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Occult-Life-Online  作者: シンヤ
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17.職人街

 叫びながら走り去っていく男にへばりついていた謎の女。やっぱり幽霊なんだろうか?


 そもそも幽霊は他のエネミーのように倒せる存在なのか、でももし倒せる存在ならあんな風に憑りつかれていないだろうし……。もしかしたら、誰も手が出せないくらい強いとか?

 それか霊なら除霊? うーん、情報が少なすぎる。


 今後幽霊系のクエストも受けたいし、これは調べておかないと。

 一回自分で聞き込みをしてみて、ダメなら攻略を見てみるか。


 というわけで聞き込みだが、王都には市街の東と西に商業街があるらしい。東は肉、魚、パンなどを扱う食品街、西は大工や染め物屋などが集まっている職人街だそうだ。

 東に行くとまた誘惑に負けて、食べ物を買ってしまいそうなので西の方に行くことにする。幽霊を倒せる特殊な装備があるかもしれないし。



 西の商業街は見るからに職人! みたいな人が多い。

 大工に鉄工、石工と力がいる仕事に靴屋、仕立て屋、染め物屋などなど、聞き込みにしても、装備を頼むにしてもどこを訪ねればいいのやら……。


 皆忙しそうで、声をかけたら睨まれそうだ。あんまり忙しくなさそうな人を探して聞いてみようとも思うが、……あんまり忙しくなさそうな人はいないかも。


 食品街の方に行けばよかったかな、と思っていると職人のおじさんに話しかけられた。


 「お嬢ちゃん。変わった武器を持ってるね。」


 どうやら背中に背負っているシープホーンが気になったらしい。


 「あ、はい。羊の角で作ってもらったものみたいで、……そうだ、これ強化ってできますか?」


 武器の強化。

 ゲームにおいて武器はコロコロ変わっていくのが常だが、お気に入りのデザインの武器があった時、変えたくない、でも強くないで泣く泣く武器交換をすることが多いのだが、このゲームは気に入った武器は強化に強化を重ねて、ずっと使えるようになっている結構嬉しいシステムだ。


 「強化ね、強化素材にもよるよ。」


 「あ、はい! 今持っている素材はこれです!」


 今あるドロップ品をドサッとだす。

 おじさんはそれを見ながら、ふむふむと考え出す。そのうち他の職人にも声をかけだして、職人たちが周りに集まりだした。


 「角部分に牛の角をくっつけるとかどうよ。」「馬鹿、おめぇそんなんごちゃごちゃしたデザイン最悪だろ。」「鉄で棘を付け足すってのは?」「それより持ち手の部分をもっと丈夫にしてみた方が…。」「おっ! このドロップ品いいもんじゃねえか?」「特殊効果つけられるかもな。」「食品街から薬屋よんでこいよ。」「それは染め物屋の仕事では?」「うまく効果引き出せんのかよ。」「いや、やっぱり持ち手をだな、」


 なんだかごちゃごちゃしてきたぞ。わけがわからな過ぎて話に入れないし、幽霊の話なんて聞けなさそうだ。


 「こらーーーーー!!」


 !!

 声の方を見ると眼鏡をかけた女性が腰に手を当てて立っていた。


 「こんなに集まって何をしているんですか!? 依頼のものはちゃんとできているんでしょうね!」


 滅茶苦茶怒っているようだ。職人たちは彼女に頭が上がらないのか、シュンとしてしまっていて何だか申し訳ないので声をかける。


 「あの、すいません。私の装備を見てもらっていて……。」


 「あら、お客さん? 外から来た方かしら。ここで装備を整えるならまず商業ギルドに来て依頼していただかないと。」


 「すすすいません……。」


 私には丁寧に対応してくれるが、雰囲気的にキツイ印象を持たれそうな人だ。しっかりしていて仕事できそうだけどちょっと怖い。


 「ご案内しますね、こちらにどうぞ。」


 職人達にも謝って装備を返してもらい、商業ギルドに行くべく女性の後を付いて行った。


 「もう、あの人たちは珍しいものを見るとすーーぐにああなるんですから。 あ、申し訳ありません、こんな愚痴っぽいことを。私商業ギルドのジェラと言います。」


 「あ、どうも。星の探検家のあんぱんって言います。」


 「商業ギルドはこの国の商人、職人達が所属している団体ですね。商業ギルドの許可なく商売することは許されていないので、もし商売をすることがあればギルドにお越しください。」


 結構キッチリ管理されているみたいだ。まあ、今の所商売する気はないけど。


 「あんぱんさんは装備の強化をお望みに?」


 「あ、そうです。でも値段がどの位かかるのか聞いてから決めたいです。」


 「そうですね、金額はとても大事ですものね。物にもよりますが、五〇〇〇ゴルド以上はかかると考えていただければ。」


 …………ぜんっぜん足りないーーー!! 所持金三〇一〇ゴルドだよ!

 五〇〇〇以上からってことは、強化内容によってはまだまだかかるということだし、まだ手を出してはいけない領域だったか。

 まあ、まだまだ十分戦える強さの装備だし、急いで強化しなくてもいいかな。


 「すいません……。予算が全然足りなくて、また貯めてからお願いします。」


 「了解しました、またお待ちしておりますね。あんぱんさんの武器はここら辺じゃ全然見ないものだから、依頼が入ったらあの人たち大喜びで強化してくれますよ。」


 ジェラさんはそう言ってニッコリと笑った。怒っている時は目が吊り上がって怖かったが、元々美人さんだから笑うと可愛い。おじさんたちもこういうところを知っているから、嫌われたりしないんだなぁ。


 あ、忘れてた。


 「あの、強化の話じゃないんですけど、幽霊を倒せる武器とかってあるんですか?」


 「えっ? ……そうですね。強い力を持った幽霊は実体化するらしいので、その時でしたら普通の攻撃でも通じるそうです。まれに攻撃が聞かない幽霊もいますがその場合は幽霊の情報を集めて、未練をなくしてあげるとかですかね、あとは人形の中に入れて燃やしたら解決したなんてことも聞いたことがあります。」


 ほとんどが戦闘の前に謎解きってことかな? ホラーゲームってそういうことあるしね。


 「ありがとうございました。王都で噂になっている憑りつかれた男性を見たので気になってしまって……。」


 「ああ、あの人ですか。…………あの人も災難ですよね。憑りついている方、焼身自殺らしくってアパートメントも結構焼けて、大変だったみたいですよ。」


 燃えたアパートメントに行けば何かわかるかな?

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