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Occult-Life-Online  作者: シンヤ
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20.手掛かりを探して

 キヨの事情はわかった。でもそこからどうすればいいんだろう? 

 キヨの未練をなくしてあげればいいんだろうけど、キヨの未練ってハヤブサと一緒にいること? あわよくば殺してしまいたいとか? でもプレイヤーのハヤブサは死なないから、今の状態が続いているんだろう。


 職人街のジェラさんは、強い霊なら攻撃ができるって言っていた。キヨは見るからに強い霊だが、接触した時に即死させられたことから攻撃してもすぐにやられそう。あとは人形に入れて燃やす? まずどうやっていれるかわからない、そういう除霊アイテムがあるのか? あと蛇。ちょこちょこ蛇が出てきているけど、何か理由があるのか? ……わからない。


 「リュウは除霊方法知ってる?」


 王都は幽霊クエスト多いって言っていたし、一回や二回はクエスト受けていたりしないんだろうか?


 「除霊クエストは受けるとわかるんだけど、クエスト受けて指定された現場に行くと、急にホラーゲームとか脱出ゲームみたいになるんだよ。幽霊に追われながら現場を歩き回って、謎解きをしていくと幽霊が実体化するから、そこでアイテムを渡して成仏するとか、その現場で手に入れた特殊なアイテムを使って封印するとか、そこで戦闘になるとか。」


 「うーん……、今の所どれにも当てはまらない感じ……。そもそも場所じゃなくて人に憑いているから……。とりあえず今わかっている事は、」


 ・キヨは東洋から来た術者。

 ・キヨはハヤブサが好きで、ハヤブサが女好きでも自分だけが特別だと思い込んでいた。

 ・キヨは焼身自殺で、それは儀式だった(?)。

 ・キヨは幽霊になったあとハヤブサにずっと憑りついている。

 ・ハヤブサに話しかけると即死した。

 ・ハヤブサから話しかけた女の子達は死ななかった。ハヤブサが話しかけた場合はハヤブサが苦しむ(?)。


 「このくらいかな? でわからないことはキヨの除霊方法ってとこか……。」


 「一番大事なとこだよな……。」


 ……こういうのって生前書いていた日記とかが鍵に、って展開多いけど、住んでた部屋が燃えてるってなると難しいか。

 いや、前行った時は管理人さんから、パン屋の女将さんがキヨの知り合いって聞いて、結局部屋に上がらずに行っちゃたんだっけ。現場百回とも言うし、行くだけ行ってみよう。見逃している何かがあるかもしれない。




 「そういえばさ、ハヤブサはキャラを作り直したりはしないんだね。」


 どのくらい憑かれいるのかわからないけど、解決方法がわからない状態が続くとゲームも進まないし、イヤになってキャラの作り直しをしたり、最悪ゲームをやめてしまうなんて事もあると思うのだ。


 「多分だけど、今までのデータが惜しいんじゃないかな……、ほらオカルト図鑑、あるだろ? 初めからにしたら記録したデータなくなっちゃうし。」


 それはわかる。私も今更キャラ作り直しなんて絶対に嫌だ、苦労して食人木を倒したのもあるけど、仲良くなれた羊男達に忘れられるのも嫌。

 キャラを作り直すということは、この世界からプレイヤーキャラの痕跡が消えるという扱いになる。

 カラクルさんと村長に貴女誰? なんて言われたらショックすぎる。


 「それにどうにもならない状態で運営がほっとく訳ないから、アレはどうにかなる案件なんじゃないか? 案の定クエストも出たし。」


 「それもそうだね。本人が助けて欲しいのかは分からないけど、こっちはこっちで情報集めようか。」


 このゲームはちょっと意地悪な時もあるが、プレイヤーがゲームを出来ない状態にするわけもないし、何か方法があるんだろう。




◇◇◇




 火事現場になった部屋は壁も床も天井も黒焦げでボロボロだった、窓ガラスも全て割れ、枠だけが残っている状態。燃えたせいか部屋に煙い臭いが染みついていて臭い。こんなところに手がかりはあるのだろうか?


 「ソファもベットもクローゼットも焦げ焦げ。中に何かないかな。」


 ソファの隙間、布団の間を調べようと手を差し込み持ち上げると、ボロボロと崩れていく。クローゼットの中身も燃えてしまったのか、灰が下にたまっていた。


 「……何もなさそうだな。」


 「うん……。」


 もしかしたらここには何もないのかもしれない、そう思いかけたが、パン屋の旦那さんの言っていたことが気になる。


 『あの火事は儀式だったんじゃないかって……。』


 ただ自殺するだけならわざわざ焼身自殺を選ばなくても、他に方法は色々あっただろう。

 燃やすことに何か意味があったのかもしれない。


 「うわっ!」


 考え事をしていたら、リュウの声とドタッと大きな音がした。近くまで行くと彼は、キッチンの床で膝をついていた。

 何だ転んだだけか。


 「ちょっと、大丈夫?」


 「何か躓いたんだよ……。」


 床を見ると床板の一部が剥がれ、浮いている。


 「なんでここだけ浮いてるんだ? ……ん?」


 「何何? 何かあった?」


 「ここもしかして床下収納じゃないか?」


 床は焦げているし、灰も煤も落ちているから解りづらかったけど、触ってみると確かに何か扉のようなものがあった。


 「床下収納なら燃えてないかも! 早速開けよう!」


 二人で灰と煤を掃って、開けると深さ十五センチほどの浅いスペースがあった。ここは燃えなかったのだろう、一冊だけ本が入っていた。


 「ホラー定番アイテムの日記かな?」


 「日記にしては分厚くない?」


 そう言いながら本を取り出す。やっと見つけた手がかりに私もリュウもテンションが上がり、明るい声が出る。

 本は古そうな本で所々色褪せている、何が書いてあるのだろうか? 本を開く自動的にページが捲れ、あるページで止まる。


 そのページには『邪婚の儀式』と書かれていた。


 「邪婚? 邪ってことはあんまりいい意味じゃなさそうだな。」


 「……読んでみよっか。」




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