表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

星の名前はプティット

 女神は星の名前を、プティットと名づけました。


 時間の流れを宴会好きの男神が管理していた星・地球を参考に、1日を24時間、1月を30日、1年を12ヶ月としました。 1年のはじまりには、聖樹から光の柱がたち星全土に光の祝福がふり、1年の半分である6月には、聖樹が淡く発光します。 そして環境は女神の性格のような、ほんわかとした穏やかなものです。


 プティットを創ってから、数百年。 動物の種によって創られた彼らは、女神が用意したそれぞれの土地で似た種族同士があつまり、それぞれの文化を築いていきました。


 彼らの主食は神力と設定されており、他神の星であるような食物連鎖という概念は生まれませんでした。


 星の中心には、女神が神力の半分をつぎ込んで創った聖樹があり、国の中心には聖樹と根がつながっている聖木があります。 聖木とは聖樹の子どものようなもので、聖樹のように強すぎる神力ではなく、妖精以外の彼らにとってはちょうどよい神力を周囲に放っています。


 国の中心にある聖木のおかげで、彼らは飢えを知らず仲間と楽しく過ごすために知識をつかいました。


 そんなプティットにできた国を紹介します。


 プランタン・・・星の中心にあり、女神が神力の半分をつぎ込んで創った聖樹がある、妖精の国。 食いしん坊の集まりのため、聖樹の周りには妖精が育てた果樹園があり、それぞれの力を注いだ果実を作ってはお互いに食べ比べをして過ごしている。 1月には、果物大会が3日間にわたって開かれます。


 デサンブル・・・プランタンの右側にある三日月型をしているクロワッサン島の南部にある、人の身体に耳や尻尾がついた、半獣の国。 手先が器用で、服やアクセサリーをつくったり、自分の作品を発表するのが大好き。 12月には、ファッションショーが小型の部、中型の部、大型の部と3日間にわたって開かれる。


 セプタンブル・・・クロワッサン島の中部にある、鱗をもった種族の集まり。 国というよりも、大きな一つの家族のような繋がりがある。 9月には、4つのグループに分かれて能力大会が開かれる。 地球の運動会に似ている。


 オクトブル・・・クロワッサン島の北部にある、人と同じように2足歩行ができる、獣人国。 腕っ節がとても強く、日々喜んで自分の体をいじめ、強い相手と勝負することが生きがいな彼ら。 いかに特殊能力をもった武具を創ろうと、情熱を注ぐ彼ら。 とにかく情熱に燃える国。 10月には、武具大会・武術大会が行なわれる。


 アブリル・・・天空島にある、翼を持った人型・獣型の国。 知能が高いものたちが多く、学問の国とも言われている。 4月には、弁論大会が開かれる。


 ジュアン・・・プランタンの左側にある細長い島にある、植物の国。 人型もいれば、まんま植物も住んでいる。 基本は島の中で散歩をしたり、かっこいいポーズを考えたり、新しい仲間を育てている。 のほほんとした性格が多いが、たまに好奇心旺盛な木がいて、海を流木のように流れて冒険を楽しんでいる。 6月には、〝まねま根っこ〟という、ポージング大会が開かれる。


 女神はプティットの成長を喜び、高位男神にいつも面白く話しました。 話す時間が長くなるにつれて、女神は高位男神に好意をよせるようになりました。 しかし、高位男神の女神に対する接し方は、数百年前と変わらない幼い者にするものでした。 実際に数百年たちましたが、いまだに女神は1番幼い神のまま。 高位男神の接し方もしかたがありません。


 女神は、自分が高位男神の伴侶になりたいと初めて思いました。 そして、次に会うときは自分の思いを、高位男神に打ち明けようと決意しました。


 高位男神と会う約束をした日、いつも会う湖のほとりにある一際大きい樹の根元へ行くと、高位男神だけではなく中位女神が一緒にいるのが見えました。 中位女神は女神とは違い、高位男神とお似合いのスラリとした大人な身体の持ち主でした。 2人は密着して楽しそうに話しており、しかも女神に気がついた中位女神が勝ち誇ったような視線を投げかけ、女神を鼻で笑ったのでした。


 女神は高位男神に声をかけることができず、自身が住む森へと帰ってしまいました。


 あれから高位男神と会いずらくなった女神は、森であの時の中位女神のことばかり考えていました。 自分とはあまりに違う存在に見えた中位女神。 高位男神もきっと私より中位女神の方が良いに決まってるんだ、と考えているうちに女神の雰囲気がだんだんと暗く、影をまとっていきました。


 自分に足りないことばかり考え、卑屈になっていく女神。


 やがて、女神が気づかぬうちに容姿に変化が表われだしました。 輝くような緑の銀髪だった髪や瞳の色が、淀んだ緑色に。 頬がやつれ、肌は青白くなりました。


 女神の容姿が変貌を遂げた頃、彼女が創った星、プティットにも変化が現れました。


 淡く発光していた星に、黒い影が入り込み、星を侵食し始めたのです。


 プティットに住む住人らが見たのは、黒い雲から降る、黒い雨でした・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ