魔法へのいざない
ひとまず待ってほしい、客観的に見てこの状況は、少年が、大きく威圧感のある180㎝強の男性に話しかられ、さらにその名前まで知っている、というのだから、怪しいというほかない。
男は続ける。
「理事長様からの伝言です、いますぐ、理事長室に来てください」
こちらが警戒しているのにも関わらず、よくそんな態度取れるな、まあこういうタイプなんだろう。
「要件は何」
ならばこちらも、それなりの態度をする。
「それは後で話します、まずは理事長室へ行きましょう」
「分かった、理事長室に向かおう」
どうせ、このままだと、一昔前のNPCのような、会話をループし続けるだろうし、何よりも、それもめんどくさいそんなことを思いながら、男についてく。
「では、こちらに」
そんな言葉を聞いて、私は男のに、エレベーターのあるところへ、案内された。
以外にも、エレベーターはすぐ来る。まあ、中には屈強な男が4人もいたのだが。
「「お疲れ様です」」
男の同僚だと思われる人が、挨拶する。
「理事長を待たせるな、すぐ行くぞ」
男は、パキっとした声で言う。
私と男はすぐにエレベーターに乗る。
理事長ねえ、理事長といえば学校の建設から関わっているらしく、数十年か前に炎上事故が起きた、このいわくつきな土地を買い取り、今までにない画期的な学校を作り上げた、キャリアウーマンだ。これが、なかなかのやり手で、大企業や国などとの協力関係にあるらしい、実際、私がこんなとこに住めるのも理事長のおかげなのだが、では、いったいなぜ呼び出したのか、というかそもそも私の荷物はどこにあるものか。まあそろそろわかるだろう、耳が高所にも慣れてきた。最上階、理事長室前だ。
エレベーターが開く、男たちが出るのと、同タイミングで私もドアから出る。目の前には、現代アートの絵画が数点が壁に掛けられている。その先に理事長室と書かれたドアがある。
男が、ドアを叩く、
「失礼します、理事長様、琥白様を連れてきました」
女の老人の声が響く
「入りなさい」
男がドアを開け、私も理事長室に入る。
石床からカーペットの上に、足を踏み出す。部屋は冷たく部屋は寒々としている。
理事長間髪入れず言う。
「久しぶりだね、琥白」
「元気そうで、理事長いや、おばあちゃん」
そう、理事長は私の実の祖母である、グレーに染め、短くまとめた髪、黒のスーツに白のシャツ、そして、60代とは思えないような活気、サプリのCMに出ていそうな感じだ。
魔女のような高笑いをしながら言う。
「おもしろいねぇ、昔のように、読んでくれるの?、おばあちゃんと」
「ところで、要件は何ですか、理事長」
私は不服そうに答える。
「おやぁ、反抗期かい?」
全て見透かしたようなそんな声がした。
「まあ、安心するといい荷物はここにある」
そういうと、男の一人が、見覚えのあるスーツケースを持ってくる。
「荷物を取り上げる回りくどいことをして、孫の入学でも祝いに来たの?」
疑惑の目を一直線に向けた。
「いやいや、それなら琥白の部屋に出向くよ」
今日で一番祖母らしいことを、言ったかもしれない。
「本題に入ろうか」
話し方から、空気が張り詰める、部屋の寒さのせいか、裁判所のような緊張感を感じる。
「魔法少女になるつもりはないか、琥白」
「・・・・・・は?」
思わず変な声が出た。