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Occult-Life-Online  作者: シンヤ
23/49

22.Halo!Chat!

 「あのどもっス、ハヤブサって言います……。」


 私とリュウは顔を合わせてニヤリと笑う。さあ、作戦会議だ。





 時は遡ること数時間前―――


 「ゲーム外のチャットを使うのはいいんだけど、どうやってハヤブサを招待する?」


 使うチャットは『Halo! Chat!』というアプリで、このアプリはオープンチャットもできるし、鍵付きのルームで身内だけでも喋れるチャットアプリだ。

 今回は勿論鍵付きルームで話すのだが、ハヤブサの現実のアカウント情報など知らないので、IDとパスワードをリュウが口頭で伝えることとなった。

 これならキヨは何を言っているのかわからないだろう。


 ただハヤブサがチャットルームに来てくれるかどうかは賭けになる。これでこなかったら身を引くしかない。本当は断られたら、勝手に除霊を強行するかとも思っていたが、勝手に除霊は迷惑行為になるかもしれないと言われて断念することにした。


 その後リュウは王都を走り回っているハヤブサを見つけると、あとを追いかけ並走し、「Halo! Chat! IDは――――で、パスワードは*******な。」と伝え離脱。

 予想通りキヨは出てこなかった。ハヤブサは訳のわからなさそうな顔をしていたが、気になったら後で会話ログを確認で見れるし、意味は解るだろうとのことだった。



 そして私達は賭けに勝ったのだ。




 「どうも、ゲームではあんぱんを名乗ってます。」


 「俺も改めて、リュウです。ハヤブサ来てくれてありがとな。」


 因みにアバターはゲーム内のものと違って、普段ネット上で使っているアカウントアバターだ。私はカモメのリュウはレトロなロボットおもちゃアバター、ハヤブサは人型アバターだった。


 「えと、これに招待してくれたってことはあの幽霊のことスよね。」


 「そうです。私一回貴方に話しかけて、呪い殺された者です。」


 「あっ、あの時の……、怒鳴ってすいませんでした。」


 ハヤブサはシュンとした様子で謝る、というか全体的に弱気というか。街を走り回っている時の元気はどうした。


 「全然、気にしないで、アレはアレで貴重な体験だったんで。で騎士団にこの件を解決してほしいってクエストが出たから、私とリュウで勝手に色々調べてたら解決に手を貸せそうなんですけど、除霊に関わっていいですか?」


 「えっ、本当に!? 大歓迎っス!」


 ハヤブサはパッと顔を輝かせて答える。


 「実は憑りつかれてから色々試してみたんスけど、最近手詰まりだったんス。あの女もだんだん重く、強くなってきているみたいで、ロストする回数も増えてて。」


 どうやらハヤブサは知らないところでロストを繰り返していたようだ。

 とりあえず、協力は大歓迎だそうなので、これまで得た情報のすり合わせをしていく。


 何でもハヤブサは〈召喚〉ができるようになってから、女性NPCを召喚できるように片っ端から声をかけていたようだ。


 「……なんで?」


 「いや……、恋愛ゲームみたいなことできるかなって。」


 ハヤブサは恋愛ゲームが好きらしく、高性能感情AIを搭載しているこのゲームなら、戦いもできる、恋愛もできるお得なゲームだと思ったらしい。

 実際うまくいっていたようで、まだ恋愛に発展することはなかったが、仲良くなって〈召喚〉して絆を深めていくことはできていたらしい。

 そしてそこにキヨが登場した。


 「東の国の術者っていうから、強いかなって思って。あ! でも能力目当てじゃなかったんスよ! 西洋系の女の子とばっかりいたから、東洋系の女の子もいいなって思いまして……。」


 やかましいわ。こいつ思った以上に女好きだな。

 カモメアバターでも嫌な顔をしているのがわかったのか、奴はわたわたしている。


 「でも、だんだん束縛が激しくなってきて、ストーカーじみてきたから怖くなって避けてたら、急にオレの後ろにいて、姿が見えないときもあるけど声まで聞こえてきて……。はじめは生霊かなって思ってたんスけど、調べたらあの子は死んだって聞かされて、憑りつかれたんだなって。」


 「なるほど、一つ聞きたいんだけどさ。」


 除霊には関係ないがこっちの心情的に大事なこと。


 「何スか?」


 「告白ってした? キヨに。」


 「ししして無いっス! 多分告白したらいけるだろうな、とは思ったスけど、初めからグイグイ来るのが好みじゃなかったんで……。」


 「……なるほど。」


 ハヤブサは女友達と遊んでたって感じだったけど、キヨの距離感が近かったからはたから見ると付き合っているように見えたのかな。

 ということはキヨが勝手に思い違いをして舞い上がってしまったということか。


 「で、憑りつかれはじめた時は特に支障はなかったんス。戦闘もできるし、騎士団の仕事もできる。ただオレにしか見えないみたいだったし、後ろでボソボソ喋ってるだけかなって。」


 十分支障あるだろ、それ。


 「図太いな、お前……。」


 リュウも呆れ顔。いやロボットに表情はないけど、雰囲気雰囲気。


 「実害が出始めたのは他のNPCの女の子と会った時で、急に女の子を襲って、怪我させちゃったんスよね……。しかも姿が周りにも見え始めて、噂も広がって、やべぇって思ったんで、何とかしようと色々検証したんスよ。で検証結果が」


 ・女の子に話しかけると首を絞められる。初めは体力が少し減るくらいだったのに最近はロストするまで絞められるので頑張って振りほどいている。(痛みも苦しみもないけど気持ち悪くて唸ってしまうそうだ。)

 ・女の子に何回か話しかけられると自分も相手もロストする。

 ・ジッとしていたり、キヨの声を無視していたりすると襲われる。戦っても強くて勝てなかった。


 「です!」


 「一個目と二個目はわかるけど三個目はなんだ?」


 「えーと、これが走り回ってる理由なんスけど、ジッとしてると話しかけてきて、初めは好き好き言うだけだったんで、話したら消えてくれるのかと思ったけど、こっちの話聞いてんのかって感じで話通じねーし、無視してたんス。したらだんだんどうして、とか私と行ってくれないの、とか言ってて、それでも無視してたら襲われるようになってきて、戦っても勝てないんで逃げてたんス。」


 走ってると攻撃してこないらしい。叫んでいるのは、キヨの声を聞かないためと人避けとのことだ、確かにあんな叫び声をあげている奴に普通は話しかけない。


 「何で走ってると攻撃してこないの?」


 「多分スけど……、オレに憑いていくためだと思う。毎回姿が見えてるわけじゃないからわかりづらいんスけど、走ってるのは追いかけっこみたいになってるんスよね……、オレに憑いているけど自動的にくっついてるわけじゃないって言うか、走ってる時に襲ってこないのはオレを追いかけてくるからで、しがみつかれている状態は捕まって攻撃される寸前っていうか、……意味わかります?」


 「うん……。」「なんとなくね。」


 つまり、キヨはハヤブサの所に自動でついて行っているわけじゃなくて、自分の力で追いかけて、ついて行ってるわけね。


 「よかった、これでオレの持っている情報は全部っス。で、どうやって倒すんスか?」

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