第7話 温泉回
覆面を着けた声優さんの周りで起きる話です。
舞台は異世界なので、実際の現場と違うとか言わないで下さいm(_ _)m
温泉の男風呂にて
「なんで僕たち温泉入ってるんですかね?」
良川が〇野に聞いた。
「温泉回だから。」
〇野は上を向いて、タオルを顔に乗せて答える。
「それ普通キャラが温泉に入る話ってなだけですよ。」
「Fちゃん人気で今回は実写版だとか、アニメどこいった。」
〇野はタオルを頭の上に乗せながら嘆く。
「この旅館とのタイアップだからって、もろに宣伝なセリフ言わされてましたね。」
「まるっきり別の番組になったよね。もう旅番組だよ。制作会社は納得してるのかね。」
「どうなんですかね。その分お金はもらってるでしょうけど。」
あまり楽しくない話題になり、黙ってしまう二人。
「そういえば、フクちゃんは一人別取りでグルメレポートって聞きましたけど、来てないですよね?」
良川が話題を変えて話し始める。
「それさ、系列ホテルで撮影って話だけど、事務所の隣のビジネスホテルのことだって。ま、あそこ温泉有るから温泉には入れるかもしれないけど。」
覆面声優の状況を説明する〇野。
「え?あそこってグルメなもの有るんスか。」
旅行に来られない覆面声優を不憫に思い聞く良川。
「朝食の食べ放題プランは評判良いよ、質ではなく量がね。俺の友達が泊まって褒めてた。」
良川と同様に、覆面声優を不憫に思う〇野。
「フクちゃん大食いなんですかね。」
「彼女は小食だって言ってたよ。それで今回の旅行にも来れないなんて、」
「「かわいそう。」」
二人の声が重なる。
かぽーん。(効果音)
しばしの沈黙の後に良川が〇野に話しかける。
「さっき、温泉回って言いましたよね?」
「言ったね。」
「Fちゃんも来てませんよね。」
「そうだね。」
浮かぶアヒルのおもちゃで遊びながら答える〇野。
「そもそも、男性しか来てませんよね、女性キャストも居るのに。」
「そうだね。」
浮かぶアヒルのおもちゃを沈める〇野。
「女性陣はどこ行ったんでしょうね。」
「別荘だね。社長の。」
浮かぶアヒルのおもちゃの首を絞める〇野。
「社長ってそのうち天罰くらいますよね。」
「そうだと良いね。でも魔法使いだからなあ。(あ、良川君には通じないか。)」
ネギ付きの鴨のおもちゃを投げ捨てる〇野。
「え、社長童貞なんスか?」
長年童貞をこじらせると成立するジョブチェンジについて聞く良川。
「プッ、そんなこと知らないよ。それより、良川くんって思ったことすぐに口に出るね。良川君が先に天罰くらっちゃうかもよ。」
炎上騒ぎを思い出し心配する〇野。
「あっ、まさかこれも録音?」
「俺は知らないけど、あの人ならやりかねないね。お先。」
(多分魔法で録音してるから、何やっても逃げられないんじゃないかな。怖いな。)
湯舟から出る〇野。
「〇野さん、助けてくださいよー。」
〇野を追いかけて湯舟を出る良川。
つづく




