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サイコキラー
「おい!大丈夫か!?」
クラルが走ってくる。
私は頷く。
それから、肉片と化した忍と血に濡れた私を見る。
「リオが、やったのか?」
私はただ、黙り込んだ。
それを肯定と取ったクラルが、眉を寄せた。
「なら、何故笑ってるんだ……?」
『殺人が、愉しかったから』
言い訳など思いつかなかったので、素直に答える。
あの余韻が、まだ残っている。
いつまでも浸っていたい。
「殺人嗜好者か。浜井もとんだミスを……いや、浜井ならこんなミスしない。なら……わざと浜井が?何で……」
ぶつぶつ呟いてから、私に向き直る。
「いいか、これ以上殺人をするな」
私は精一杯の笑顔を作る。
「嫌だ」
疎ましい頭痛に耐えつつ、拒否する。
あの快楽を、また味わいたい。
私の能力があれば、殺人など簡単なことだ。
「そう言うと思ってた。サイコキラーは、殺人の愉しさを忘れられない。そしてまた……同じ過ちを犯す」
何と言われようと、私は殺人をしてしまう。
「帰るぞ。それについて話し合おう。お前の意見をなるべく優先してやるから」
私は帰路をすすんだ。




