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第六話「百合喫茶ポワレ」


氷の魔女エリシアとの戦いから数日、天道詩音は悩んでいた。

そう、裏生徒会もとい百合喫茶ポワレに関してである。


「どうしてもこの制服着ないといけないの?」


「勿論だよ。あのイクリーサも着てるだろ?」


その奇妙な制服をばっさばっさと見せつけるエリシア。

それはフリフリの付いた可愛らしいウェイトレスの衣装だった。

エロさは微塵も無いが、それとは違う恥ずかしさがあった。

可憐だ、可憐すぎるのだ!


「仕方ないわね・・・」


詩音は照れ隠ししながらも別室の代用更衣室に入りそれに着替えた。


「おお!見事に似合ってるじゃないか!」


「・・・・・・」


無言を貫く詩音。

なぜならここは喫茶ポワレの店内(教室)。

既に客がいて、ウェイトレスの制服に着替えた詩音をマジマジと見つめているのだ。


「まあ、あれは生徒会長のシオン様でなくて?」


「さすがシオン様、あちらの制服もお似合いですわ」


「ご覧になって?エリシア様とのツーショットですわ」


幾人かの生徒達がざわざわと騒ぎ立て詩音に注目している。

そこはまるで少女漫画や小説の様な百合の世界。

名門の女子高であるのだ、この様な扱いは覚悟して然るべきだった。

するといきなりエリシアが近付いてきて壁際に詩音をおいやった。

そして堂々とお客達に見せつける様に行われる壁ドン。

エリシアは詩音にささやくようにこう言った。


「駄目じゃないかお客様を待たせちゃ・・・。初めてで緊張してるのかい?」


「え、ちょっと・・・いきなり何よ」


「いいからじっとしてて」


エリシアが詩音にそう言うと、詩音は照れて黙り込んでしまった。

すると客席の方から黄色い歓声が送られる。

どうやらそういうサービスらしい。


「(どうやら仕事って言うのはこういう百合の演技みたいね)」


「(そういう事)」


小声でやり取りする詩音とエリシア。

驚愕の事実!なんと裏生徒会は百合喫茶だったのだ!


「冗談じゃないわ。私は魔女と戦いにここに来たのよ」


「じゃあ店長に抗議してみるかい?」


「ええ、望む所よ」



詩音はエリシアに別室に案内されるとそこには小さい一人の少女がいた。

白いおさげのあどけない少女だが、あれで3年生らしく魔女らしいオーラも放っていた。

近寄っただけで危険人物だと詩音の防衛反応が訴えかけている。


「初めまして地球の魔女さん。私の名前はアリス、喫茶ポワレの店長もとい天の魔女よ」


「あなたも魔女なのね、じゃあさっそく決闘を・・・」


「ぶー、残念だけど私そういうのに興味無いの。どうしてもって言うならここで指名No1になりなさい」


「指名って・・・ホステスじゃあるまいし・・・」


「そういういかがわしいのじゃないわ、安心して。お客様にお給仕するだけだから」


「じゃあそれまで他の魔女と戦います」


詩音がそう言った矢先にエリシアが割って入る。


「あ、それは無いと思うな。ここの魔女達はそういうの興味ないから」


「エルデールは戦ったわよ、それにあなた(エリシア)やイクリーサとも」


「エルデールは入ったばっかりだったし、私はシオンちゃん勧誘の目的が、イクリーサは試験の目的があったからね」


「裏生徒会って魔術の鍛錬とかそういうのはないの?」


「うーん、基本は給仕やお茶する位かな。一部を除いて好戦的な娘はいないよ」


「やっぱり間違いだったわ。抜けさせて貰うわね」


「そうはいかないんだなぁ、これが」


バサッと机の上に紙切れが置かれる。

それは魔術の筆で書かれた特殊な契約書で、守らない者には呪いが降りかかるという。

契約書の内容は勿論裏生徒会への入会と喫茶ポワレでの労働だった。

詩音は既にそれにサインしてしまっていたのだ。


「迂闊だったわ・・・」


「まあ指名ランクが上がれば決闘は自然と申し込まれるから」


「そういう物なの?」


「そういう物さ」


これからの生活に不安を覚える詩音であった。

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