出会いと行く末
「魔法少女、それは、魔法を使い、仲間と協力して敵を倒し、様々な人間ドラマがあり、成長していく物語なのである。」
「だがしかし、現実はそう、うまくはいかない。大人がいくら仲良くしろと言っても、まだ心が未発達な奴は仲良くできりゃしないし、過去にトラウマがあるやつなんて到底無理だろう。」
「だからこそ、彼女らのサポートをして、魔法少女の物語を始めなければならない。」
そう思ったのは世間的に学校が始まりしばらくの五月晴れだった。
話は3月前後まで巻き戻る。
「ねえ、本当に自宅学習スタイルの高校にしてよかったの?」
心配そうに母が電話越しに言う。
「べつに問題ない」
ぶっきらぼうに答える。
「いつも琥白はそんなことばっか言って」
あきれた口調で母は言う。
「高校寮にはもう入ったのよね」
「うん、いいとこ」
「まあ、会わないと思ったら、いつでも変えていいわよ」
「分かったそれじゃ元気で」
「ちょっとまってまだ話は・・・」
母が何か言いかけたところで、電話の切れた音が何も荷物がない部屋に響く。
「新生活の始まりだっていうのに、いきなり電話かけてこなくても、まあ無理もないか、息子の一人暮らしだし、」
母の気持ちを読み解いていると、スマホから通知が来る。
また母か、と思ったら、引っ越しのために送った荷物のの通知メールが来ていた。
「えっと...荷物が到着したから下まで受け取りに来いか」
防犯システム上、部屋まで届けるのは危険なのだが、今はその危険よりも、下で受け取るほうがめんどくさい。
まあ、仕方ないので取りに行こうと腰を上げる。
玄関のドアを開け、観光名所のタワーのようなクリアなエレベータにスマホをかざして乗る。
スマホの学生所を使うことができようになっていると、この学校に入ったという感じがする。いやはや、エレベーターから見える景色は驚かされた。なぜなら、ここは海の上に学校が建っているということだ、海上都市ならぬ、海上学園とでもいえばいいのか、そして、学校が敷地内に5つあるということだ。
1つ目の学校は、運動保険高校 未来のアスリートなどを育成している高校。
2つ目の学校は、勉学追及高校 勉強についてはもちろんのこと、自由な分野についての探求に力を入れている高校。
3つ目の学校は、芸能育成高校 俳優や声優、またそれらにかかわる仕事の育成にをしている高校。
4つ目の学校は、日本文化伝達高校 現在伝わっている伝統文化や、失われた文化についての活動をしている高校。
5つ目の高校は 私が入学した高校、FTS高校だ、家で授業を受けられ、単位制なので、基本的に授業を自由に組めることができる高校だ。今年できたばかりらしい。
学校説明会で話されたことを思い出しながら。エレベーターから見える、高校を眺めていた。
そんな時、まだ一階についていないのに、「チーン」とエレベーターが止まる音がする。
「のりまーす」と言わなくていいことを、ショートカットの少女は言う。
少女が乗ると、ボタンは押さない、同じく一階に向かうのだろう。
エレベーターが動き出すと、不思議そうに言う。
「ねえ、君ってどこの高校の人なの?」
「FTS高校に通う予定の学生です」
「新しくできた高校だっけ」
「そうですね」
そんな他愛のない会話が続く。
「私はね、実は運動保険高校なんだよね」
だろうな、運動の邪魔にならないようにしてる短い髪、腕とももの発達した筋肉に、制汗剤の香り、これで違かったほうがおかしいだろう。
「そうなんですね」
「話変わるけど、ここに住んでるの?」
「何でそんなことを聞くんですか?」
高圧的にならないように、質問するように答える。
「ご、誤解しないでね」
少女は取り乱して言った。
「ここに住むことができるなんて、期待されているんだなぁって。」
輝かしい目で私の目見つめる。
「そうですかね」
確かにここに住むことは簡単なことではない、確かに普通は、寮は別のところにあるのだ。しかし、成績が優秀なものは、国からのデータ採取、教師などに協力などの条件に合意すれば、中央にある巨大なビル、「マージタワー」に住むことができる。
そんな世間話をしていると、一階についた音がする。
「じゃあね、また会ったらよろしく」と言い、彼女は出口に駆け出して行った。
一階に着き、エレベーターから降りると、高校の生徒と思わしき人は、一人もいなく、スーツを着た大人ばかりが、まばらにいる。石でできた、エントランスには、本来なら冷たい印象を受け委縮してしまうのだが、上から照らすLEDのおかげで、あまりそんな気持ちはしなかった。
受付用のタブレットに、通知から送られてきた、暗証番号を入れ操作する。
入力が終了すると、画面に、「その荷物は届いていません」と表示されていた。
スリか?いや、こんなとこで盗めるコソ泥なんかいりゃしない。まあただのバグだろ、そんなことを思い、職員呼び出しのボタンを押そうとしたとき、
ある男に声をかけられる。
「あなたが色彩 琥白様ですね」