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第三十一話「お姉様の事情」


―喫茶ポワレ控室


時止めの魔術をくらった詩音は十分回復し、今はレオナと二人っきりで喫茶ポワレの控室にいた。

詩音が意を決してレナスの事をレオナに尋ねる。


「お姉様、差し支えなければあの時の魔女、レナスって人の事教えてくれますか?」


一瞬迷ったが無言で頷くレオナ。

危険を犯して決闘までしてくれたのだ。

詩音にも知る権利は十分にある。


「彼女はお父様が決めた婚約者なの。小さい頃からのね」


レオナの家は由緒ある貴族の家系で、レナスも同じ名門貴族の出だ。

いわゆる親の決めた許嫁という関係らしい。

女同士では世継ぎが産まれないのにいいのだろうかと思った詩音だったが、

そこは魔術でなんとかなるらしい。

だから今回の決闘で詩音が勝ってしまったのは相当やばいらしい。

学園内のお遊びの決闘で決まった婚約に効力はないだとか賛否両論な家族会議をレオナ抜きでやっている。


「決闘の賞品にされるのは嫌だけど、彼女と婚約するのはもっと嫌なのよねぇ」


「じゃあこれからどうするんですか、お姉様?」


「やるなら学園外で命がけの決闘をすればいいんじゃない?」


そう割って入ったのは時の魔女レナスであった。


「だめよ!そんなの許さないわ!」


「私はシオンちゃんに言ってるんだよ。どうだい、私の案は」


「申し訳ないですがお断りします」


詩音としては受けてもよいのだが、

これ以上お姉様を悲しませたくないのが本音だ。

これ以上危険な真似はできない。


「ふーんそうか、まあいいや。ところで前回のプロポーズの答え考えといてくれた?」


「だからお断りします。私にはお姉様がいるんですから」


「ま、いいけどね」


飄々とした態度で話を聞き流すレナス。

にやにやと怪しい笑みを浮かべている。


「そうそう、私が婚約者じゃなくなったから次からはひっきりなしに婚約の申し込み、決闘の申し込みが来るだろうね」


「どういう事ですか?」


「世界中で有名な時の魔女から無名の魔女に変わったんだもの。これは挑戦者増えるでしょ絶対」


「本当ですか、お姉様?」


詩音がレオナの方へ顔を向けると、

そうだと言わんばかりに難しい顔で頷いている。


「大丈夫です、お姉様!どんな魔女が来ても私が追い返してみせます!」


「そう、頼もしいわ。でも体には気を付けてね」


例の魔術書がある限り詩音が負ける事はないだろうが、あれは詩音への体への負担が大きい。

アレを使った後の詩音の心配をするレオナであった。






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