55話
ポチの武力介入による外交をアラクネのベラが自分から賛同するとは思ってなかった。
どうやら、このままではいけないと思っているアラクネも居るようだ。
改革はいつも次世代がやるものだ、確かに古いしきたりにも意味があるが、固執しすぎてはいけない時もある。
「武力で併合した場合、君の一族から死者がでるんだよ、それもベラに賛同してくれている人からだって出るかもしれない」
「それでもやらねば、いつかアラクネの我が一族は滅んでしまう。今でも数が減少してきている。今までのやり方ではいけないと思っている」
ベラの意思はかたいようだ。
魔族と人間が和平を結び、その立会人をしたエデンが武力行為にでるとは、何とも言えないな。
とにかくアラクネ種族全体をみれば、革命は成功させた方がエデンにとっても都合がいいのは間違いない。
新たな種族がエデンに参加するのは喜ばしいことだが、なんとか平和的にできないものか。
「アラクネにも族長は居るのかい?」
「アラクネにはそんざいしない、一つのコミュニティでしかない。」
「武力で制圧する場合、そして成功した場合はベラがアラクネの代表になってもらう事になってもかなわないかな」
「私が代表!?務まるとはとは思えない」
「いや、やってもらう。これからベラを進化させて、アラクネの新たな長になってもらうために武力侵攻することになる。そしてエデンの民として住んでもらう。それが条件だ」
「わかった。条件を飲む。それで、姉とアラクネが助かり発展をとげるなら」
「交渉成立だね」
「これから、アラクネの里に武力による侵攻を開始しする。これは、アラクネ一族の革命に手を貸すものである。意義があるものはいるか!」
僕は、エデンの王として、発言する。
「なければ、即刻準備に取り掛かれ!」
「感謝するエデン王陛下」
そうして、ベラは頭を下げる。
「感謝はまだ早い、革命が成功し、無事にベラの姉を救ったあとだ。まずはベラ、君を新たな長として進化してもらう」
そうして、僕はベラの手を取り、力を注ぎこむ。
ベラは急激な力の増殖でふらついてしまった。
「ベラ、今は休んで。明日には進化が完了してるはず」
そして僕はベラを休ませる。
翌日にはベラの進化もおわり、少女から大人へと変わって、より魅力的になったようだった。
「これがわたし、いつも以上に力を感じます。これならいける。」
ベラは進化に興奮を隠せないでいた。
体も少し大きくなった、アラクネエンプレスってとこだろうか。
なんにせよ、これで武力による革命が開始される。
まずはベラに里の場所を聞いて近くまで軍を待機させる。無血開城が一番だがどうだろうか?
使者としてこちらからはベラが里に戻る。
無血なら里の扉が開く手はずになっている。
武力になるなら派手な合図を出す、とベラが言っていたからどうなる事やら。
☆★☆
進化を果たした、ベラは堂々と里へ帰っていく。
里の者達はベラの姿をみて驚いているが、とても話しけれるような雰囲気ではなかった。
まずは、姉の元へ。
「姉さん、ただいま」
そこには、はやり病で弱った姉が横になっていた。
「ベラなの貴女一体なにがあったの?」
ベラの姉も妹の突然の進化に驚きを隠せなかった。
「姉さんの病を治してくださる方が見つかったんだ、それでその方から新たに力を与えてもらった。」
「それじゃ、伴侶をみつけたのね」
「違うよ、前にも話した通り革命を起こすんだ。もう少しだけ、大人しくベットで横になってて。」
べらは姉にそう言い残し、今度は自分と同じ考えを持つ同志たちに会いに行った。
そこで、今回自分に起きた事をすべて話した。
「ほんとなのベラ、それじゃあ」
「ああ、エデン王に約束してもらった。軍も近くで待機してもらっている。私はこのことを長老に話し、できれば、無血で決着をつけたいというエデン王に従うつもりだ。」
「どうせなら、みんなでむかいましょ。その方が説得力がますわ。それに戦闘になるかもしれないなら尚更ね。」
「ああ、そうだった、みんなこれをつけてくれ、味方の印だそうだ。エデン軍につけてないと子供以外は殺される可能性があるからな。なるべく殺さずに捕らえてくださるようだが、何が起こるかわからんからな」
ベラは仲間たちに腕章を渡していった。
「じゃあ、行こう!」
ベラたち一行は長老が住む家へと向かった。
「何事じゃ、ベラ…なのか?、その姿は一体!?」
「長老、みなを広場に集めている、そこで話をしよう。」
ベラは長老をつれて、アラクネの里の者を全員集めていた場所に現れた。
「ベラよ、これは一体何事じゃ!」
「皆も聞いて欲しい!私は噂のモンスターが集うという国に行ってきた。そこでは他種族が本当に1人の王の元で暮らしていた。私たちもいつまでも古いしきたりに縛られずに生きていく時がきたのだ!エデン王は私たちに新しい未来を約束してくださったのだ!」
群衆はざわめき立つ、しきたりを遵守するもの、しきたりに縛られず外に出てみたいものもいるのだ。
そもそも、しきたりでは、村からは出ずに暮らすという事、たまに通りすがる雄を見つけて強制的に伴侶にするのだ。
そのほとんど人間であったり、自分たちより弱い種族を比較的に狙う。
たまに強い個体を狙うがそれも命がけ、時には冒険者などに逆に討伐されることもあった。
「我らはエデン国へと行く。反対するというのであれば、長老、今の長の立場から退いてもらうぞ。すでにエデンの軍が付近に展開している。できれば、誰の血も流したくはない。」
「小娘が、進化して粋がりおってからに、早々儂の首が取れると思うなよ!たとえ今滅びようとエデンなどの国に儂らの未来は任せてたまるか!皆の者、反逆罪で今ここで、ベラを捕えよ!」
長老の言葉に反応したのは年配のアラクネばかりだった、それを若手たちが抵抗するが、年配といえ長きを生きたモンスターに数で勝る若手とで拮抗状態になっていた。
「くっ、こんなにもの者達がベラに着くというのか!?」
「長老、新し風が吹いているのだ、それを認めるべきだ!今ならまだ、エデンの介入は避けられる!」
「もうよいエデンでもなんでも呼ぶがいい、どうせ滅びるなら儂自ら滅ぼしてくれるわ。」
長老は詠唱を始め体が変化し始めた。
「それは禁術!ただの虫けらになるつもりか、そんなことをすれば、関係のない者まで巻き込むぞ」
アラクネの禁術。
それは、体をより蜘蛛に近づけ、本能のままに暴れまわり、ただの魔物でしかなくなる最後の自爆技のようなものだった。
「エデンの配下になるつもりなどない!」
「エデン王と共に生きる道なのだと、なぜわからない!それなら、我らだけでも里をださせてくれ!」
「ソレモ許されぬ!コノ里は儂のもノじゃ、誰ニモ取らせはセン。」
すでに禁術の影響が出始めているのか、言葉がたどたどしくなっていく長老をみて、ベラは上空にファイアーボールをさく裂させた。
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