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第四十六話「転生系侯爵令嬢」


「あなたが私の護衛なんでしょう?命を張って守りなさいな」


性悪な侯爵令嬢のカトリーナが偉そうに詩音に命令する。

学園からの命令でこの侯爵令嬢を護衛するように派遣された詩音には従うしかないのだ。

しかしその状況は2日で変わった。



「大丈夫ですか?」


「え、ええ・・・」


詩音の効き間違いだろうか?

あのカトリーナが詩音の心配をしている?

まるで別人になったかの様に・・・別人?

まさかと思った詩音はカトリーナに問いただした。


「あなたまさか転生者?」


「どうしてそれを?」


「私も転生者だから」


「え!?」


驚くカトリーナ。

カトリーナの中身の人の名前は佐藤由美子といい、中流階級の普通のサラリーマンの娘であった。

しかし詩音もカトリーナも転生者である事を隠さなければならない。

特に記憶蘇り系で転生したばかりのカトリーナはボロがでやすい。

詩音は転生者仲間であるカトリーナをフォローする事を心に決めた。

しかし今までとは真逆の優しすぎるカトリーナの言動は違和感の塊であった。


一番最初にそれに気付いたのはカトリーナの婚約者レオン侯爵だった。


「カトリーナのお茶はおいしいね」


「ありがとうございます」


「おや?カトリーナはお茶の入れ方なんて微塵も知らないはずなんだが」


「(しまった!し、詩音さん!)」


「カトリーナ様にお茶の入れ方を教えたのは私でして・・・」


詩音がフォローを入れるがもう遅い。


「いつから入れ替わっていたんだい?」


「ええと・・・」


答えに詰まるカトリーナこと由美子。


「まあいい、手のかかる婚約者で困っていた所だ。歓迎するよ、新しいカトリーナ」


「え、いいんですかそれで」


呆気に取られた詩音。

どうやらカトリーナ転生前の悪行三昧は相当な物だったらしい。


「いいのさ。君も中身が違うのかい?」


「ええ、まあ・・・」


この際隠してもしょうがないと打ち明ける詩音。

レオン侯爵は誰にも話さないと約束してくれた。

どうやら口は堅い様で安心する詩音達。


「こうして新しいカトリーナに出会えて私は幸せだ。だってこんなに愛らしいのだから」


「レオン様・・・」


新しいカトリーナを抱き寄せたレオン。

そして頬を赤らめながらもそれに応える新カトリーナ。

こうして二人の愛の劇場は幕を閉じた。



「勝手に終わるんじゃないわよ!」


人魂の様なものがぼんやりと現れる。


「もしかして古い方のカトリーヌ?」


「古い方とか言うな!あなた魔女なんでしょ!なんとかしなさい!」


「そんな・・・魂の入れ替えなんて古代魔術位しか・・・あ!」


詩音は古代魔術で思い出した。

あの古びた魔術書には古代魔術が沢山載っているのだ。

魂を入れ替える魔術だって載っているだろう。

しかしそれは新しいカトリーナが魂だけの存在になる事を意味する。

転生者のよしみでそれは避けたかった。


「あなた、心当たりがあるの!?」


「な、無いです!」


「嘘おっしゃい、なんか悩んでたでしょ!」


「どうやら解決方法があるようだね、シオンさん」


「ええ、でもそうしたら新しいカトリーナが・・・」


「そうか、僕に妙案があるんだが」



「覚えてなさいよ!クソ侯爵!」


「ほら、メイドがそんな口聞いたらだめだろう」


「くっ・・・!」


そのメイドはこの間古い方のカトリーナがいびり過労死させたメイドだった。

死んで間もない為腐敗も進んでおらず外傷も無い。

魂の器としてはまたとない存在だった。


「ありがとう、詩音さん」


「恩に着るよ、魔女シオン」


こうしてレオン侯爵とカトリーナ侯爵令嬢に感謝された詩音は護衛任務を終え上機嫌で屋敷を去った。

そしてその帰り道・・・



「導きの魔女、あの神様が私にやらせようとしている事が分かったかもしれない」


例の魔術書を最強の魔女が使えば大規模な魂の抽出が行えるだろう。

更に言えばあの神様は自分でそれをすることが出来ないのだ。

だから素質のある詩音を転生させてやらせようと計画していたのではないか。

そう考えた詩音は絶対に利用なんかさせてたまる物かと決意するのであった。


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