第二話
「ここどこ?見たことない公園名なんだけど」
「結心の行動範囲が狭すぎるだけじゃないかなって」
「こんなにもパーリーピーポーなのにか?」
「口癖が怠い、めんどい、ウパーイーツの人間が 言う言葉じゃないような気がするわよ」
軽口を叩きながら、夕暮れの中を二人は歩いていた。
少し現実逃避もあったのか、わざとらしくテンションを上げる結心に、雫叶は黙って彼女に合わせていた。
「喋ってたら目が痛くなってきた。薬ちょうだい」
「もう切らしたの?」
「家に置いてきた」
「ドライアイになるたびに私にたかるの良くないと思うのよ。あと、いいかげん家から持ってきなさい。」
「めんどい」
「……」
ネオンオレンジの目薬を渡しながら、雫叶は親友の怠惰さに呆れはてた。
「なに……これ……」
GPSを頼りに瑠不を探しにきた二人は、その異様な風景に絶句するしかなかった。
爆発でもあったのかというくらいあちこちへこんだ地面、壊れた立て看板に煤けた雲梯。しかも雲梯に関しては特に奇妙な様相をしていた。雲梯自体は煤けただけのようだが、その周りの草が黒焦げになり、土の色も変色しているのだ。しかし、火で焼けたというには遊具から少し離れただけの雑草は焼けていない。
あんまりにも嫌な予感がした結心は、そっと雫叶をちらりと見た。雫叶は、真っ白になった唇を一文字に結んで震えていた。
「雫叶?」
「瑠不ちゃん、ちゃんと生きてるよね?」
「ちょっと」
「だってGPSの反応だけだもんね」
雫叶は縋るように結心を見つめ返した。
「あー……」
結心は、あまりの狼狽えように困ってしまい、
とりあえず持ってきたハリセンで雫叶を叩いた。
「痛ッ」
「あ、戻った戻った」
「もう少しなかったわけ⁇」
「うん」
「せめて考えるそぶりくらいしませんかね」
少し落ち着いた雫叶と結心は、手がかりがないか、公園内を探し回ることにした。
「どこにもGPSないんだけど」
「反応は確かにここにあるのに……変ね」
2人が困り果てていると、地面を揺るがすような轟音が背後から聞こえた。