第一話
初投稿です。
温かい目で見てくださると嬉しいです。
スヌーズの音ほど嫌いなものってない。
私は、いつも通りイラつきながらスヌーズを全部解除しようとスマホを触る。
ちょうどその時、電話が来た。
電話の相手は、親友の雫叶。
「おやすみ」
「今もう17:00だよね」
「………………ぐぅ」
「寝ないの!!」
思わず耳が大ダメージを受けた。
「で、何」
雫叶は、ハッとしたように我に帰り私に告げた。
「瑠不ちゃんが誘拐されたの。」
「……ハ?冗談言わないでよ」
「じゃあ瑠不ちゃん、家にいるの?」
慌ててベッドから跳ね起きて家中を駆けずり回る。
居ない。どこにも居ない。家を出た痕跡もない。
「居ない」
「何してんのよバカシスコン」
「じゃあ、どこにいるかわかるのかよ」
「わかるわけないでしょエスパーじゃないのよ」
「」
思わず雫叶に当たり散らす。
あー、めんどい事になってる。
でも、瑠不は別。助けなきゃ。
どうやって?
「雫叶」
「何?」
「とりあえず寝ていい?」
「しばくわよ」
「まぁ、そんなことは冗談でして」
「どつくわよ」
家に押しかけてきた雫叶とともに、私は作戦会議をする事にした。雫叶は何故かハリセンを持ってきた。
私は雫叶に自分のスマホを見せた。
「ここにスマホがあります」
「見りゃわかるわよ」
「このアプリを立ち上げます」
「……ん⁇」
「瑠不はここにいます」
私はスマホの画面を見せた。そこには、「私の愛」
と書かれたピンがマップ上の一点を指していた。
「そこになおれ犯罪者」
ハリセンの綺麗な音が響き渡った。
「痛ァ」
「なんで言わなかったのよさっき」
「混乱してて忘れてたんですぅ」
「……ここ、道路の真ん中だし落とした感じかなあ」
「無視しないでもらえる⁇」
私の抗議を無視し、雫叶は私に告げた。
「ここに行こう。何か手掛かりがあるかもしれない」
「被害届と親への連絡が先じゃないかなって」
私がそう言うと、雫叶は真剣な顔で言った
「やめといた方がいいと思うよ」
「確かに、さらに面倒な事になりそう。後でいっか」
「いや、結心、手続きできなさそうだし」
「親友に対する信頼があまりにも無い」
雫叶が怯えて言った。
「……顔が怖いよ、結心」
画面の一点を見つめる私の目が、ギラギラと光る。
スマホを握りしめたまま、私は小さくつぶやいた。
「瑠不を、絶対に取り返す……。」