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36話

 いかにも怪しい扉を開けるとすぐ正面に一つの椅子に座っている者がまず目に入った。

 こいつが悪魔だろうか。

 

 「よく、来たな、待ってたよ。ずっとな。誰かが俺の存在に気づくまで」


 それは寂しそうな、どこか嬉しそうな声だった。

 男は椅子から立ちあると、両手を広げて言った。

 

 「さあ、始めようか、生と死の狂気の演武を」


 最初に動いたのはポチ、クロ、シロの三人同時に仕掛けた。

 なんとか目でおえる速さだったがあっさりと三人ともいなされる。

 次に男が標的に選んだのは僕だった、あっさり腹をけられて吹っ飛ぶ。


 「お前、相当固いな。面倒そうだから後ろの雑魚を先にやっちまうか」


 男は魔王ブレニン配下の近衞に目をつけたようだ、

 それは一瞬、数名いた近衞が倒されていた。

 

 「やっぱ雑魚か」


 僕はポチ、クロ、シロ三人が仕掛けている間に洋館の周りに植えていた、清浄の苗を遠隔で力を送り少しでも奴の動きを封じるために力を使った。

 苗は気に教則に成長し、奴の動きが緩慢になり始めた。

 ポチ、クロ、シロの攻撃もすこしだが当たるようになってきている。


 「てめえ、何しやがった、俺の動きを阻害する魔法でもつかったのか?いやでもありえねぇ」


 「御屋形様に近づけるな!」


 巧みな三人の攻撃が続いている、三人今回清浄の木から削り出しだした、武器をそれぞれ持たしている、それも功をせいしているみたいだ。


 「くっ、なんで木のできた武器で俺にダメージが通る」


 清浄の木は対瘴気用に僕が新たに生み出しだ植物だ、効いてもらわなきゃ困る。

 動きが鈍り始めたころ合いをみて、僕は清めの水を奴にかけた。


 「ギャー、体が痛てぇ。何しやがった、こなったらこっちも本気で行かせてもらうぞ」


 男はいったん距離を僕たちからとると力をこめだした。

 すると人の姿から肌は、紫色に額からは2本の角、どこから出したのか手には槍を握っていた。

 明らかにゲーム内の悪魔と似ていたが見た目が少し違う。

 まず、目が紅い、次に槍がピッチフォークから三叉の槍にグレードアップしているし、背中には退化したのか小さな翼まであった。


 「こなったら誰も生かしておけねえ、まずはやっかいそうな、お前からだ。」


 悪魔は僕に狙いを定めたようだ、あんなので刺された死んでしまう。

 怖くなって僕は目をつぶることさえできなかった。

 すごいスピードでポチ、クロ、シロを抜き去り僕にせまる。

 後少しで僕に槍が届こうというときにガキンと音がして槍は何者かに弾かれた。


 「危なかったなユキ殿」


 助けてくれたのは魔王ブレニンだった、彼女はレイピアのような細い剣で槍をはじいたのだ。


 「また、じゃまが入ったか、まあいいお前も殺してやるよ」


 「先ほども言ったが私が魔王たる所以を今みせようぞ」


 魔王ブレニンは強かった、相手の槍裁きをいなし、かわし時には反撃にでている。

 そこにポチ、クロ、シロも参戦。

 初めてとは思えない連携で悪魔の体力削っている。

 時折、ポチ、クロ、シロの三人が清めの水を使いながら戦っているので、ここまでくれば、悪魔もあきらめて退散するはずなんだけど、その気配がない。

 むしろ、楽しんでいるようにも見える。

 

 4人がかりで悪魔も少しづつ傷が増えていってる。

 ゲーム内ならある程度清めの水を当てれば退散していくはず。

 頃合いからしてももう退散してもいいはずなのに。

 もしかしたら3年の月日が悪魔を変えたのか?

 だとしたら世界樹の枝を使うしか方法がない。

 でも僕には枝なんかだせない、どうすればいいんだ。


 「おらおら、俺はまだいけるぞ!」


 「こいつ思ったより強い!主なんか奥の手みたいなものないの?俺もやばいかも」


 悪魔は傷だらけ、クロは体力的に苦しそうだ。

 そうか、悪魔が瘴気そのものなら、僕が今まで治療してたみたいにすれば。

 でもあの中に参戦できるとは思えないぞ。

 

 その時僕が持っていたエコプラント用の種がひかりだした。

 これを使えってことなのか?

 僕は種に僕のための武器になるように願いを込めて力を注いだ。

 無数の種が成長を始めて僕に纏わりつく。

 そしてできたのは、蔦だった。

 蔦でどうしろと?

 しかし、何となく、蔦とはつながっている感じがしている。

 何とかこれで悪魔を拘束できれば。

 僕に絡みつく植物は僕が思うように動いてくれる。

 僕は攻撃を仕掛けるためにあしもとからゆっくりと蔦を忍ばせていく。


 「おいおい、少しの間にあんたらの大将が植物モンスターになってるぞ」


 悪魔を僕の行動を見ていたみたいだ、でももう遅い、この部屋全体が僕みたいなものだ。

 部屋中に僕から伸びた植物の蔦や、根が張り巡らされた後だ。

 

 「ブレニン!「ポチ、クロ、シロ引け」


 その合図とともに部屋の四方八方から僕の攻撃が始まる。

 

 「植物ごときに負けるかよ」


 何度も悪魔は迫りくる根や蔦を槍で切断していくが、僕の力もそんなにやわじゃない。

 すぐさま再生して無数に襲い掛かからせる。

 次第に悪魔は足を取られ、左腕を拘束され、身動きをとれなくなっていく。


 「なんなんだ、お前は!?、くそ力がはいらねえ」


 悪魔の僕に絡みついている植物から直接悪魔の瘴気を奪っていく。

 今までにないほど不快感を感じる空気に耐える。

 悪魔事態の瘴気はやっぱり不味い。

 それでも頑張って瘴気を吸い取っていく。

 悪魔もだんだん弱ってきているが、まだまだ倒せる気がしない。


 「俺を殺したかったら、瘴気を奪うだけじゃ殺せねえぞ。おれの魔核を壊さないとな」


 悪魔は弱弱しくも不気味に笑いながら言う。

 実は魔核の位置は瘴気を吸い取っている間にわかってる。

 胸の中央部分に紫色をした玉みたいなものを感じるからだ。


 「ユキ殿、無理を承知でお願いしたい、できれば生け捕りにしたい。この者には聞かなければならないことがある」


 ブレニンが言うこともわかる、この世界の悪魔がどうなっているか知るチャンスでもある。

 僕は瘴気の玉だけをとりだすため、玉自体の瘴気を清浄の木の苗で包むように悪魔から剥ぎ取る。

 すると悪魔は今までにないぐらい苦しみだした。


 「グッ!ギャギャー」


 瘴気の核を取り除くと悪魔はぐったりして気を失ったみたいだ。

 問題の瘴気の核は今もなお、微量にだが瘴気を放っていた。

 僕はすぐに瘴気の核を清浄の木で箱を作り出し中に入れた。

 一応は瘴気の漏れはないようだ。

 これは封印できたって事でいいのかな?

 後は、気を失っている悪魔だが、瘴気を放っていないとはいえ、危険かもしれないから、檻にでも入れてもらっておこう。


 「感謝するユキ殿。しかし、戦闘もしっかりできていたではないか、かなり異形ではあったが。そなたは本当に人間か?」


 うっ。人間と言われると怪しい気がする。

 300年も眠って、世界樹と一体化してるから、新手のモンスター?


 「完全な人ではないですね。僕は植物と融合しているので」


 「なんと、植物とな!?新種の亜人というわけか。他にもユキ殿のような者がエデンにはおるのか?」


 「今のところ、僕だけですね」


 世界樹って何本もそうそうないだろうし。

 これで、魔族の国の瘴気問題は解決だね。

 後は、国交を開くにあたっての相談ぐらいかな?

 悪魔さんもきになるけど。

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