和泉 篶弥という男!
□登場人物紹介↓
高校2年生の設定です。
*面倒事は嫌いな普通の女の子 ♀
閑林 渚
*隣のクラスの天然系不思議くん ♂
和泉 篶弥
*主人公のクラスメイト ♀
富沢 佳菜子
***
わたしの隣のクラスの有名人、和泉 篶弥くん。彼は入学当初からその飛び抜けた容姿によって多くの女生徒の注目を集め人気を誇っていた!そう、「いた」過去形である!!
それは何故かというと、なんといっても無愛想。何があっても眉ひとつ動かさない無表情くんで、尚且つかなり!かなーりの不思議くんらしい。しかしまあ正直わたしは格好いい男子とか、そーゆー話題に興味が薄く…変わってる人や、また愛想がない人なんてまず、お近付きになりたくないので聞き流していたのだが…
なんだろう。最近凄く、視線を感じる(¯―¯٥)
「ねぇ、渚!また和泉くん渚のこと見てるよ~」
いまおっとりと話し掛けてきた子はクラスメイトの富沢 佳菜子ちゃん!胸まであるゆるふわな茶髪、ちょっぴりふくよかで明るい性格の噂話が大好きな女の子!和泉くんの話も佳菜ちゃんから一番よく聞いていた。
『ぅわー。な、なんなんでしょう…。てか誰?どれ?』
「え~なんで見返してないの~?ふふ♪あのひとだよ~
ほら、あの背の高い人~」
にこやかに目配せしてくれた先に居たのは…廊下の壁際に背を預け、腕を組みながらコチラをじっ…と見つめる視線。一目でわかる程に無遠慮で、ストレートな視線!こわい。ま、まじ無表情。こわい。
「ね~、格好よくない~?」
『なんていうかそれどころじゃないです佳菜ちゃん!』
「え~何㎝あるんだろ。和泉くん、スタイルいいなぁ♪」
『か、佳菜ちゃーん…なんでそんな余裕なの。
わたし怖いよ…』
「ん~。だって見られてるのわたしじゃないし~
それにね!」
ぱんっと顔の前で手を打ち首を傾げる仕草をする佳菜ちゃん。ちょうどその時、わたし達の会話に反応してか突然くるっと前に座っている男子が振り返ってきた。そして佳菜ちゃんと全く同じタイミングで
「「いつもあんな感じ」だぞ。」だから」
『…へっ?』
「だから、和泉くんっていつもあんな感じなんだよ~」
「そーそ。誰かしらターゲット決めて数日そいつの観察?始めてさ、まあ、特に接触もしてこないし我慢してればいつかまた他に行くだろ」
「つまり~!渚みたいな人はたっくさんいるので~す☆」
(な、なにそれ!意味わかんないんだけどー!!でも、被害者はわたしにだけじゃないみたいで、少し安心。不思議くんとは聞いていたけど…予想以上だよ)
『も、目的はなんなの!!』
「「さあ…」」
『す、数日ってどのくらい!?』
「「長くても3日くらい」じゃな~い?」
しかし。
(―――――――… 実に1週間が経ちました(||๐_๐))
依然として彼は休み時間はもちろん、教室移動、合同授業など抜け目なくわたしの観察?を止める気配を見せない。しかも日に日に心なしか表情が険しくなっていってるような…気がする。(あくまで気がするだけ)
「な~んだろう、今回は長いねぇ~ ふふふ♪」
『…、嘘つき。佳菜ちゃん楽しんでるでしょ?』
「嘘じゃないよー!こんなに長くロックオンしてることなんて本当に無いんだから~。まあ、渚の反応は楽しんでいるけどっ」
『うぐー。他人事だと思って~…』
チラッと彼が居るであろう廊下を振り返ってみると、
『!あ、あれ 和泉くん何処行っ 』
「な~ぎさぁ~ 正面~」
いつの間に私の後ろへ移動したのか佳菜ちゃんの弾む声
(は?)
「…俺、こっち」
素敵なハスキーボイスが目の前から発せられる。まさかと思いバッ!と前を向けば大きな壁。恐る恐る見上げると、そこには漆黒のサラサラとした長い前髪から覗く少し切れ長の瞳に、スッキリとした鼻筋…薄く形のいい唇…透き通るような美青年!
和泉 篶弥が わたしを見下ろす形で
『わ、わ、和泉く…ん?』
「ん。… 閑林さん はじめまして」
こてん、と
首を傾げながら呟くように話し掛けてきていた。
『はじ めましてっ』
(うわあああああああああああ!!!Σ (´Д`ノ)ノび、び、びっくりしたああああああいつの間にいぃぃてか、あれだな!綺麗な人だあぁ///睫毛ながっっ)
「…少し いい?」
『あ、はい。な、なんでしょう!』
わたしの許可を得た後、和泉くんはすぅっと視線をわたしのさらに頭上へと向ける。佳菜ちゃんかな?とも考え追ってみたが、何となく違う。もっと上の何もない場所を見つめているように思えた。まるで見える筈のない何かを…認識しているみたい。
(か、考えるのよそう(汗)
「いきなりだけど 放課後、あいてる?」
『へっ な、なんで!』
「君に 伝えたいことがある 図書室にきて」
教室内がざわっ!!としたのが伝わる。いつの間にか廊下にも人だかりが出来ているのが見えて、もう穴があったらなんとやらだ。
『えっ えっ ええぇぇぇー///』
「なに 急ぎの用でも…」
『ないけど!何にもないけど!!突然なんなのっ!?』
「?、ここでは…言えない。 ひとりで来て 必ず」
一人で来て欲しい。いまここでは言えない事ってそれ…
うぐぐ 面倒事は嫌だ!激しく断りたい。断りたい、けど~
『わ、わかったよ!』
佳菜ちゃんはニヨニヨしていたけど特に話の邪魔や追及をしてくることはなく、わたしはやってしまったと早くも後悔をしながら彼との約束をかわした。
「じゃ 待ってる」
***
「告白だね!邪魔はしないよ!」
さっさと身支度を整えキリッとした表情、嬉々とした声音で言い張る佳菜ちゃん。なんで君が張り切っているのか。
『わ、わかんないよ 気が早いから』
「わかるよ!絶対告白だよ!ほら行くよ!でもさ~、なぁんで断らなかったの?渚は絶対面倒だ~嫌だ~て言うと思ってたのに~」
(…それな。)
『なんか、あの目を見てたら断れなかったんだよ』
「目?なにイケメンパワー?」
『わたしにも …わかんないんだけどさ』
「ふぅん あ!図書室こっち。渚行ったことないでしょ」
『あ、うん。その通り、ありがとう助かる!!』
「じゃねー!あとで結果、教えてね~…ふふふっ」
下駄箱で佳菜ちゃんと別れて、いよいよ約束の時っ!憂鬱な気持ちは大きいがやはりわたしも女子高生。少なからず、期待している心臓がトクトク高鳴っている。
ふ、複雑な気持ち。
(あ、ここだ!)
実ははじめてくる場所。佳菜ちゃんもわたしが図書室に行った事がないだろうと察して、道を教えてくれたくらいに未知である。静かなとこって好きだけど、今まで全く用が無かったし、本にもそんなに興味はなかった。それに…や、そんなことより!
(い、居るのかな?ちゃんと…)
今更だけど不安になって扉の小窓から少し様子を見てみる と
ガラッと勢いよく扉が開いた。
(!!?)
「閑林さん、移動しよう」
『えっ あ、あの』
「今日は何故か人がたくさん 別の場所に行く」
またもや突然のことに頭がついていかない!あ、図書室に今日人がたくさん居るのは貴方のせいでしょうけど!!てかなんだろ。わたしが来てたことに気付いてたんだよね?姿も見てないのに??ああぁ考えてるうちに置いて行かれてしまいそう\("▔□▔)/.•゜
(~…っな、なんなのよもう!!!)
***
「ここなら 大丈夫?」
(どうしてこうなった!)
マイクをこちらに寄越しながら和泉くんはわたしに訪ねた。無表情ではあるが、わたしに気を使ってくれているのが分かって申し訳ない。
そう、私たちはカラオケBOXにいた。最初は喫茶店だのファミレスだの考えていたんだけど、如何せん和泉くんは目立つ!ほんとうに目立つ!!わたしは周囲の視線に気が散って仕方がない。
とのことで 和泉くんが最終的に提案してくれた場所が
(ここだったわけだが!や、個室って素晴らしいけどね!!意外だよね。和泉くんってカラオケとかよく行くのかなどーでもいいけど!!!)
「歌っても…」
『結構です!で、話したいことってなに!!』
端末を取ろうとする和泉くんに慌てて声を掛け、はやく事を終わらせようと話を切り出してみると少し考えるような素振りを見せて
(あ、またこの目…)
「…疑う かも」
『うん』
「不気味だって 思う」
『うん いいよ』
「…、閑林さんにとっては 別にどうでもいいこと かも」
『? なにかな』
「君に 生き霊がとり憑いてる」
つづく
ふう。なんとか書き終えられました。ちゃんと文章になっているか不安ではありますが、少しでも気になって貰えるような作りになっているといいです。