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第7節 「本で読みました」の無双劇  不可能と言われた晩餐会の準備。結衣は図書室で得た膨大な知識を駆使し、次々と問題を解決していく。

第7節 「本で読みました」の無双劇  不可能と言われた晩餐会の準備。結衣は図書室で得た膨大な知識を駆使し、次々と問題を解決していく。


 晩餐会の準備は、最初からトラブルの連続だった。

 麗華たちの裏工作により、発注していた高級食材が届かず、装飾用の特注クリスタルもキャンセルされた。


「どうするのよ、白瀬さん? メインディッシュも飾りもない晩餐会なんて、御影家の泥を塗るようなものですわ!」


 嫌がらせを仕掛けた張本人である麗華が、わざとらしく嘆いてみせる。

 事務局は大混乱に陥っていたが、結衣だけは図書室の机で一冊の古びた料理書を開いていた。


「……あ、これ、本で読みました」


 結衣が静かに声を上げた。


「食材が届かないなら、地元で採れる旬の野草やジビエを使いましょう。18世紀のフランスの飢饉の際、ある宮廷料理人が考案した『質素を贅沢に見せる魔法のレシピ』があるんです。当時の貴族たちも絶賛したと言われています」

「はあ? 雑草を食べさせようっていうの?」

「栄養価も高く、何より『今の時代に即したサステナブルな晩餐会』というコンセプトになります。御影グループが進めている環境事業のPRにも最適かと」


 結衣はテキパキと指示を出し始めた。

 装飾についても、キャンセルの隙を突いて、「日本の伝統的な竹細工」と「和紙」の活用を提案する。


「クリスタルよりも温かみがあり、夜のライトアップでは幻想的な陰影を生みます。これも、江戸時代の祝宴の記録に詳しく書いてありました。計算したところ、コストは十分の一、見栄えは三倍以上になります」


 結衣の頭脳は、図書室にある数万冊のデータベースと直結していた。

 歴史、経済、工学、植物学。

 彼女にとって、本はただの紙の束ではなく、現実を変えるための魔法書だった。


 困難な調整も、「かつての交渉術」の本から学んだ心理テクニックで、相手に不快感を与えずにまとめ上げていく。

 周囲のスタッフたちは、次第に結衣の圧倒的な「実務能力」に圧倒され始めていた。


「な、なんなのよ、あいつ……。どうしてあんなに動じないの?」

「まるで、すべてが最初から決まっていたみたいに迷いがないわ……」


 麗華の焦りは募る。だが、結衣にとってこれは「ただの読書感想文の延長」に過ぎなかった。

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