3話
「は?」
扉から現れたのは見たことない人達がいる。一人はわかる。ミントだ。その後ろには3人の人がいる。
一人は銀の髪が肩の下ぐらいにまで伸び身長は180センチぐらいで、スラットした、スタイル。まるでモデルのようなきれいな顔をしている。体格的に男だとわかる。イケメンだよ、顔だけで飯食っていけそうなぐらいイケメンです。
二人目は女性で、黒の髪を後ろで括り褐色の肌は健康そのものって感じで、目は少し釣り目で、身長は160センチぐらいで、こちらもかなりきれいなお姉さんで、見た感じ活発に活動してそうな雰囲気がある。
三人目も女性だ。こちらは髪が白くボブカットのような髪型、そして肌も白い。まるで陶磁器のような美しさがある。何より胸が大きい。その服あってないんじゃないかと思う。それともわざとなのか?
「お館様、ずっとこの日が来るのをお持ちしてました!」
「主!、俺もずっと会いたかったよ~。」
「旦那様、ずっと好きでした!」
三人が三人ともかけてきて僕に抱きついてきた。それも涙を流しながら、お鼻を垂らしながら。
ちなみに上からイケメン、褐色美人、巨乳の美人。顔をぐしゃぐしゃにして、抱きつかれ、服がさ、ね。
それに三人目はなんか告白みたいな感じだし。ちょっと残念美人な感じがひしひしとする。それにみんな頭に動物の耳が、後ろには尻尾がブンブンと振ってみえる。何となくわかった気もするけど、一応、念のため聞いてみよう。
「えっと、誰かな?」
僕は困った顔で、助けを求めるように、ミントを見た。
ミントは笑顔で答えてくれた。
「ポチ、クロ、シロの三人ですよ。ご主人様がお眠りになった日から、お待ちしておりました。」
やっぱりか。見た感じからそんな気はしてたんだけど、なんというか、こういう展開は考えてなかったよ。しゃべるのは、精霊と妖精ぐらいかと思ってた。まさかペットだった三匹が、三人になってるとは、想像のはるか上をいかれました。ある意味僕のモフモフの期待を返してほしい。
この三人がこうなってるという事は、家畜達や、湖に住んでる魚もえらいことになってるのかな?山とかやばいことになってないかな?大丈夫かな?ここは、気を正しくもって、みんなに会いにいかないといけないな。うん、気合入れて行こう。
「ところで、そろそろ離れようか。三人とも」
三人はなぜか、すごい悲しそうな顔しながら渋々といった感じで、抱きつくのやめてくれたけど、僕の着てる服が涙と鼻水とよだれですごいことになってるからね!そんな顔してもだめだよ!
それにしても、三人の名前がヤバイ…。こんなことになるなら、もっと考えるべきだった。すごくもうしわけない気持ちになってきた。
「あ、あのさ、三人ともやっぱり、その、自分たちの名前ってやっぱり嫌だったりしますか?」
三人はきょとん、と、した顔でお互い見合わせ、そして胸を張ってポチ、クロ、シロが順番に答えてくれた。
「とんでもない!お館様につけていただいた名前はわれらの誇りです!」
「主が付けた名前、俺はすごく、気にいってるぜ!」
「旦那様に頂いた名前は至高なのです。」
そんなに自信満々に言われると余計に申し訳なくなるような気になるよ。そして、シロよ。シロが至高とかないと思うんだ。なんかやっぱり残念美人なんだね、君は。
三人の興奮が落ち着くのを待っていたら、いつの間にか夕方になっていたので、ほかのみんなに会いに行くのは、明日にすることになった。ミントに食事を用意してもって、ポチたちと4人で食事をすることになった。ちなみ精霊や妖精は基本的に食事を必要としない。彼らにとって食事は嗜好品扱いでしかない。空気中に存在してるマナと言われるエネルギーを吸収して生きている。
「そういえば、僕が眠ってた300年間、みんな何してたの?」
僕がそういうと、さっきまで和やかな雰囲気だったのが急に重苦しくなる。最初に口を開いたのはポチだった。
「お館様が眠りについた日から我らは皆で協力してこの地を護るべく動いてきました。もちろんお館様にそれぞれに与えられた仕事も精霊や妖精たちと共にやっています。」
話を聞くと、僕が眠り初めて最初の1年ほどはみんなでこの地をゲームの時と同じように過ごしていたそうだ。だけど僕が一向に目覚めないことから、何人かで外にでて、僕を目覚めさせることができないか動いてくれたようだ。5つの班に分かれて行動してくれたらしい。5つの班はすべて妖精たちで構成され、それぞれ活動してくれたようだ。ゲームの場合、僕が所有する土地から出るためには、ただ、メニューからマップを開いて選択するだけで移動ゲートが開いて、街に行くというものだったが、どうもその仕様はないみたいだ。
どうやら、僕が所有する土地のまわりは、くるりと、高い岩山で囲まれていて、5つの洞窟がありそこから外に出れるらしい。5つのグループは、それぞれに洞窟を調査し、外にでて情報を集めてくれいた。それを統括し、まとめていたのが、ミントだと聞いたときは驚いた。彼女は確かに家付きの妖精で、家事をこなし、僕が所有する土地から取れる資源を小まめに纏めてくれ、ゲームの時には僕の秘書的な位置にいた。在庫管理も彼女に話しかけることで把握できていた。ゲームの仕様通りに優秀だな。
外の世界がどうなっているか、わからない為、なるべく騒ぎを起こさないように行動する。僕を目覚めさせる事を目的として調査を行った結果、分かった事といえば、この世界は僕が所有する土地以外はFFFのゲームとは全然違うみたいだ。この大陸には5つの国が存在する。人間の国、魔族の国、エルフの国、ドワーフの国、獣人の国の5つ。そして戦争状態にあったらしい。『あった』というのは、5ヶ国が争う真ん中は平原があり、そこで戦火がきられていたいた。しかしそこに300年前に突如として天高くそびえる岩山が現れ、その周りの平原には木々が生い茂り、森となり、平原を覆い尽くす勢いで浸食していった。今では戦争ができる場所が限られいるようだ。これにより大きな争いは起きてはいないが、300年たった今でも、小競り合いは起きている。
今ではこの森には妖精がいると言われ、妖精の森や、不帰の森、死者の国とつながっているなど、噂がながれている。ちょくちょくとそれぞれの国が少数ではあるが、調査隊を送り込んでいるらしいがそのたびに妖精や精霊たちが道を惑わせて送り返しているみたいだが、それでも被害が出ている。それはこの森に自然発生した力の弱い妖精たちが人間や魔族につかまっているらしい。つかまった妖精がどうなったかはわかっていない。何とか助けてあげたいが、現状ではどうしようもない。
エルフやドワーフたちは自分たちは精霊の子孫として称していて妖精狩りなどは行っていないが、それでも、多種族に関しては排他的であるのはかわらない。妖精を見つけては保護するためと言い、自分たちの領土に移住すように説得しているようだ。自然発生した、妖精の中にはそのままついていったものもいるようだが、多くはこの森から離れたがらない。ミント曰く、ここには守らなければならないと本能的にわかっているのだと、感じているとのこと。そりゃ、自分が生まれた森なら愛着もあるわなと僕はその時は思っていた。
最後に獣人だが、彼らはポチやクロたちと似たような姿のようだが、一番攻撃的な種族らしい。一度ポチ、クロ、シロで接触したらしが、シロが言うには
「あれは、私どもとまったく別物です。滅んでしまえばいいのです。」
と、寒気がするように言い放ったので、ポチは苦笑いだったが、クロもその通りだという顔をしていたので、何となく、何があったのか聞けなかった。
「そろそろ、終わりにしましょう。ご主人様は目覚めたばかりです。あまり無茶はさせられません。」
ミントに言われ、窓の外を見るともう真っ暗になっていた。とりあえず、今日は休むことにして、明日は自分の土地を見て回ろう。なんせ300年ぶりみたいだし。なんか変わってるかもしれない。期待と不安を胸に僕はベッドに入った。
「で、お前たち。なんで僕のベッドに入ってるんだ。」
「久しぶりですので、お館様の足元でねようかと」
「主に抱っこされながら、また寝たいんだ」
「久方ぶりの旦那様のにおいが欲しいので」
ペットの時とは違うんだよ君たち。もうほとんど人間じゃん。ポチは男だしそんな趣味ないよ。
後二人は、僕の精神衛生上よくないから、無理だよ。爆発しちゃうよ。普通にペットとして寝れないわ!
「ミント、お願い」
「畏まりました」
その一言で察してくれたミントはさすがだと思う。こうしてペット三匹はミントに引きづられながら部屋を強制的に退出して、ようやく眠ることができた。