表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Occult-Life-Online  作者: シンヤ
15/49

14.お金の稼ぎ方

 握り拳くらいの大きさのコロッケに齧り付く。


 「あつっ。」


 芋のコロッケかと思っていたけど、どうやらライスコロッケだったようで、ライスの他に具材を自由に選んでから揚げてくれた。

 私はミートソースとチーズ、リュウはホワイトソースにキノコとサーモンを選んだ。

 外はサクサクで中身はホクホク、濃厚なミートソースとチーズがとろりと溢れてくる。美味しいし、ボリュームもあるし、これで一個七百ゴルド! 満足のいく一品だった。



 「ご馳走様。」


 「美味しかったな、マーケットでご飯を買ったの初めてだったんだけど結構本格的だ。」


 「そうなんだ、いつもは何食べてるの?」


 「安いパンだよ、ゴルドを少しでも節約するために、王都のパン屋で廃棄寸前のを安く譲ってもらってるんだ。」


 王都をスタート地点に選んだプレイヤーは、初めの拠点が宿屋になるんだとか。

 勿論宿屋なので宿泊料はかかる、プレイヤーたちは大急ぎで自分だけの拠点を見つけなければいけなかった。

 選択肢としてはNPCと仲良くなって泊めてもらう、住み込みの仕事をさせてもらうなど。それができないプレイヤーは自分で物件を探して購入するか、一か八かで外にあるかもわからない星の休憩所を探しに行くしかないらしい。


 「俺は王都の騎士団に所属することができたんだ、まだ下っ端だけどな。」


 騎士団は他のNPCと共同生活だが、宿舎があるしお給料も出るそうだ。

 現実に影響しないようにシフトなどはなく、働きたいときに申し出て働くという体制らしい。勿論給料は働いた分しか出ないし、休みまくっていると好感度が下がるし降格するらしい。


 騎士団か……、お給料と拠点が貰えるのはいいな。第二の拠点に……。


 「ちなみに騎士団は鎧と剣が必須装備で、下っ端の仕事は先輩の部屋の掃除と、防具と武器の管理。先輩の御用聞きもある。」


 やっぱりないな、うん。面倒くさい。


 「やっぱり、宿屋かな。そのうち部屋を借りられたらいいけど、お金次第か……。」


 このゲームはエネミーを倒してもお金がドロップするわけではない。リュウは騎士団で働いて、お給料を貰っているし私も働くべきか……? そういえば。


 「エネミーのドロップとかって売れないの?」


 「それなら売れるよ! 王都にも装飾の街にも『ドロップ屋』ってのがあって、売ったり買ったりできるんだ。」


 「へえ! でもドロップ品を買ったりすることあるんだ。」


 「ああ、NPCの薬屋とか、鍛冶師とかが買っていくみたい。」


 プレイヤーは買わないのか。まあ、今の所使い道がわからないしね。


 「ありがとう! 早速行ってみるよ。」


 「ああ、こちらこそ。またな。」




◇◇◇




 リュウと別れた後、広場から出てドロップ屋を探しながら街を散策する。

 ヨーロッパの街並みとはこのようなものだろうか? 映像では何回も見たことがあるが、実際に行ったことはないので海外旅行しているみたいで楽しい。

 偶にアパートメントの隙間からチラリと猫が顔を出す。マーケットでも見かけたけどこの街には猫が多いのかもしれない。


 「お、あった。」


 ドロップ屋と大きい文字で書かれている看板が見えた。

 入ってみると色んなドロップ品が置かれている。なんかの角に瓶に入った鱗、牙や毛皮、束ねられた草なんかもある。おとぎ話に出てくる魔女の家みたいだ。


 「いらっしゃい。どんな御用で?」


 出迎えてくれたのは、厳ついおじさん。何か職人さんとか、映画で見るような武器商人みたいな雰囲気の人だな。


 「どうも、ドロップ品を売りに来ました。」


 「出しな。」


 言われたとおりにドロップ品をテーブルに出していく。

 ≪蝶の羽≫×12 ≪鱗粉≫×8 ≪虫の牙≫×8 ≪カブトの角≫×1 ≪クワガタの牙≫×2


 ≪カブトの角≫と≪クワガタの牙≫は食人木についていた虫を殴った時に偶然手に入れた。


 「ほう、森の奥深くにしかいないような奴のドロップ品もあるわけだ。……そうだな、全部で860ゴルドでどうだ?」


 おお、結構いい値段で売れたのでは? これで所持金は3860ゴルド。


 「問題ないです。あと、こういうドロップ品もあるんですが。」


 そう言って、食人木のドロップ品を出す。実はメリノさんにも買取できるか聞いたことがあるが、村じゃろくな加工ができないし、人間の街に持って行ったほうがいいと言われていたのだ。


 「こりゃあ、ボス級のドロップか! 何を倒した? ……食人木か、森の深くにしかいないやつだな。いいぜ、高く買い取ってやるよ。」


 「あ、その前に、これらが戦闘とか、装備を強化するのに役に立つことってないですか?」


 せっかくのボス級ドロップだ。売るだけじゃあ勿体ない。


 「ふむ、詳しいことは薬屋や鍛冶師に聞かなきゃわからんがね、できそうではあるな。」


 「なら、これは売らずにとっておきます。」


 「……そうかい。惜しいねぇ、中々見ないやつだったから店に並べたかったんだが。」


 「あはは……。」


 本当に惜しそうな顔をしている。やっぱり珍しかったんだ、ボス級のドロップ。


 「薬屋と鍛冶師だったら、せっかくなら王都に行きな。そっちのほうがいい加工をしてもらえると思うぜ。」


 なるほど王都。お礼を言って店を出ると、広場への道を進む。

 一旦メリノさんに話してから王都に向かおうと思う。その場合一回この街で拠点登録してから、活動しよう。

 王都はこの街をでて東の平原を越えれば、すぐに着くらしい。南にいけば湖に、西に行けば小さな漁村があるようだ。そっちにも行ってみたいけどまた今度。

 何だか一気に行動範囲が広がりそうで楽しみだ。ちょこちょこ羊村には帰るけどね。


 広場に戻ってくると相変わらずいい匂いがしていて、お腹が空いてくるような気がする。

 いや、もう一回ご飯を食べようなんて思ってない。


 今度はデザートを食べる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ