表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/114

<episode 15> 悪役令嬢、マッドなんとか地獄のデスなんとか的な乗り物と対峙する。

 それは午後の優雅なスイーツタイムを切り裂くかのように、爆音と砂ぼこりをまき散らしながら現れた。


バルルルルル!!


 王族が使用する豪奢な馬車のゆうに10倍はあろうかという巨大な乗り物。鉄板と有刺鉄線からなる堅牢な威容は、さながら動く要塞である。


ギギィィーーー!!


 その動く要塞がワタクシたちを威嚇するように真正面に立ち塞がった。

 舞い上がった砂煙に、くちゅんとネコタローがくしゃみをする。スイーティアと三人組は何事が始まるのかと青い顔をして怯えている。動く要塞の主が「地獄へようこそ!!(^^)」と歓迎しに来てくれたという雰囲気でもなさそうなので無理もない。


「おい、そこの人間! これから貴様を処刑する!!」


 要塞からゾロゾロと湧いて出てきた悪魔たちのうち、リーダー格らしき悪魔がワタクシを指さし、問答無用で処刑宣言してきた。

 歓迎されるとは思っていなかったけど、いきなりの処刑宣言。人間世界で処刑されたばかりなのに、今度は地獄で処刑とは、なんだかまるでワタクシがとんでもない大悪党のような扱いではないか。これには憤りを禁じ得ない。


「なぜ、ワタクシが処刑されなければならないのかしら?」


 当然の疑問を抗議の意味も込めて口にする。一応聞いてはみたものの、どんな理由があろうと一日に二回も処刑されるつもりはないのだが。


「なぜ? なぜだと!? いいだろう、教えてやろう! 一つ、地獄に堕ちたくせに地獄の刑罰を受けていない! 二つ、地獄の断罪人が罪人に刑罰を与えるのを邪魔した! 三つ、あろうことかその断罪人たちを返り討ちにした! これらはすべて極刑に値する重罪である!!」


「あら、それの何が悪いのかしら?」


「な、なんだとぉ!?」


「一つ、確かにワタクシは地獄に堕ちたようだけど罪を犯した覚えはない。よって刑罰を受ける気はない。二つ、大切な専属メイドがいたぶられているのを黙って見過ごすわけにはいかない。よって阻止したまでのこと。三つ、断罪人とやらが敵意むき出しで向かってきた。よって殺られる前にボコボコにして差し上げた。……これのどこが悪いのかしら? ワタクシにはさっぱりわかりませんわ」


「ふ、ふ、ふざけるなっ! 非常識にも程がある! 人間は人間らしく、地獄に来たら怯えて大人しく罰を受けるものだ!!」


 リーダーの周囲にいる悪魔たちが、そうだ!そうだ!と口々に賛同する。

 うーん。この風景、人間世界でもよく見た気がする。デジャヴというやつだろうか。まさか地獄に堕ちて悪魔からも「非常識」と言われるとは思ってもみなかった。ちょっぴりショック。


 けど、ワタクシはエトランジュ・フォン・ローゼンブルク公爵令嬢。そんなことぐらいでめげたりはしない。常識なんて、おクソ喰らえだ。

 それよりも楽しみに残していたマカロンが砂ぼこりで汚れてしまった。この落とし前、どうやってつけてくれようか……。

 ワタクシのスイーツを汚すやつは何人たりとも許さん。貴方がたに明日を生きる資格はない。

ちょっとボリューム不足かなと思ったので、次のエピソードも同時公開します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ