殺戮人形
『昨夜、殺人事件が起きました。場所は東京都杉並区─────です。この事件の犯人を、警察は現在14人もの人を殺している連続殺人犯と断定しており─────』
テレビのニュースはこの話題で持ち切り。
犯人は誰だろう?きっと、私のような殺人嗜好者。
一度は会ってみたいものだ。
「連続殺人犯、日本のJack the Ripperって呼ばれてるんだと。なんでも、爆破されたように肉片が飛び散っていて、たまに警察官が発狂するらしい」
Jack the Ripperは間違っているだろう。
話からするに、連続殺人犯は爆殺魔。
切り裂きジャックのように、刺殺ではない。
つまり、言うなればBomb Jack。
まあ、呼び方なんぞどうでもいい。
『きっと私と趣味が通じるはず』
忍を殺したあの瞬間から、私の歯車は狂い出した。
鳴子には連絡が取れないらしい。
果たしてこれは、鳴子のmiss?
それとも……
「暇つぶしに犯人探しでもするか?」
きっと半分以上冗談。でも、私は本気。
ぶんっ、と縦に首を振る。
正気か?と目を向けられたが今更だ。
ただ、手掛かりが得られない。
警察に知り合いなんて、いない訳だし。
ピンポーン
一体誰だ、こんな時間に。
クラルは欠伸を漏らしながら玄関に出た。
扉を開ける音のすぐ後、発せられるクラルの言葉。
「貴様……っ誰だ!」
急いでクラルに駆け寄った。
脇腹に血が滲んでいる。
立っているのは知らない少女。
色素の薄い柔らかな茶髪。くりっとしたモカブラウンの瞳。ただただ無表情でこちらを見据えていた。
後にいるハルに、『耳をふさげ』と書いた紙を放り投げ、クラルの耳を私が塞いだ。
すぅ、と私は息を吸い込む。
「弾け飛べ」
この頭痛には、慣れそうにない。
少女は肉片と化し、死ぬ─────筈、なのに。
変わらずそこに突っ立っていた。
ぞくりと寒気が背中を這い上がる。
「な、なん……で……」
声が震える。ああ、なんて情けない。
『私は浜井の作品。完全なる殺戮人形。貴女の言霊は私に効かない。その代わり、私の言霊も貴女には効かない』
そう書いたメモが渡された。鳴子の作品?
鳴子は、殺戮人形を作り出すような人だったか?
そう、鳴子は何処か変わってはいるが、明るくて、美人で─────
ちょっと、そんな鳴子に憧れてもいて。
そんな鳴子が、殺戮人形を。
では私は、missなんかじゃ無かったんだ。
こういう風に設定されていたんだ。私も所詮は鳴子の人形。
思考も全て、読まれている?
『なにしに来た?』
鳴子が私達を殺そうと目論んでいるのか?
殺戮人形が書いた言葉は、予想外。
『鳴子のめいれい。殺すことはめいれいされてない』
殺そうとしていない?
分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない。
ショート寸前。




