33話
魔王との越権は、会議室ようなところでおこなわれるみたいだ。
王城は魔王城というようなおどろおどろしい感じではなく。
実質剛健って感じの必要な物だけを置いてある。
辺境伯とともに入城したので、何の問題もなく部屋に通された。
辺境伯がつくと扉の前には衛士さん?が2人たったていた。
辺境伯が近づくと衛士さんが扉をノックし扉越しに声を張り上げる。
「フィル・ベルク・ツベレーニア辺境伯閣下がおみえです」
「通せ」
中に入ると中央に椅子にすわる女性、両サイドに男性が座ってまっていた。
魔王は女性と聞いていたので、真ん中に座る黒髪の美人さんがそうだろう。
思ってた、サキュバスみたいな魔王ではないようだ、チラ見できそうにない。
どちらかと言えば、和服が似合いそうな、感じ。
洋服来ていて、露出も控え目だけど。
右隣には老齢なイカついおじさま。
左隣には筋肉ががっしりとした、見た目は脳筋みたいなスキンヘッド。
「それで、そなたが黒い豊穣の男神と言われている瘴気を治せるといううつけか」
と、老齢なイカつい爺さん。
「辺境伯の紹介でなければ、城に入ることさえ許されなかったぞ」
こっちは脳筋スキンヘッド。
「やめなさい、ガンズレー、アデイン。失礼した、この二人は、宰相のカンズレーと軍を預けているアデインだ。そして私がブレニン・マリスマリアだ。」
「初めまして、私どもは、あなた方が、魔の森と呼ぶ大森林から来ました、ユキです。後ろの三人はポチ、クロ、シロです。」
自己紹介が恥ずかしい、特に元ペット枠の三人の名前!ほんとにごめんよ。
でも、向こうは名前に関しては、スルーしたのか、興味がないのか特に笑われる事は、なかった。
「それで、本当に瘴気を治せると?」
「陛下、実際に私の妻は瘴気に侵されていましたが、完治しました」
辺境伯は、魔王の言葉に対して、すぐさまフォローしてくれる。
実際になおったからね。
「辺境伯の言葉通りなら、私もまだ軽いが、瘴気に侵されている、今この場所で治療できるのか?」
魔王自身も侵されているのは、事前にきいている。
「もちろんです、すぐにでもできますよ。それか、症状が軽いのであれば、城の木をすべて、僕たちの持つ清浄の苗を植えて、成長させれば、城の者たちにも効くことは間違いないです」
すぐに治療もできるけど、症状がかるいのであれば、清浄の苗を木に成長させてしまうだけでも十分に効果は出るだろうし、お城の人たちも安全になるだろう。
実際、今までの村や辺境伯の住む街でもその効果は証明されている。
まぁ、最初の村は治験的な意味合いもあったけど、実際に効果が出たから問題ないし、僕たちも長い間、魔族の国にいるけど、瘴気に侵されている者は誰もいない。
「わかった、ではまず症状が重い者を待たせている、その者を治療してみせよ。できなければ、わかっておるだろうな?」
と、宰相のガンズレーさん。
確か僕を『うつけ』と言った人。
馬鹿にしていられるのも今のうちですよーだ。
それに、できなかったらわかっておるだろうな?って言われてもわかるか!?投獄でもするつもりなんだろうか?される気は全くないので、ちゃんと治療しますとも。
「例の者を連れてまいれ」
会議室の魔王達の後ろの扉から、顔色の悪い人が両脇を抱えられながら連れてこられる。
咳もひどいし明らかに寝かしておかなければならないような重病人だ。
それを無理やりつれてきたのか!?
ひどいことをする。
「この者は怪しいそのたちの魔術の実験体になると志願してくれたものだ、見事助けて見せよ」
宰相のガンズレーは上から目線であいかわらず、ムカつく言い方をしてるけど、どうやら無理やりでは無いようだけど、早く治療しなければ、彼も苦しそうだ。
僕は彼を床に寝かせてもらい、すぐに手を彼の胸にかざした。
相変わらず不味い味にたえながら、瘴気をキレイにしていく。
それにこの人は、他にも病気にかかって、いるみたいだから、それも、ついでに治癒の力で治す。
病状はやはりすぐさまにおさまり、咳もとまった、咳までしていたということは肺炎でも患っていたのかな?
僕は彼の容態を見て大丈夫だと確信した。
「どう?もう苦しくないでしょう」
「はい、もう苦しくありません。咳もとまった?いえ、止まりました。ありごうとうございます!まさに奇跡だ」
本人も喜んでいるし、彼を連れてきた二人も喜んでいる。同僚だったのかな?
「これで信じてもらえましたか?」
僕は自信たっぷりにどやぁて顔をする。
できる子なんですよ、僕は。
戦闘以外はだけど。
「信じられん、確かに治っているようだ、我が城の治癒士でも治せなかった者をいとも簡単に治すとは」
魔王もビックリしているようだ、これで後は、魔王を治して清浄の苗を植えれば、大丈夫なはずだ。
「これならば、まずは、騎士達や文官達、民も救われる。して、そちらの要求はなんだ?」
「こちらの要求は、そちらがとらえた、妖精の解放です。我々の大森林に戻して頂きたい。それとできれば、そちらの国との友好的な国交も」
「魔の大森林はそなた達の国でもあるのか?それに我々の大森林だと?」
「そうです、我々の国は大森林にあり、大森林の妖精たちもまたひつような存在なのです」
「ハハハ、大きく出た物だ、よかろう、妖精たちは解放しよう」
「陛下!妖精の研究には我らの魔道の研究にも一躍買う可能性もあり、さらには、我らが国の発展にもつながるかもしれないのですぞ!」
宰相のガンズレーと軍務のアデインが反対のようだ。
「しかし、このままでは、発展どころか、ユキ殿がいなければ、いずれは瘴気によって滅びるぞ。ガンズレーもアデインも身内に瘴気に侵されている者がいるのであろう?助けたくはないのか?」
二人とも悔しそうな顔で俯いていまった。
「ユキ殿さっそくで悪いが、私も治してもらえるかな?」
「もちろんです。こちらの要求に応えていただけと思いますがよろしですか?」
「もちろんだ」
僕は魔王に近づき手をかざす、そして瘴気を取り除く。
軽い症状だけあって、不味いのは不味いがまだましだった。
あとは、清浄の苗を植えて、国交ができれば、言うことはない。
「確かに治ったようだ、息苦しさがなくなった。礼を言うぞ、ユキ殿。して、癒し手はユキ殿だけなのか?」
「直接できるのは私だけですが、清浄の苗を植えれば、他の者たちも次第に良くなっていく事でしょう」
「わかった、城に城下町にその苗を植えさせよう。しかし、苗からでは成長するの時間がかかるな」
「そこは、私が成長を促しますので、お任せを」
「なんと、そんなこともできるかのか、太古には自然を操るドルイドが居たと聞くがユキ殿はその末裔か?」
「末裔なのではない!御屋形様は我らが王、エデンの王だ!さっきから聞いておれば、貴様ら些かぶれいだぞ!」
ポチー!なんでそこで切れてんの、それに正体ばらさずにまずは様子見する手はずでしょうが!あとクロとシロもうんうん、頷いてる場合ではないでしょうが!
「なに!?王だと!魔の大森林からやって来た使者だと聞いていたが、使者自体が王とは。そなたの国は人でたりていないではないのか?どうせ、田舎者の王であろう」
めっちゃ馬鹿にされてるんですけど。
そら、そう思うだろうけど、住人がほぼモンスターだし、直接、瘴気を取り除き治せるの僕だけなんだからしょうがないでしょ!?
軍務のアデインさん好感度がたおちだからね。
「クロの主を馬鹿にするなら、ただじゃおかないぞ!」
「クロに同意です。ユキ様すぐさまこの国をでましょう!」
わーお。
だんだんカオスになって変な空気になってきたじゃないか!
どう収拾つけよう?




