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<episode 16> 悪役令嬢、常にプラス思考で行動する。

「……ご主人様。ご主人様が強気なのはいつものことでしょうし、大変よろしいかと思うのですが、あの乗り物は地獄でも指折りの武器屋、ワルサンドロス商会が開発した強力な兵器です。いくらご主人様が強くても、あれと正面から渡り合うのはいささか危険かと……」


 心配顔のヒッヒが遠慮がちに進言してくる。

 確かに彼の言うことは事実なのだろう。でも、だからと言ってネガティブに考える必要は何一つない。

 多くの人は、新しいことに挑戦するときや、未知のものと対峙するときに、つい不安が先立ってしまう。

 失敗したらどうしよう。傷ついたらどうしよう。間違えたら恥ずかしい。

 そんなネガティブな気持ちのせいで、一歩踏み出すことを躊躇してしまうのだ。

 しかし、それはただの思い込みでしかない。人間には無限の可能性がある。何事もやってみなければ始まらない。たとえ失敗したとしても勇気を出して挑戦したことは必ず未来の成長の糧となるのだ。


 とはいえ誰だってネガティブな気持ちに負けそうになるときはある。そんなとき、ワタクシなら、こう考える。


「あら、それはラッキーですわね。地獄での生活をもっと快適にするために、そろそろ馬車がほしいと思っていたところですのよ。おほほほほ」


 そう、これは願ってもない幸運なのだ。

 わざわざ地獄の悪魔たちがワタクシのために乗り物を運んできてくれた。それも王族が乗り回している馬車よりも遥かに大きく、頑丈な乗り物を。

 ……まあ、乙女が乗るにはちょっぴりゴツイ気もするけど、そこまで求めるのはさすがに贅沢というものだ。

 そんな素敵な乗り物が、(力ずくで奪ってしまえば)なんと今ならお値段無料! こんなにうまい話はない。


「ま、まさか、あの乗り物を強奪するつもりでありますか? こんな悪魔的な発想をする人間、今まで見たことも聞いたこともないのであります……!」


「ひゃは!? さすがボクたちのご主人様! 極悪非道にも程があるぅぅ♪」


 クックとヒャッハーが、キラキラしたまなざしでワタクシを見る。

 その横でヒッヒがスイーティアに何やら耳打ちしている。


「あの、スイーティアさん。ご主人様は生前からあのような感じで……?」


「ええ、平常運転です。本当に地獄に来ても相変わらずなのですね、お嬢様は。ふふっ」


 物事は考え方ひとつでプラスにもマイナスにも働く。そして、どうせ行動するならプラス思考で行動したほうがいい成果を得られるに決まっている。

 失敗したらどうしようなどと考えてビクビクしながら行動するのは、良い成果を得られる確率を自ら下げているようなものだ。

 根拠なんてなくたっていい。必ず成功する、絶対に成功させてやると思って、胸を張って真っ直ぐに行動することが大事なのだ。


「さあ、とっととあの乗り物をいただくとしますわよ」

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