通信、アカネから届く
そうして錬義と斬竜は一緒にベッドに横になって、寝た。
まるで子供のように抱き合って。それがなんだか愛らしい。性的な結び付きだけが<伴侶>というものではないと教えてくれるかのようだ。
もっとも、時期が来ればきっと今度はそれこそ獣のように求め合うことになるだろう。そういうものだ。
けれど今は、これでいい。
と、翌日。
「錬義、アカネから通信が入っています」
朝食を終えて寛いでいたところに、ミネルバがそう告げてきた。
「アカネから? なんだろう」
言いつつ、
「繋いで」
そう指示を出した。すると、ホビットMk-XXXから、
「ああ、錬義? 今からそっちに、マヒルが遊びにいくから。エレクシア様のお屋敷を作る仕事の方も終わったし、久しぶりにあなたに会いたいって」
管制官のアカネの声が。ホビットMk-XXXのスピーカーを通してのことだ。
「マヒルが?」
その名を聞いた錬義に笑顔が浮かぶ。けれど同時に、
「でも、大丈夫かな」
さすがに斬竜のこともあってそう感じる。けれど、アカネは、
「アンデルセン様の許可も出たし、大丈夫でしょ。念のためにドーベルマンSpec.V3を護衛に付けてくれているし」
とのことだった。それを聞いて、
「なるほど。それなら大丈夫か」
斬竜が大の苦手としているドーベルマンSpec.V3が一緒なら、間に入るだけで十分に守れるだろう。それに、マヒルも強い。
錬義や斬竜と同じく<ダイナソアン>なのだから。もちろん、斬竜のような力までは有していない。いないが、単純な力だけなら錬義とも勝るとも劣らない力を持っているのも事実だった。
「そっか。じゃあ、楽しみにしてる」
応えた錬義に、
「ヤナカも一緒だから、迷惑を掛けるかもしれないけど、お願い」
アカネが付け足す。
「ヤナカも……? あはは、これは大変だ」
笑う錬義を、斬竜が不思議そうな目で見ていた。
そうして昼過ぎ、
「来ました。マヒル様のワイバーンです」
ミネルバが告げる。
<ワイバーン>とは、朋群人社会で一般的に使われている<ウルトラライトプレーン>であり、いわば、
<空飛ぶ自動車>
的に当たり前の移動手段として用いられているものだった。要するに、ミネルバの親戚のようなものである。
すると、「ブーン」という、プロペラの音が届いてくる。外に出て空を見上げた錬義の視線の先に、ミネルバによく似たウルトラライトプレーンの姿。三機だ。
それがみるみる近付いてくる。
「……」
斬竜は警戒するものの、
「大丈夫だよ。心配ない。僕の友達だ」
錬義が落ち着いているので、怯えるほどではなかったのだった。




