爆速で世界を救う魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェアォオウハハウラチマンチ
群馬の南西部でとある事故が起こった。
発生は未明の頃であり報道の関係者も事故の全容を公にしなかったが、その“せんせーしょなる”さにより瞬く間に情報がインターネット上に拡散された。
その不可解さと鮮烈さに往来に跋扈する陰謀論者がこぞって裏の政府の存在を語り、ネットイナゴが群がったという。
また同時に各国の政府が事態を重く受け情報統制を行い、一連の事故への関心がさらに高まった。
ある情報網から得たところによると、その事態には 異世界転生と呼ばれるものが大きく絡んでると噂される。
少なくとも、交差点に進入してきた時速102940608032536748780143796080113264960701436786008114426274070814635071kmで走るトラックに通行人が跳ねられたという事故はそれほどの恐嚇を世間に齎すに足りたと言える。
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世はWeb小説大騒動期。
インターネット上に公開されていた低品質の小説が現実の書店へと進出してきつつあり、遍く小説マニアや書店の店員らが冷ややかな目を向けていたとされる。かの騒動に紛れ男は異世界へとやってきた。
魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェハハウラチマンチの到来である。
魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェハハウラチマンチがやってきてからというものカレテ辺境領は前代未聞の大騒動に巻き込まれる。
齢6歳にして大魔道士たるアヘレデフィダの一番弟子になる云々、僅か10にして大魔道士たるアヘレデフィダを超える魔術を身につける云々、12にして入学した魔法学院の魔術測定で放った魔法で学院の9割を焼失させ、死亡者数4991人負傷者数95918名の大災害を招く云々、22時間42分という学院の歴史上最速で卒業する云々、実態は卒業という名の厄介払いであろうそうだろうとも斯々、カレテ辺境領の北西部リョソジの森に巣食う討伐ランクSSSSSSSSSSSSSSSSSSSランク級の大型魔獣、ハユハオハムホツヤハハワサムハウヲノを森ごと爆散させ周辺地域の生態系を書き換えるまでに至る、等々あって魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェハハウラチマンチは名を悪い意味で異世界に刻み込んだ。
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魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェハハウラチマンチの外見は黒髪黒目で冴えない感じだがスタイルは良く、顔も本人は普通と思っているが鋭い審美眼を有する美少女の妹曰く「それなりに良いってとこね!」と評する。彼女は魔法学院焼失事件の犠牲者の4991人の内の1人だった。
普段の服装はキリトみたいに全身黒ずくめでベルトとかひらひらマントとか身につけており町中ですれ違う人の9割が不審者と見違う。事実そのとおりである。
魔法学院の事件から8年が経過したある一日、不審者の男は暗い路地裏を抜けて 寂れた酒場へと入った。
「旦那あんたまた来たのか!」
店主は驚いた表情で男を見た。背中に剣を背負っており 周囲の客をざわつかせる。その剣はミヂョミヂョの宵の神剣と呼ばれる。豪奢な装飾が施されるその刃は複数の次元にまたがる物質で構成されており、それゆえ切れないものは存在しないとされる 。ごくわずかでも対象を切り裂いたものを即座に死亡させる魔の剣であり、あらゆる事象に先立って 攻撃を終える神速の剣である。
「何、ごろつき を殺しに行こうと思ってな」
「おいおい騒ぐなら外でやれよ、なあ。お前がいると迷惑なんだよ、お 前 が い る と な ! 第一酒場に剣なんて持ってくるんじゃねえここは おめえみたいな犯罪者がうろついていい場所じゃねえってんだわかったらさっさとぐああああああああああああああああ!」
ミヂョミヂョの宵の神剣がゴロツキを斬った後だった。断面から遅れて血しぶきと臓物がぶっしゃーする。とても細かくは描写できない惨状が酒場で起き周囲が悲鳴と怒号で満ちた。
剣を振るうたびに悪人が死んでいく。煌々と光るランプの灯りに赤が反射しており、いっそう酒場の状況は見るも無残なものへ変貌したのが感ぜられる。
なんと。
なんと正義は心地の良いものか。
そうだ。世界を救おう。
魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェハハウラチマンチはそう思った。
この世界には冒険者ギルドがあり、所属人員には5種類のランクが与えられ、それぞれをウッド、アイロン、ブロンズ、シルバー、ゴールドとする。しかし卓越した冒険者に与えられるランクがある。
ゴールドランクを片手のみで圧倒するプラチナランクが見ただけで逃げ出すダイヤモンドランクですら足元にも及ばないというミスリルランクを睨むだけで気絶させられるオリハルコンランクを鼻息だけで吹き飛ばしてしまうアダマンタイトランクを指先一つで御してしまうヒヒイロカネランクを小馬鹿にできる実力者のためにクロガネランクが存在し、魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェハハウラチマンチにはこれが与えられた。
クロガネランクの冒険者には魔王にも匹敵するという噂があり、彼は魔王討伐に向かった。
その星には世界の半分を統べる魔王あわおああgそあpうぇえrじょpとその四人の配下がいた。
配下は入れ替わり続ける人員で構成され、通称は四天王とされる。
当代の四天王は五名。
焔天のihgajfpoerfgjsthjgfgsafdjgdjがいる。
魔剣士ハユハイメンニャァラヌハハウムがいる。
傀儡師E=mc2がいる。
二人囃子のファフレイゾイガエとララウェギェウェレオアコ゚がいる。
四天王はそれぞれ魔王城の結界を維持しておりすべてを倒さねば道は開けない。故に魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェハハウラチマンチはまず彼らを殺すと決めた。
焔天のihgajfpoerfgjsthjgfgsafdjgdjは星の核に満ちる熱エネルギーを行使する魔法使いだった。だが殺した。
魔剣士ハユハイメンニャァラヌハハウムは魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェハハウラチマンチの亡き父親の姿だった。剣術を教え魔導の道を彼に志した師であり、血を継ぐ家族だった。だが一太刀の元に両断した。
傀儡師E=mc2は複数の傀儡を操り戦う戦士だった。二人囃子のファフレイゾイガエとララウェギェウェレオアゴは両方同時に倒さなければ行けない類の敵だった。しかし魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェハハウラチマンチは魔法学院以来封じていた魔法で全部を微塵と化した。
そして最終決戦である。
「よくぞたどり着いたな勇者よ。。。。。。。お前は勇者じゃないな!聞いているぞ!四天王を殺したのもお前だろう!魔王を倒すのは勇者と相場が決まっておろうに!お前は許してやらん!」
魔王は魔王城の本丸にて愛剣を手に取った。
「お前とも長い付き合いだ。無理はさせたくないが……今一度、本気を出さねばならん」
鞘から抜き放たれた漆黒の刃は濡れた鏡のように艷やかで、一つの錆や傷も見受けられない。魔王は魔族一と謳われる剣豪でありながら、ついぞ彼と名試合を演じる相手は現れなかった。魔王の愛剣は一度も振るわれた試しはなく、それ故魔剣の真価を見たものはいない。
「いざ」
魔王は剣を正眼に構え、しかしミヂョミヂョの宵の神剣が魔王の愛犬ごと魔王を両断していた。
「会えおrhgcbくぃくぇrhrrh手rwrうぇそあwjkqjglkml;んっぽjぽjぽ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
テレテテン!
魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェハハウラチマンチは魔王を倒してレベルが上がり580184891847の大台に乗った。
レベルアップにより時空相転移の魔法を手に入れ、時間と空間と次元を自由に移動できるようになった。
魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェハハウラチマンチは別次元の世界を救うと決めた。
ふらっと現れた世界を救い、あるいは勢い余って文明を滅ぼしかけることもあった。幾重にも渡る次元を移動し、チンドン屋でもやらないくらい騒々しく数多の平行世界を練り歩いた。
何度目の異世界転移になるか魔剣士神剣士夜斬剣士ハトユハトムオーバーロードネヘツムェファトヘユサハニヒヘイセウヨニヤゲボルヴェハユハイメンニャァラヌハハウムエヌラゴプオウェェェハハウラチマンチも覚えていられなくなり、しかしやがてとある世界へと逢着する。それは群馬県南西部のとある交差点だった。
数多の雑踏に紛れ底辺会社員の男は交差点を歩いていた。変化のない毎日を送り、ようやっと得た生活もいざ見てみれば退屈ばかりが支配している。どうしてこんな生活を送っているのだろうと男は考える。努力を怠ったせいだ。努力を怠ったのはほかならぬ自分であるが、男はそうとは考えなかった。
何もきっかけが訪れず、努力する機会にも恵まれない。そう、私には努力する才能がなかったのだ、と本気で信じ込んでいた。鬱憤を白昼夢とSNSの愚痴で誤魔化し、Web小説を読む時間を少しでも現実での研鑽に費やせばこの現状を良くできると知りながら、そのいつかをずっと待ち続けている。
あるいはそんなとりとめのない考えを巡らせていたからか、彼は道路から差し迫る時速102940608032536748780143796080113264960701436786008114426274070814635071kmで走るトラックに気づかなかった。
「前から車が!ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
男がすりつぶされて道路の赤黒い染みへと変わる直前だった。
遍く事象に先立ってミヂョミヂョの宵の神剣がトラックを両断した。真っ二つに割れたトラックはそれぞれ右と左へ速度を保ったまま住宅街へと侵入し家屋を倒壊せしめ、やがてその速度で宇宙へと消え去っていった。
「なんだったんだあれは」
男は眼前で起こった事故を受け止めきれないまま帰路についた。センセーショナルな事件も、不可解で鮮烈な事故もない日常を彼は送る。彼が望む特別な日はやってこない。ただありきたりな生活だけが彼を待っている。