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レントとディエゴとそれから僕(シオン王太子殿下の昔語り)

「これはこれは、ステファン殿にリーリオ殿。血相を変えてどうかしたのか」

「こ、国王陛下…!慌ただしい所をお見せして、失礼いたしました…!どうか非礼をお許しください」

「実は…息子たちがいなくなったのです…」


 広い王城で迷い子を探すのは困難である。更に粗相をしてはいけないという焦りから、父親二人は冷静な判断を下すことができなくなっていた。


「…焦らずともよい。お前たちの息子なら、シオンと一緒に部屋に行くのを見た」


 ギョッとする。焦るなというが、状況はそれを許さない。


「す、すぐに連れ帰ります故…どうか…!!」

「ああ、よいよい。気にするな。あれもたまには気分転換が必要じゃろうて」

「しかし…」

「母親が亡くなってからどうも塞ぎがちだったのでな、むしろ助かるわい」


 国王の言葉に、二人はそれ以上何も言えなくなってしまった。





✳︎ ✳︎ ✳︎





「んんんんんん王太子殿下ぁああ!!!」

「レント!!ディエゴ!!お前たちはっ!なんてことっっっ!!!」


 きっと僕が、なんでか口紅と頬紅をつけてなにやらカーテンを巻きつけていたからなのだろう、リーリオは息子たちの頭を殴りつけた。


「いってぇ!!!だってよ、こいつ…」

「こいつじゃない!!!言葉を慎め!!!」


 今度はステファンから一発ずつお見舞いされている。


「よせ、ステファン。リーリオも」

「そういうわけにはいきませぬ!!殿下…なんということ…ああ!おいたわしや…!すぐに侍女を呼びましょう…」

「やめろ」

「しかし…」

「…父がな……笑ってくれたのだ」

「え…?」


 国王陛下も巻き込んだらしい王太子殿下の一大事に大人たちはさっと顔が青くなった。


「母が死んでから、一度も笑うことがなくなった父がな、僕を見てひいひい笑っていたのだ」

「…シオン王太子殿下…」

「…レント、ディエゴ、ありがとう。立場は違えど、お前たちを心からの友だと思う」


 幼いレントとディエゴは互いに目を見合って鼻を擦っていた。


「いや、ですがなぜこんなことに…」

「ああ、これか?僕があんまりめそめそしてるんで、『女かお前は』と言われて次から次へとこういうことに…」

「陛下も酷い酷いって言って指差してゲラゲラ笑ってたよな!」

「うん、超ウケてた。あんなに笑ってるへーか初めて見た」

「あれ?…ステファン?リーリオ?」


 青ざめていた顔が真っ赤になったかと思うと

「やっぱり許せん!!」

「今日はみっちり説教だ!!」

それぞれが息子の首根っこを捕まえて引き摺るように去っていった。


「また遊ぼーな!おーたいし!」

「こら!!いい加減、懲りろ!!」


 ディエゴとレントが大きく手を振るので、照れ臭かったが「おう」と言って、胸の前で小さく手を振った。


「お前たち!!不敬がすぎるぞ!!!」

「頼むからもう問題を起こさないでくれぇ!!!」





✳︎ ✳︎ ✳︎





「どういう話ですか、それ」


 メイリーが肩を振るわせて笑っている。


「まあ、幼い頃に母が亡くなってから父も僕も塞ぎがちで、なんだかギスギスしてたんだが…あの二人のおかげで元に戻るキッカケを得られたんだろうな」

「…国王陛下は寛大ですね」

「そうか?息子が弄られてるのを指差して笑うような父だぞ」

「ふふ、ですが陛下がお許しになったからこそ、大事にならなかったのでしょう」

「まあ、それもそうなんだが…あの二人とはそれ以来ずっと一緒にいる気がするな。あれ、ちょっとそれは気持ち悪いな…誤解するなよ」

「…はあ。仲がよろしくて何よりではないですか」

「ん、まあそういうことにしておくか」

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