表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/114

<episode 23> 悪役令嬢、武器を所望する。

本エピソードから第2幕の開幕となります。

悪役令嬢エトランジュの覇道はまだまだ続きます。

これからもお付き合いください!


今回は第2幕開幕記念として2エピソード連続公開します。

 幸いにも早い段階で移動手段が手に入ったおかげで、地獄での行動範囲が格段に広がった。

 入手過程に多少のすったもんだはあったが、最終的には喜んで献上してくれたムチ打ち地獄のトップ、エリトに感謝だ。

 ちなみに移動要塞は大好きなスイーツにちなんで『マカロン』と名付けた。威圧的な外見を少しでも緩和して差し上げようというワタクシのせめてもの親心だ。

 移動要塞マカロン。うん、なかなかいいネーミングだ。


「ご主人様、これからいかがなさるおつもりですか?」


 ワタクシの右手に立つエリトが片眼鏡をキラリと煌めかせ尋ねてくる。

 知力を武器にムチ打ち地獄のトップに上り詰めたという彼は、早くも我が地獄の軍団(笑)で参謀のポジションを確立しようと画策しているようだ。


「紅茶とスイーツの心配もないし、移動手段も手に入れたとなると……。あとは武器がほしいですわね」


「武器、ですか?」


 は? 貴方ご自身が最終兵器なのでは?とでも言いたそうな顔でエリトが聞き返してくる。

 その評価の是非はともかくとして、生前からワタクシが快適にハッピーライフを満喫しようすると必ずと言っていいほど邪魔してくる輩が現れた。彼らはどこにでも現れる。それこそワタクシの辞書から『恐怖』の二文字を消せない原因である、あの黒光りしてカサカサ動いて1匹見たら100匹はいると言われる恐るべき生命体のように……。


 彼ら(黒光りの生命体ではなく、邪魔してくる輩のほう)は、不思議なことにワタクシが人生を楽しんでいることがどうしてもお気に召さないらしい。ワタクシなどに関わらず放っておけばいいのに、わざわざ文句を言うために登場するのだから人の心理というのは複雑怪奇だ。

 そんな複雑怪奇な人々を追い払うのに、武器があると何かと重宝する。害虫を追い払うのにいちいち貴重なMPを消耗したくないというのもある。


「……というわけで、武器を所望します」


「何が「……というわけで」なのかはわかりませんが、仰せとあらば承知いたしました。武器屋でお買い物されたいということですね」


「ふふっ。おバカさんですわね」


「はい?」


 きょとんとして首をかしげるエリト。

 やれやれ。一から説明しないとわからないとは、彼の参謀への道はまだまだ遠そうだ。


「ショッピングなんてしたら武器屋を儲けさせるだけでしょ? 武器屋と言えば聞こえはマイルドかもしれませんけど、要するに戦闘・戦争をビジネスにする武器商人ですわ。彼らはワタクシに武器を売りつける一方で、その敵対勢力にも武器を売る。そうやって両者が疲弊するまで武器を売りつけて儲けられるだけ儲ける。そして最終的に勝者には恩を売って利権を得る。敗者からは借金のカタに利権を奪い取る。それが彼らのやり方ですのよ」


 戦争は儲かる。だからビジネスにする者が現れる。

 それはそれで彼らも商売だからやりたいようにやればいい。

 しかし何も馬鹿正直に彼らのやり方にこちらが付き合って差し上げる必要はない。


「では、どうするのですか?」


「簡単ですわ。武器屋から商売道具を根こそぎ全部奪っちゃえばいいのよ」(満面の笑み)


「………………本当に貴方は悪魔のようなお方ですね」


「ありがとう。最大級の誉め言葉として受け取っておきますわ」


「地獄で一番の武器屋と言えばワルサンドロス商会です。ここからなら小一時間程度の距離で到着するでしょう」


「では、そこへ乗り込むとしましょう。移動要塞マカロン、全速前進!」


 地獄の武器屋は一体どんな武器を扱っているのだろうか。

 決してワタクシはバトルジャンキーでも戦闘民族でもないが、今後の生活(戦闘含む)を快適に楽チンにしてくれる武器があると大変ありがたい。

 どんな武器が待っているか。到着までワクワクしながら待つとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ