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38話

 魔王ブレニン率いる使節団は三日滞在したのちに帰って行った。

 これで本格的に国交が始まるが、まずは、魔族の国までの道を共同で作ることが決まっている。

 途中に関所も作るようだし、これからが本番だ。

 こちらかの労働力はミノタウルスとオーク達にヘルファー妖精さん。

 まだ、街も完成していないが、ここからは、エデンの総力をあげてのダミー王国建築だからエデン本体は必要最低限の者だけを残して、後はエデンダミー王国の建築に取り掛かる。

 そして1ヵ月である程度の形になった。


 「だいぶ形になったね、ダミーとはいえかなり街らしくなってきた」


 「はい、後は外からの者が来た時に利用できる施設も作る予定です」


 僕は、ミントと話しながら街を見て回る。

 

 「ここもパパの街?」


 アウラが首をコテンっと横に倒して聞いてくる。

 そのしぐさ、グッジョブです、アウラの可愛さがでてますね、はい。


 「パパのだけじゃなくて、みんなの街だよ。ここからどんどん住民も増えるだろうしね」


 そう、住民が増えてきているのだ。

 もともと大森林に生まれた妖精たち、大森林に住み着いていたモンスターまでもがここに移住してきている。

 まぁモンスターの場合は野良のオークとミノタウロス、トレントばかりだけど。

 内に元々いた家畜が進化したモンスターはみな上位種らしく、みな基本的に大人しく従っているけど、たまにケンカが起きてもすぐにエデンの者たちが仲裁にはいってる。

 物理的に解決しる方が早いみたいだけど。


 歩いていると、ポチがやって来た。


 「御屋形様、至急お話があるのですがよろしいでしょうか?」


 「歩きながらでもいいの?それとも会議室?」


 「いえ、門に来てもらった方がわかりやすいのですが、なんというか我々に恭順したいという者たちがおりまして」


 「恭順?住民になりたいってわけじゃなくて?」


 「はい。一応、御屋形様のご指示を仰ごうと言うことになりましたので」


 僕たちは、城門に向かった。

 城門の上から見た光景は圧巻の一言。

 多分オーガと言えるだろう鬼たちがひしめき在っていたからだ。

 それが恭順?

 今にも戦ってどっちが上か、けりつけようぜ!って感じのモンスターにしか見えないんだが?

 

 「貴様ら聞けえー!我らがエデンの王の御前ぞ!」


 ポチが大きな声で急に叫ぶからビックリしたよ。

 オーガたちはガヤガヤとしていた喧騒がやみ、し~んとみなが僕に注目している。


 「御屋形様、ささどうぞ」


 どうぞ、じゃないよ!いきなり何喋ればいいの?えーっと、ここはエデンの王らしく偉そうに話せばいいのかな?ええーいままよ!


 「オーガの戦士たる一団と見受けするが、何故の恭順なのか!」


 僕は城門の上から、できるだけ声を張り上げ偉そうに言葉を放つ。

 すると1人のオーガが前に進み出てきた。


 「我はオーガ一族のガーグ!ここに魔物の長が誕生したと聞いて来た。我らはトロール達との戦いに敗れここまで流れ着いて来た、エデン王の支配下に入りたい。我らを助けて欲しい!頼む」


 そういうとオーガ達は全員その場でひざまずいていく。

 これは、オーガを受け入れるとトロールと戦争になるのでは?

 でもかわいそうだし、助けても上げたい。

 よく見るとけが人も大勢いる。


 「一先ず中には入れ、けが人の治療はしよう。配下にするかは、少し待て」


 「感謝するエデン王よ」


 取り敢えずの先延ばし、アンドけが人を助けられるしね。

 4大精霊達とも相談しないとね。

 僕一人で決められません。

 しかし、魔物達の長って……確かに人外魔境になりつつあるけどさ。


☆★☆


 今はオーガ達の手当てをヘルファー妖精さん達に頼み、会議室でどうするかきめているところだ。

 参加者はいつものメンバー。

 火精霊サラマンダーのドーガ。

 土精霊ノームのグラン。

 水精霊ウンディーネのフェルミナ。

 風精霊シルフのフィーネ。

 ポチ、クロ、シロの3人に僕とアウラにミント。

 

 「それでおぬしはどうしたいのじゃ。配下にするのか?」


 ドーガは相変わらずストレートにものを言うな。


 「配下にするかどうかはわからにけどエデンを頼って来た者たちを見捨てたくない。できるならたすけてやりたいんだ。それにはみんなの力がいるから、こうして相談してるんだ」


 「支配下に置いたとして、今度はトロールとの戦いになる可能性が高いですね。それをどう処理するかが問題ですよ、ユキ様」


 と言ってくれるのはグラン。


 「ユキ様の国だものぉ、私たちはぁ、できるだけ協力しますよぉ」


 「そうだね、助けてあげなよ。ユキになら僕たちも着いて行くから」


 フェルミナ、フィーネも賛成してくるようだ。


 「問題は、トロール達の戦力ですね。シルフたちの風の力でどうにか偵察できるかい?」


 「う~ん、トロールってノロマだけど鼻がいいからね、どうだろ?とりあえずあまり近づかなければ大丈夫だと思うよ」


 グランとフィーネが戦力を図るという案を出してくれる。

 たしかに相手の戦力を知ることは大事だし、相手がエデンまで来るのかまだわからない。

 でも早めに対処しないと、魔族の国との道も作りだしたばかりで獣道状態だからなぁ。

 このことで魔族の国には迷惑をかけるわけにはいかない。

 魔族の国もようやく復興の目途がたったばかりだし。

 みんなから聞くところによるとこの世界のトロール達はなんでも知能は低いが力が強く何でも食べてしまうらしい。

 それこそ、人間だろうと、ゴブリンだろうともちろんオーガもだ。

 同種族以外はすべて彼らの餌なのだそうだ。

 それは仲良くなれそうにないな。

 出来るなら駆除対象に決定だけど強いのかぁ。

 オーガ達を配下におくなら、エデンの民になる。

 もちろんエデンの民に被害は出したくない。


 「取り敢えずはオーガの族長ガーグにどの方面から逃げてきたのか聞かないと、それとおおよその数も。それからシルフ達に偵察してもらおう」


 僕はガーグを呼び出して、方角、おおよその数を聞いた。数は約300匹との事。

 300匹もいればそれは大食いに拍車がかかっている気がする。

 へたすると本当にこちらにも獲物を求めてやってくるかもしれない。

 なにしろこちら方面にオーガは逃げてきたのだから、追いかけてくる可能性が高い。


 警備隊に緊急事態として伝えて、守りを固めなければ。

 それにオーガ達にも戦ってもらうことになるだろう。

 なにか方法を考えて、少しでもこちらの損害を減らさないといけない。

 エデンのダミーとはいえ、ここもしっかりとした、僕のエデンなのだから。

 それに住民もいる。

 ほとんど戦えるモンスターだけど。

 戦力的の数はエデンが有利だが、相手はトロール。

 油断はできない。

 これはエデン始まって以来の戦争なんだ。

 そう考えると怖くなってきた。

 みんなをちゃんと守り切るための事をできる限りやろう。

 時間がどれだかあるかわからないけど、シルフ達も警戒網をひいている。


 「グラン、外堀を作るのにどれぐらいの時間が必要?」


 「トロールだから深さは5mは幅は8mぐらいならすぐにでも」


 「フェルミナ、そこを水で満たしてほしいけど、いける?」


 「だいじょうぶですよぉ」


 外堀はこれでなんとかいけるかな?

 あと、考えられる手はなるべく遠距離からの攻撃で少しでも数を減らしたい。

 城壁の上から攻撃って弓矢とか?

 トロール相手にはあんまり効果が期待できそうにないけど、ないよりはましかな?

 進軍速度も落とせればいいんだけど、もともとトロールは鈍重だからそこまで気にしなくても大丈夫か?

 いや、少しの慢心も許されない。

 

 「トロールの弱点ってだれかわかる?」


 「たしかトロールは火に弱いはずだ。じゃからそこはわし等、火精霊サラマンダーの出番じゃな」


 ドーガ達に遠距離はまかせるとしても数がいるからなぁ。

 

 「火矢も用意したいから火精霊に協力して欲しい」


 後は、相手が嫌がることでもあればなぁ。


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