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57話

 アラクネもエデンの民になり、国旗もできて、今は平和と言ってもいい。

 後は、獣人の国の内乱が納まるのと、ドワーフの政争が収まってくれれば、こちらから使者でも送っておきたいところなんだけどね。

 

 「御屋形様、失礼します」


 「どうしたのポチ?」


 「はっ、それが警備隊が近くを警邏している最中にエルフの行き倒れを発見、まだ息があるようなので一応監視をつけて治療室に運び込んでおります。まだ目は覚ましておりませんが如何いたしましょう?」


 そういえば、エルフとの国とは最悪の終わり方してたな。

 無理やり結界に妖精を閉じ込めていたり、結界にハイエルフを使ったり。

 とんでもない国だったな。

 エルフの国で何か起こったのかな?


 「治療が終わったら取り敢えずは牢へ入れておいて。目を覚ましたらグリセラさんも呼んで話を聞いてみよう」


 「はっ!畏まりました。」


 エルフはその後すぐに目を覚ましたらしい。

 僕たちはすぐに牢へ向かった。

 エルフはまだ幼さが残る少年だった。


 「こんにちは、エルフの民よ。ここはエデンの牢だ。なぜ近くで倒れていたのかな?」


 「ここは本当にエデンなのか!?ならハイエルフの方たちもいらっしゃるのか?」


 少年は僕たちを見渡し、ハイエルフのグリセラさんに気づいたようだった。


 「あなたはグリセラ様!本当にエデンに着いたんだ」


 少年は感動しているように見えた。

 グリセラさんは少しきつめの言い方で、


 「なぜ、エデンに近づいた?お前たちの王マシウスとは決別している。いくらエルドラードの民とて特別扱いはできないぞ。私はもうエデンの民だ」


 「わかっております。グリセラ様。しかし今は火急の事態なのです、どうかエルドラードにお戻りいただけませんか?もちろん、他のお二方も戻ってきてほしいのです。今エルドラードは革命が起き、王族を打倒しようと革命軍が戦っております。もう2度とあのような出来事が起こらぬように。無理を承知でハイエルフの方たちにお力添えをお願いしたくまいりました。」


 「何度も言うが、私はすでにエデンの民となった。いまさらエルドラードに戻るつもりはない」


 「そんな!ハイエルフである、あなた達の帰りを、エルドラードの民がまっているのです。悪しき王族の国王マシウスの勢力も地に落ちてきています。今なら、われらエルフの民もあなた方についていきます。それにハイエルフであるあなた方が結界のいしずえにされていた事も最近になりわかり、革命軍が組織され今立ち上がっているのです」


 「その結界に妖精を閉じ込めいたのを知らなかったとでももうすか?妖精は世界樹にひかれていただけ、自然の守り人としての矜持をわすれたエルフに未来はないとなぜあの時にわからなかったのだ!?」


 「それは…。」


 彼は唇をかんで悔しそうに俯いている。

 何も言い返すことができないなのだろう。

 たしかに国民がもっとしっかりしていれば、妖精を閉じ込める必要が無いことに疑問にもつべきだった。

 ハイエルフが居ないことに気づき、結界の礎にされていたことがわかり、ようやく王族が間違っていることに気づいたのなら遅すぎる。

 確かに王の権力はすごいものだが、民を国に生きる者をないがしろにしていいわけでじゃない。

 僕もきをつけないとな、独善的なお王にならないように。


 「で、エルフたちは、今の王族を打倒し、新たにハイエルフを旗頭にしようと考えているのかい?」


 とぼくは問う。


 「今現在の革命軍の旗頭は王族のエルリア様がなっています」


 あれ、エルリアって、エルフの国エルドラードの国王マシウスの娘じゃなかったっけ?

 革命軍はエルリアが組織して、父親を打倒しようとしているの?

 壮大な親子喧嘩?

 

 「じゃあ、エルリアが国民に国がやって来たことを暴露して、革命軍をたちあげたのかい?」


 「ところで、あなたは一体?」


 「おっと、僕がエデンの王、ユキヒト・カミヤだよ。で、どうなんだい?」


 「あなたが。その通りです、エデン王。今、革命軍の旗頭はエルリア様です」


 そういい彼は僕に頭を下げる。


 「できれば、グリセラ様を助けていただけたように、我ら革命軍も助けてください!後少しで革命軍の勝利は約束されたも同然なのです。ハイエルフのグリセラ様が加わわれば、他のエルフたちも我ら革命軍に力を貸すはずです」


 「話しはわかったよ。とりあえず今はこんなところで悪いが、休んでいてくれ。まだ君を信用するわけにはいかないからね」


 そう言って、僕たちは牢をあとにした。


 「さて、彼の言ってることが本当かたしかめないとね。フィーネ、悪いんだけど。」


 「わかってるよ、一度偵察してくるよ」


 「それと、ポチには彼の言ってることが本当なら軍を動かすことになるかもしれない。今すぐに編成をまとめておいて」


 「グリセラさんは、どう思う?」


 「私はもう、エデンのたみです。王が決めた事に従うだけですよ。ただ、故郷が心配な気持ちもあります」


 「そうだろうね、できるなら、革命軍に今回も手を貸して新しくいい国に生まれ変わればいいね」


 アラクネの革命にも手をかして次はエルフの革命にも首を突っ込むことになりそうだ。

 しかし、革命が成功すれば、エルフの国エルドラードとの和平が結べる。

 一応今の段階では仮想敵国になっている状態だからね。


 「しかし、あの昼行灯を演じているだけで、何もできそうになかった姫様が行動を起こすとはね」


 「確かにあの時の姫はおぬしが言う通り何も考えていなかったように思えていたが、心境の変化でもあったのじゃろうな」


 と、ドーガも言う。


 それから数日後、フィーネ達風精霊が帰ってきた。


 「どうもあの子の言ってることは本当みたいだよ。革命軍が王国軍を押してるみたいだし、旗頭もあのエルリア姫だった。ただ、全てのエルフが革命軍に参加してるわけじゃないから難民も出てるみたい。どうする?」


 グリセラさんはバツが悪そうに、


 「ユキ様、難民だけでもどうにか助けることはできないでしょうか?」


 「エルフの国の近くに軍を動かして難民キャンプでもひらくかい?それぐらいなら構わないよ。ただ、エデンの軍はモンスターだからグリセラさん達ハイエルフがしっかりとエルフ達の手綱を握ってね。」


 「わかりました、ありがとうございます。」


 やはり、グリセラさん達ハイエルフもエルフ達のことを心配していたんだな。

 

 「難民を助けるって事はグリセラさんが革命軍に着いたように見えるとおもうけど、そこは覚悟してるの?そうなれば、エデン軍は革命軍について現王国軍を滅ぼすことになるかもしれないよ?」


 「はい、もうすでに覚悟はできました。しかし私はあくまでエデンの民として動くつもりです。ですので今回は革命軍がエデンに救援を申し込んだ形にしてもらうように、エルリア姫に話す予定です。」


 「わかった、ほぼ革命軍が勝ちそうな戦だからこちらの被害もそんなに出ないだろうしそれでいこう。牢に居る彼をだしてあげて、説明をお願い。これよりエデンはエルフの国エルドラードの革命軍に味方をするため進軍する、また、難民たちも助けるものとする。」



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