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6話

 僕はドーガに言われて、森の奥にやってきていた。

 最初はミントやポチたちに話を聞こうとしたが、ドーガの言ってたようにまず自分の目で見てからにしよう。

 その場所まではポチが知っているというので案内してもらった。


 そこには、小さな集落があった。

 僕には作った覚えがない。

 簡素な掘っ立て小屋がいくつも建っていた。

 そこにいた、住人らしき人が、僕たちに気付き慌てて、集落に引っ込んだと思ったら、村人総出で現れた。


 ぱっと見だけど、30人ぐらいだろうか、中にはまだ、子供も5人ほどいる。

 その集団の中から一人の男の狐の獣人が前にでてきた。

 この中のリーダーかな。


 「我らはユキ様の土地の正規の住人ではありませんが、ここで生まれユキ様のお力にあやかって生きているものです」


 そう言うやいなや、男の狐人は土下座しだした。

 それに続いて、後ろにいた、住人達も土下座しだした。


 「ユキ様には、迷惑はかけません。この森からも決して出ません。ご用命とあらば必ず従います。ですからこの森での生活をお許しください」


 そんな悲痛な面持ちで訴えられらて、出て行けなんて言えない。

 てか、いきなりこんな展開になるとは予測できなかった。

 やっぱり事前にミント達から少しは事情なり聞いておくんだった。

 

 「顔を上げて下さい。僕の土地から出て行けとは言いません。ですが、ここでの暮らしは認められません」


 「そ、それは、どういう?」


 「あなたたちは僕の土地に住む権利あります。確かにここは、僕が大きくし育てた土地でもあります。ですが、僕は20年ほどしか手をかけていいない。あなた方は、300年ここで生きてきた」


 このゲームを僕は5年プレイしてきた。

 ゲーム時間だと1日は現実の1/4だから20年ほどになる。

 この岩山に囲まれた世界は、ゲームに存在してきた者たち。

 ゲームには寿命など設定されてなかった。

 現実とはなったが、ゲームの設定が生きてる。

 それに助けられてることもあるんだろう。

 だけど、現実となった今、弊害も生まれてるんだ。

 彼らは、きっと不老だ。

 そして僕も。

 彼らは、ゲームの中でたまに見かける、野狐だった。

 たったそれだけの存在なんだ。

 それが、300年前のあの日から変わってしまった。

 ドーガが言ってた僕の力というのはよくわからないけど。

 それでも、設定ではなく、今こうして生きているという事をもっと自覚しなければならない。


 「良ければ、こんな森の奥じゃなく、僕たちが生活してる近くで生活してみないかな?これから、僕を手伝ってほしいんだ。もちろんちゃんとした家も建てるし、食事も提供するよ。僕の土地に住む住人として、お願いできないかな?」


 「よろしいのですか?我々のような存在でも」


 「この土地で生まれたなら、間違いなく僕の大事な仲間だよ」


 「ありがとうございます!ありがとうございます!我ら一族はユキ様に命を懸けて忠誠を誓います」


 「えっ、命って、まぁ、ありがとう」


 なんか涙流しながら言われて、また頭を下げられて、後ろの人たちからも「ありがとうございます」って言われて、周りの空気がなんか、命はいりませんとか言える雰囲気じゃないよ。

 ありがとうが重いよ。


 彼らには、とりあえずは移動する準備を始めてもらった。

 いきなり来られても、住む家とかないしね。

 彼らのめにも、住居は早めに建てよう。


 泣きながらお礼を言われた後、僕たちは次の山の奥に向かった。

 案内は、クロがしてくれいる。


 「次もやっぱり、そこに誰か住んでんの?」


 「うん、そこには野生の熊たちがいるんだ」

 

 クロから話を聞くとそこは熊がいるようだ。

 熊もゲームの時にはたまに見かける程度だった。

 そっか、次は熊の獣人がいるんだな。

 きっと体格もでかいに違いない。

 ゲームの設定と現実では多少祖語が生まれてるきもするんだよな。

 それも、あの<しんか>が要因なんだろうけど。

 とりあえずは、熊のみんなにも移動をお願いしよう。


 「主、着いたよ。あそこに見える洞穴のにあいつら住んでんだ」


 考え事としてたら、いつ間にか着いたみたいだ。

 てか、熊の皆さんは穴に住んでんのか、なんか普通の熊みたいなとこにいるんだな。


 「おーい、いるかー、主が来てるぞー」


 クロが洞穴に向かって叫ぶと中から、魔物がでてきた。

 あれは熊じゃないでしょ、絶対!

 見た目は2mを超すぐらい大きく、毛色は焦げ茶で全体的に毛むくじゃらで、口の中から見える牙は僕の手足なんか簡単に噛みちぎれそうなほど凶暴に見える。

 しかも耳が熊の耳ではないし、位置もおかしい。

 耳の位置は人間と同じように顔の横にあり、先がとがって長い。

 決して、先がとがっているかと言って、エルフ耳ではない。

 手足だって1撃で獲物をしとめそうな凶暴な爪が生えてる。

 正直、怖い。

 あれのどこが熊の獣人なんだ。

 あれは、勇者に退治されるような魔物だと思うんだ。

 それもラスボスがいそうな周辺にポップしそうな極悪な顔だ。

 そんな顔がぞろぞろと出てきてる。

 これは、詰んだ。

 そのうちの1匹が前にでてきた。

 

 「ユキ様、はじめまして」


 「は、はじめまして」


 ぺこりとお辞儀されたので、つい反射的に僕もお辞儀を返した。

 

 「おらたち、ここに住んでる熊です」


 自分で熊って言った。

 今、自分で熊って言っちゃたよ。

 君たちはもう熊ではないよ。

 声に出しては言えないけどね!怖いから!


 「主、こいつらもさっきの狐たちみたいに何とかできねえかな?」


 「クロ!それは、お館様が決めることだ。お前が口をはさむべきじゃない!」


 「うぅ、ごめん、ポチ。主もごめんなさい」


 クロがポチに怒られて、しゅんと耳がたれがってる。

 なかなか、そんなクロもかわいいな。

 ってそうじゃなくて、見た目は怖いけど、この熊?も同じみたいだし、

 見た目で差別しちゃいけないのはわかってるけど、怖い。

 勇気をだすんだ、僕!ファイト僕!頑張れ僕!

 よし!自分に声援を送った!

 ここは、みんなに慕われてるんだから、できるってとこを見せないと!


 “君たちも、この土地の住人なんだ、僕たちと一緒に暮らそう!”

 

 そうだ!こう言うだけでいいんだ!

 

 「き、君たひも、この住人なんだ、ぼきたいと、くりょひょう!」


 だーーー!噛みすぎて何言ってるかわからん、上に、声が上ずってた。

 怖いより、

 今、

 恥ずかしい。

 

 「ユキ様ありがとうございます。おら達もユキ様のお役に立てるように頑張るだ!」


 「主、ありがとう!」


 熊?とクロが感謝してくれいる。

 ミントもポチもシロもどことなくうれしそうだ。

 うん、どうやら、僕が噛み噛みだったことは、なかった事にしてくれているみたいだ。

 みんなやさしいね!

 あと、熊?は意外に礼儀正しい奴だな。

 見た目は怖いけど。


 僕たちは熊から進化した、見た目の怖い人たちと分かれて、

 一旦、家に帰ることになった。


 大分暗くなってきたから、続きは明日にと、ミントから提案され、みんなも納得してくれたからだ。

 とりあえず、家について、ミント、ポチ、クロ、シロには2階の空き部屋を使ってもらうことにした。

 みんな、最初は遠慮したが、僕が譲らないとみると、うれしそうにそれぞれ部屋をミントが割りあててくれた。

 

 さあ、明日も頑張ろう!

 精神ダメージを癒すためにも風呂に入って、早めにベッドに入った。 

 

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