快楽殺人
この能力は、悪用すれば世界を滅ぼし兼ねない。
そんな危険な人工天才を、何故鳴子はつくりだしたのか。
そもそも、人工天才を何でもないように作る鳴子は何者なのか。
鳴子に対しての疑問は、クラルもわからないものがほとんどだった。
本人に聞こうかと考えたが、面倒なので諦めた。
鳴子のことだ。
特に理由はない、と言うに決まっている。
この時、面倒だなんて思わなければ、あんなことは起きなかっただろう。
世界中を脅かした、あんな事件がーーー。
「大変だ!ハルが帰ってこない!」
私がここにきて、一ヶ月が過ぎた頃。
『ハル、携帯持ってる?』
クラルは、頷く。
私はパソコンで、ハルの携帯の位置を調べあげた。
「すげ......流石IQ400超え」
初耳である。
ハルは、意外に近い位置にいた。
気を失い、倒れていた。
首筋に、ナイフをつきつけられて。
「忍っ!?」
シノビ、とは通り名だろう。
私は低く、はっきりと告げた。
「ハルを寄越せ」
その通りに、忍は動く。
「クラル、ハルをつれて逃げろ」私の思い通りにことが運ぶ。
「弾け飛べ」
忍と二人きりになるやいなや、ありったけの殺意を込めて言った。
ただの肉片になる忍。
私はこの殺人に、快感を覚えた。
愉しい。愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい愉しい。
この世界にこんな愉しいことがあるなんて。




