが人が多く出たのはしょうがないよね。

 だって、全部の戦士階級の白虎族との戦いで、ポチ、クロ、シロも多少のケガはしたからね。

 ホブロは今、僕の催眠効果のある花粉を吸いこんだことで、自分が死んだと思い込んでいるはずだ。

 僕に踏みつけられて。

 そろそろ催眠効果も消えて目を覚ますだろう。


 「ここは?」


 「おはよう、ホブロ。1度死んだ気分はどうだい?」


 「そうだ、俺はあの時お前に踏みつぶされて死んだはず。生き返ったのか?」


 「そうだね、君は1度死んだ。だからお帰りの方がただしいかな? それで、我らエデンの傘下に入るのかな?」


 「そうか、俺はやはりあの時に。もう一度、生を受けた身、あなた様に忠誠を」


 そう言って、白虎族たちは頭をさげた。

 うまい具合に勘違いしてくれて良かった。

 これで後は獅子族を何とかして、この地を平定しないと。


 「ホブロ、早速で悪いんだけど、獅子族との決着はまだついてないよね」


 「はい、今だ小競り合いが続いている状態です」


 「相手の情報は何かあるのかな?」


 「獅子族の長の名はライガーかなりの猛者です」


 「ん?それだけ?」


 「はい、後は西の地に奴らの本拠地があるはずです」

 

 あるはずって、情報がいまいちなんだけど、はっきりとした場所は分かってないのか。

 これはまた、どうしたもんかな。

 

 「地図はある?」


 「地図などなくても我々は地形を覚えているので、だいたいの場所ぐらいしか……」


 地図もないんかーい。

 これは伝書鳥でフィーネにお願いするしかないかな。

 僕はすぐに手紙を書き、伝書鳥を飛ばした。


 「そもそもどうして、戦争が起きたんだい?もともとは部族同士の連合国のはずだろ?」


 「それは獅子族の土地で作物が年々取れなくなってきていたらしく、豊な土地を欲して侵略戦争がおきたのです。」


 「それまでは、問題なかったのかい?」


 作物が急に枯れ始めてって魔族の国と同じだ。

 

 「病気のものも出たとか、聞いたような話は?」


 「そのような事は聞いておりません」


 作物が瘴気で枯れたのかな?

 でも病人はでてない。

 悪魔の仕業ではないのか?

 別の要因か?


 これは、一度獅子族の土地に出向いてみないとわからないな。


 「食糧事情で始まった、戦争か。それさえクリアすれば、戦争は止められるかな」


 それから数日後、フィーネからの手紙が届いた。

 どうも本当に食物が育たない土地になっているみたいで、獅子族の土地では飢餓者が多数続発していたみたいだ。そして緑が豊富な土地へ侵略を開始。

 本拠内についても場所がわかったので、ここは侵入して、なんとか作物を育てれば、戦争も止まると信じたい。

 悪魔の可能性もあるか調べてもたっらが、瘴気で侵されいるものは確認できていない。


 僕たちは、獅子族の本拠内に旅の商人として向かうことにした。

 向かうメンバは、僕とポチ、クロ、シロの4人。

 白虎族のホブロには無駄に争わない事を言いつけて、留守番を頼んだ。

 今回は旅の商人らしく、幌が付いた馬車に乗っての移動だ。

 獅子族の本拠地が見え始めたところで、獅子族の土地が干ばつに見舞われていることがわかった。

 しばらく雨が降っていないのだろう。

 近くに水源も見当たらない。

 これでは、確かに作物は育たない。

 急遽荷物に水瓶を用意して荷馬車に詰め込む。

 水瓶は土のエレメンタルを召喚し作成し、水は水のエレメンタルを召喚し中を満たす。

 エレメンタルは本当に万能です。

 僕達は獅子族の本拠内の街に入るために列に並ぶ。

 

 「次の者、用件はなんだ?何故この街に来た?」


 「僕たちは旅の商人です、多少の食料と水を持ってきているので、商いができればと。」


 「なに、水だと!? 水は今獅子族が管理している。お前たちは此方についてこい」


 僕たちは上手い具合に獅子族の本拠地の中心に連れて行ってくれるみたいだ。

 

 連れていかれた場所はやはり、獅子族の長が居るであろう建物。

 中にはいると、ここまで案内してくれた獅子族の兵士が別の兵士に事情をはなしている。


 「お前たちが水と食料をもって来たもの達だな。荷物を確認させてもらう」


 そう言って、獅子族の兵士は荷物を確認する。荷馬車の半分は水、半分は食料を積み込んでいる。


 「確かに、水が入っているな、商談室に連れ居ていくからついて来てくれ」


 僕たちは商談するための部屋へ通された。

 商談室は質素な感じでまさに話すだけの部屋と言ったところだ。

 

 ポチが小声で、


 「御屋形様、壁の向こうにも何人かの気配があります、多分こちらの話を盗聴するつもりでしょう」


 「わかった。ありがとう。言動には気をつけるよ。」


 コンコンっと扉がノックされ入って来たのは、年老いた獅子族の老人だった。


 「初めして旅商人のユキと申します。後ろの3人は私の護衛の者たちです」


 「ユキ殿か。儂は、獅子族の宰相のノースと言う。さっそくで悪いが商談に移らせてもらおう。まず食料も水も全て買い取らせてもらおう。」


 「ありがとうございます」


 「もう一つ買い取らせて欲しい物がある、あれだけの水を何処で手に入れた?場所を教えてはくれんか?見ての通り獅子族の土地では干ばつが続いておる、水はとても貴重な物じゃ。もちろん情報料としてそれなりの支払いはしよう。」


 どうしよ?

 そこまで考えてなかったぞ。

 水はさっきエレメンタルを召喚し生み出したものだ。

 場所とかないぞ。

 僕が考えていると、渋っているとおもわれたのかノースさんが話を振ってくる。


 「そなた達旅商人の飯の種を奪う事になるのは分かっておるが、ここは素直に応じてくれんか?力づくでもこちらは構わんのだぞ」


 いや、力づくでも場所がないんだけどね。

 ここはエデンからにしとくか。


 「ノース殿、渋っているわけではありません。仕入先は大森林のエデンという国です。獅子族とエデンは国交をもっていないはずです。しかも今は白虎族との争いの最中と聞いていますので、エデンが全面的に水を獅子族に売ってくれるかわからないのです」


 「なんと、噂では聞いていたがそなたらはその大森林の国からきたのか?」


 「はい。獅子族では干ばつが続いていると聞いてこれは商機だと思い来たのです」


 「エデンは他種族のモンスターからなる、国家と聞いておる、そなたらもエデンの民なのか?」


 エデンの民どころか、王様やってますけどね。


 「我らが王は戦を好みません、どちらかを一方的に支援することはないでしょう。しかし、戦争を止めれるならその限りではないと思います。一度、水源地だった場所を見せてはくれないでしょうか?」


 「なぜ、水源地をみたがる?とうに枯れはてておる」


 どうしよ?

 ここは、話の流れに乗って適当にいこうかな。

 たぶん、なんとかなるでしょ。

 たぶん。


 「実は我々は、エデン王より戦争を止める手立てがないか、探るように特使として参りました。水の問題が解決すれば、獅子族も他の部族と争う理由がなくなるのではないでしょうか?」


 「確かに水の問題がなくなるのであれば、特に問題はなくなる。しかし戦争は起きてしまった。どちにせよ、白虎族もそれでは納得せぬであろう」


 白虎族との話し合いはもうすでに殴り合いで解決している。

 それをいうべきかな。


 「エデンはすでに白虎族との話し合いは終えています。あとは獅子族しだいなのです」


 そのときだった、扉がバーンと勢いよく開かれ屈強な肉体を持った1人の獅子族が現れた。


 「話しは聞かせてもらっていた、あの白虎族のホブロが大人しく話し合いに応じるはずがない!貴様一体何者だ!」


 いや、だから特使って言ったのに。

 てか、誰だ、この人?


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