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覆面声優  作者: 王烈夏
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第1話 誕生

覆面を着けた声優さんの周りで起きる話です。

舞台は異世界なので、実際の現場と違うとか言わないで下さいm(_ _)m

とある会社の会議室。

そこには、新作アニメの関係者が集まっていた。


「え〜、皆様お揃いの様なので、始めたいと思います。」

総合プロデューサーの八嶋が話し始めた。


「え〜、お忙しい中お集まり頂きまして誠にありがとうございます。では、急遽お集まり頂いた理由についてお話させて頂きたいと思います。先ずは新しい関係者の紹介を致します。では、入ってもらって。」

『え〜』から話し始めるのが八嶋のクセであり、一部関係者には物まねのネタとして扱われている。八嶋が入口のスタッフに合図をすると、桃色の覆面を被った女性が入って来て挨拶をする。


「この度、新人としてデビューすることになりました、オメガエイトの『覆面声優』です。」


(なぜ覆面?)

(プロレスラー?)

(スタイル良いな~。)

(ちっさ。)


困惑の気配が充分に会議室に広まるのを待って、八嶋が話を続ける。

「え〜、本作品に彼女が追加で参加することになりましたので、この後の記者発表に同席します。更に、彼女のデビューイベントのサポートとして、福田さんが、漢字の読みを変えると『フクメン』に似てるという事でフクデン里美に改名して、」


「ちょっと待って下さい!私その話断りましたけど!」

当事者である福田が慌てて否定する。


「チッ」

「あ、社長、今『チッ』って言いましたね!」

「言ってないよ〜。」

「とにかく、その話は無しですから!」


「え〜、社長さん、良いんですか?」

「まあ~、仕方ないね〜。」

語尾を伸ばすクセがある小太りの事務所社長が、チョビ髭を撫でながら言った。


「え〜、では、記者発表では覆面声優さんのデビューだけで福田さんの改名には触れないということに変更します。続いて、私の方から配布資料の説明と今後の流れについて、」

話の途中で覆面の女性が手を上げる。


「あ、あの、私の覆面も無かった事に……」

「それはダメ〜。」

「なんでですか社長!里美は良くてなんで私はダメなんですか?」

「だって~、グッズで覆面沢山作っちゃったも~ん。」

「え?私昨日聞いたのに何でもうグッズなんて……そのグッズって、コレ?」

自分の覆面を摘む。


「良くできてるでしょ~?作るの大変だったんだよ~。とりあえず百枚有るから。」

「言われてみると付け心地は良いような。」

「でしょ〜、シルクなんだよ〜。」

話がズレ始める二人。


「市販のパーティーグッズだと思ってましたよ。無駄に拘るの変わりませんね。」

「そういう拘りが人の心に訴えるモノを生み出すんだ~、という信念があってね〜、ホラそこの縫い目なんかも~。」

「着けてるから見えないですって。外しますよ。」

「あ~、ダメだよ〜!」

更に話がズレていく二人。


「え〜、そういうのは別でやって頂いてですね。それと『覆面声優』については昨日徹夜で関連資料の差し替えしたんで、今更戻すとか有り得ないです。」

「里美の改名はどうするの?」

「え〜、たんなる誤記です。」


「フッフッフッ、逃げ道は考えてあるのだよ〜。」

チョビヒゲを触りながら言う社長。

「え〜、あの、社長さん、エロい悪党みたいな顔になってますよ。」

顔を触って表情を戻す社長。


「福田君の事はオマケだから~、覆面はやってもらうよ〜。」

「オマケで名前変えろとか言わないで下さいよ!」

「約束通り給料上げて下さいよ。あ、覆面の経費は事務所持ちですよね?」

「あはは〜。」

「ちょっと!笑って誤魔化す気ですか?」


「え〜、何かグダって来たので先に進めますね、お手元の資料開いて下さい。と言っても、以前の資料からの変更は殆ど無いです。キャラクタ名不明で『覆面声優』が追加になってます。この後の記者発表の現場で初めて話す訳にはいかないので、この事を事前に根回しするのが今回の会議の目的です。時間が無いので質問が有れば後日連絡下さい、それでは解散と致します。」


(いや、何も説明に成ってないから。)

(覆面の値段いくらだろ?)

(資料読み合わせないの?)

参加者に疑問は有っても、誰も発言せずに会議は終わり、八嶋と社長の二人が残った。


「異議とか無かったね〜。」

「え〜、まあ、今回の企画は始まりから色々と有りましたから、できればもう関わりたくないってのが皆さんの気持ちだと思いますよ。私もですけど。」

本音を打ち明ける八嶋。


「打切りとか有るかな〜?」

「え〜、割と本気で有ると思ってます。脚本クソですから。」

「だよね〜。」

「え〜、その代わり、結構無茶できると思って色々考えてますよ、覆面さんの事とか。」

「ヨロシク〜!」



つづく

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