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第五話「地球の魔女」


天道詩音は調べていた。

「雷の魔女」イクリーサだけではない、この学園の最高魔術師の称号「魔女」についてである。

不覚にもその称号を得てしまった詩音であったが、その裏に隠されているある組織が判明した。


「裏生徒会」。

通常の生徒会とは違い、学園ひいては教師陣にまで影響力を持つ高位の魔術師の生徒達で構成された集団である。

先日戦ったイクリーサもその組織のメンバーらしい。

そこには学園の魔女達が集まっており日々魔を極める為に切磋琢磨しているとかいないとか。

何にせよこれ以上自分の学園生活にちょっかいを出されてはたまった物ではない。

そう判断した詩音は、裏生徒会に直談判しにいくことにした。

前回のイクリーサとの戦いの後の調査で連中の溜まり場は判明しているのだ。

さあご対面。


「やあ名称不定の魔女さん」


「いらっしゃいませ、お嬢様!」


「え!?」


そこはなんと使われていない教室を改装した喫茶店だった。


「何を驚いているんだい、そこに書いてあるだろう、喫茶ポワレって」


「た、確かにそうですけど・・・」


銀髪の長身の少女が詩音に語り掛ける。

もっと悪の幹部がいるような禍々しい一室を想像していたのだが、そこはとても百合百合しい雰囲気だった。


「ささ、座って座って」


「私お茶をしに来たんじゃ・・・」


「いいからいいから」


どうもこの雰囲気は苦手だ。

調子が狂う。

詩音が戸惑っていると銀髪の少女が対面の席に座った。


「私は3年生のエリシア。一応氷の魔女って呼ばれてるよ。君は何の魔女って呼べばいいのかな?」


「そうね・・・地球の魔女とでも呼んで貰おうかしら」


「チキュー・・・聞いた事ない魔術用語だね」


「そうね、私の故郷の名前ですもの」


「ふーん、それでも聞いた事の無い地名だ。チキューねぇ・・・」


「これで用は済んだでしょう。離れて頂戴」


「そうはいかないんだよね~。シオンちゃん、君を裏生徒会に勧誘する」


「・・・ちゃん付けはやめて下さい」


「んもう、連れないなぁ」


「じゃあ私、帰りますから」


「まったまった、それじゃあ決闘を申し込もう!」


「は?私に何の得が・・・」


「決闘に負けたら裏生徒会は君を追い回すのやめるよ。その代わり私が勝ったら裏生徒会に入って貰う!・・・どう?」


「いいでしょう・・・約束は守って下さいよ」


「勿論さ!」


―学園中庭


中庭には既に多くのギャラリーが湧いていた。

あれだけ騒いだのだから仕方がない。


「そういえば君は氷の剣をつかうんだったね。こちらの武器を変えようか?」


「結構です。風よ!」


緑の風の長剣が詩音の手元に現れた。

それを構える詩音。

風の剣は羽の様に軽く、切れ味はどの剣よりも鋭かった。


「それじゃあいくよ!」


エリシアは出していた氷剣をしまうと氷の槍を飛ばして来た。

氷剣で接近戦を覚悟していた詩音にとって完全なる不意打ちである。


「そらそら、逃げてばかりじゃ勝負にならないよ!」


足を少しでも止めたら氷の槍に串刺しにされ、一歩間違えば入院物だ。

詩音は風の短剣を幾つか召喚すると、飛んでくる氷の槍にぶつけ相殺した。


「これじゃあ埒が明かないわ・・・杖よ!」


7本の杖が詩音の周囲に転移してくる。

宙に浮いた杖から5大元素を収束した強力な魔術の一撃が放たれる。

エリシアも巨大な氷の槍を召喚し投げつけて来るが、杖からの一撃を受け爆散した。

そして衝撃で吹き飛ばされたエリシアに詩音が迫る。

宙に浮いた杖達はいつでも次の一撃が放てるようにエリシアに向けられていた。


「分かった分かった、降参するよ、地球の魔女さん」


「・・・気が変わったわ。裏生徒会に入ってあげる」


「え、それは本当かい!?」


「本当よ。あなた達と戦ってる方が魔術の上達が早そうだし」


「よしよし、じゃあさっそく3サイズを教えてよ」


「は?」


「ここのメンバーは皆喫茶ポワレでお給仕をする掟があるんだよ。だから君の制服を用意しないと」


「選択、間違ったかしら・・・」


裏生徒会への入会を早くも後悔している詩音であった。

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