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覆面声優  作者: 王烈夏
2/10

第2話  名前の由来

覆面を着けた声優さんの周りで起きる話です。

舞台は異世界なので、実際の現場と違うとか言わないで下さいm(_ _)m

覆面声優の所属事務所の休憩室での会話。

そこには、三人の男女が居た。


「あの、新人の覆面さん、貴方のことは何て呼べば良いのかな?」

中堅のイケメン声優、○オーノ E輔イースケが問いかける。


「そうッスね、「覆面さん」とかだとなんか余所余所しいから、できれば本名教えてもらえませんか?」

能天気な振る舞いが人気の若手声優、良川ヨシカワ 悪太アクタもそれに続く。


「えっ?」

桃色の覆面を被った女性、覆面声優は戸惑っている。


「え?良川君、本気?」

○野は、覆面声優と顔を見合わせてから良川に向かって話し始める。

「え?ダメなんスか?」

そこまで秘密にされる事ではないと思っていた良川は不安になった。


「いや、……あのさぁ、プロレスの覆面レスラーとか知ってる?」

「いえ、プロレス見ないです。」

話の展開に戸惑う良川。


「そっか。んー……あぁ、良川くんは芸名だよね、社長が決めたんだっけ?」

「ですよ、本名は芥川良あくたがわりょうで良い人っぽいから、悪い印象の名前が良いって。」

「それ、社長が言いそうな話だね。」

社長の奇行は有名である。


「○野さんは本名非公開ですよね、僕知りたいんですけど、教えてもらっても良いですか?」

〇野狙い通り話がそれていく。

「私知ってる!「おーの」って読んでるけどフォントは〇(まる)だから、丸野さんなんですよね。」

自慢気に話す覆面声優。


「えー、俺前にフォント話は内緒にってお願いしましたよね?」

「……ぅん、聞いた。ごめんなさい忘れてました。」

「うっわ、俺ショックでゲロ吐きそう。」

「ちょっとー、私の方来ないで。」

慣れた感じでじゃれあう二人。


「あれ?お二人は知り合いなんですか?」

「「えっ?」」

○野と覆面声優は再び顔を見合わせるが、覆面声優が何かを思い出した様子で話し始める。


「あー、◯野さんは養成所の先輩なんですよ。」

「じゃあ◯野さんは、本名知ってるんですか?」

「あ、私、山田海子っていいます。でも、余り本名で呼ばれたくないかな。」

慌てた様子で本名を名乗る覆面声優。


「良川さーん。」

扉を開けたマネージャーが良川に声をかける。

「あ、呼ばれた、行かなきゃ。じゃあ、『フクちゃん』って呼ぶね。またね。」

手を振り部屋を出る良川。


良川が部屋を出てから◯野が覆面声優に話しかける。

「……山田さん、良川君本気で言ってますかね?」

「天然さんだからね〜。あっ違う、この覆面には認識阻害の魔法が掛けてあって……」

何かを思い出したかのように言う覆面声優。


「山田さん中二病治りませんね〜。」

「いや、なんで山田さんって呼んでんのよ。」

低い声で返す覆面声優。


「え?自分で言っといてソレ?」

「色々バラさない契約になってるから誤魔化さなきゃって思って咄嗟に出ちゃったのよ!」

高い声でプンスカする覆面声優。


「咄嗟に出るのが、山田海子さんって。」

「なんとなくよ、なんとなく!なによ、山田海子さんに文句あるわけ?」

「いや、そんなの無いですよ。ってか最近、良川君も一緒に飯行きましたよね?覆面無しの時に。」

「うん、行った。」

しばし無言になる二人。


「どうします?」

「面白そうだからフクちゃんでいく。」

楽しそうに言う覆面声優。


「解りました、俺もそれで行きますね、〇〇さん!」

「ソコっ、本名言わない!ところで、なんで覆面レスラーの話出したの?」

怒りながらも、先の会話で気になっていた所を聞く覆面声優。。


「あのですね覆面レスラーって、海外武者修行から帰って来てから覆面レスラーでデビューってパターンがあって、謎の覆面レスラーとかいう設定なのに、コアなファンからは普通に名前で呼ばれてたりするってのがあるんですよ、だからプロレス好きなら本当は芸歴が俺より長い人だよって伝わるかと思って。」

「回りくどいわ〜。」

呆れる覆面声優。


「ですよね〜。そもそも何で、仕事でもないのに覆面で事務所来てるんですか。正体バラしちゃダメなのかもって、俺も思っちゃったじゃないですか。」

「サイズ違いの試着してたのよ。」

「現場にも覆面で来るんですか?」

ふと疑問に思う◯野。


「そうよ、トイレで着けるけど。」

「新人扱いなんですか?」

「そうね、『大型新人』って設定だから。」

「大型ですか、そうですか。」

立ち上がり、目の上に手をかざし辺りを見回す◯野。


「あれ?覆面さんドコ行った?」

覆面声優の身長は女性の平均よりも低いので、身長をイジられる際の定番の仕草だった。

最近は容姿の揶揄として批判されるため封印していたが、他の人は居ないので、悪気なくやってしまった。


「ヒドーイ、帰る!」

久しぶりの仕草に懐かしさを感じて、昔の様に怒ったフリをする覆面声優。目が笑っているのが覆面をしていても分かる。

「フクさん、お疲れ様でした!今度俺にもその覆面付けさせてくださいよ。」

手を振り見送る◯野。


つづく

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