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源氏と平氏

明仁と明(めい)とれいと花は、かくれんぼをしていた。

母屋からやや離れた小屋は、誰もいないかっこうの遊び場だった。

「御東所(ごとうしょ)に行きたい」

「ええ??」

明の言葉に、花は言った。

「今、出ていったら見つかっちゃうよ」

れいが言っても、明は、「御東所に行きたい」を繰り返すばかり。

ドタドタと明仁が近づいてくる音が聞こえて来た。

「どこだろう」と、言いながら、押し入れを開けている音がした。

「御東所に・・・」

明がまた言うので、れいと花は、「しっ!」と、くちびるに人さし指を当てた。

「よし、さあ、動くよ」と、れいが言うと、花が、「それ、私のセリフじゃ」と言った。

「今だ!」

れいが言うと、れいと花は、縁側からじゃりに降りて、背をかがめた。

花がさらに行こうとすると、「待って!」」とれいが言った。

花が振り返ると、明がまださっきの場所にいる。

れいと花はすかさず、明仁の方を見た。明仁は、押し入れの中を入念に調べると、ふすまを閉めている。

「もはや、動かぬ方がいい」

れいの言葉に、花は明を見た。

すると明がいきなり大声で、「一抜けた!御東所」と言い、すたすたと明仁の後ろを歩いて行った。

れいが、「万事休すじゃ」とさらに腰をかがめた。


四才の四人は、近頃、かくれんぼに夢中だった。

ルールを変えようと言ったのは、明だ。

「動いてもいいことにしよう」

だがしかし、明は、このことを言ったことを後悔した。

れいと花が、スバイ映画を見てから、やたら真面目くさってやるようになったからだ。

ふと、縁側の下に目をやったれいは、急に、「ヒッ」と、悲鳴をあげた。

花が縁側の下を見ると、はつかねずみが、こっちを見た。

「ヒッ」と、花も悲鳴をあげて立ち上がると、明仁が、「花見っけ!!」と言った。

れいが、「こ、腰がじゃ・・・」と、四つん這いになりながら、じゃりの上を歩いて行く。

すると明仁が、「れいも見っけ!!」と言った。


夜になると、四人は、源氏と平氏の壇ノ浦の戦いというビデオを見た。

「要するにだけど」と、明仁は言った。

四歳児にしては、非常にこまっしゃくれた物言いである。

「肝っ玉の大きさをじゃ、競い合ったんじゃろうな」

そう言って、茶をすする明仁は、もはや晩年である。

明は、幾分退屈そうにあくびをかみ殺したあと、「ゲームでもやらぬか?」と、ちゃぶ台の下から何やら箱を取り出した。

「ああ、それ知ってるじゃけ」と、花は言った。

「じゃじゃーん、生き残りゲームじゃけ」

明がせこせこと箱を開けている。

「レトロじゃなぁ。四人で遊べるじゃけ?」

れいが言うと、明仁が、「できるじゃけ」と言い、箱を受け取っている。

夜更けまで四人は遊んだ。

あの嵐の夜までは・・・。



滋賀竜王アウトレットは、けっこうな広さがある。

アウトレットとは、ブランド品を安く出している。

流行おくれなものであるが、あえてこの特別感を選びつつ、ここアウトレットが、普通の人が来ないところだと知っているやからが来る。

時計店の向こうに、神戸マフィアの咲坂壮太がいて、手を上げた。

滋賀竜王は、結川将暉が作った。

結川将暉が仕掛けた、林黄(リンホワン)は、京都祇園にメスを入れた。

皆伐が、がっかりしたように、「咲坂さんか」と呟いた。

「これはこれは、名古屋への進出か」と、楠木が言うと、後ろから広島が、「よっ!」と言った。

花の足には、黒澤が選んだぺったんこのチャイナシューズが足にフィットしていた。

横すべりするおしゃれな靴は、陰謀である。

今回の名古屋空港での出来事に、半信半疑である皆伐は、リンツから出てきた結川将暉に度肝を抜かれたが、結川将暉自身は、「メシでも食おう」と屈託がなかった。

昔遊んだ、生き残りゲームは、結局明が勝ったが、この世界は死んでなんぼの気さえすると花は思った。

蛍が、「静香に怒られるじゃけ」と言いながら、どこか面白そうだ。

今回のニアミスは、尋常じゃない。

「みすみす逃したんじゃ?」と、谷田が言ったが、花にはまだその真意がわからなかった。






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