表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凶竜の姫様  作者: 京衛武百十
出逢い
9/96

錬義、強引なテクニック

そうして錬義(れんぎ)は、今夜の宿に適した場所を、ミネルバに乗って探し始めた。


高度は百メートル程度。速度は六十キロ程度か。ルーンとわずかにプロペラの音はするものの、ほぼ滑空する鳥のようにも見えた。


やがて、いくつかの岩が折り重なるように地面から突き出ていた場所を見付け、


「うん、良さそうだ」


と呟いて降下した。そして、ミネルバが地面に着陸する前に、高さ五メートルほどのところから飛び降りて、岩の上に降り立った。


するとそれは、長さ約二十メートルから約三十メートル、幅約十五メートルから約二十五メートルほどの岩が四つ、絡み合うようにして重なった場所だった。


が、錬義(れんぎ)が岩の上から下を見下ろすと、地面を、<尻尾が生えたダチョウ>という印象のある生き物が何頭もうろついていた。


ストルティオ竜(ストルティオ)


そう呼ばれる、亜竜(ありゅう)の一種である。鵺竜(こうりゅう)亜竜(ありゅう)は、おおむね大きさによって区別されている。体長が十五メートル以上のものを鵺竜(こうりゅう)、体長が五メートル以上十五メートル以下が亜竜(ありゅう)とされているが、この区別は実は必ずしも厳密ではない。例えるならクジラとイルカの関係に近いだろうか。


クジラとイルカも、一応は大きさで区別するとされてはいるものの実際にはその境界は曖昧なのだとか。鵺竜(こうりゅう)亜竜(ありゅう)の区別もその感じとも言える。


ただ、標高七百メートル以上には鵺竜(こうりゅう)はいないとされており、それより高いところに住んでいるものは亜竜(ありゅう)と思って間違いないだろう。


一方、逆に標高七百メートル以下の場所でも、亜竜(ありゅう)は住んでいる。


とにかく<ストルティオ竜(ストルティオ)>は、尻尾まで含めた体長が五メートル強の、全身を長い毛で覆われた亜竜(ありゅう)であり、どうやらこの岩の下の方が彼らの巣のようだ。


ストルティオ竜(ストルティオ)らは、自分達の巣の上に怪しい生き物がいるということで警戒しているのだろう。


「ごめんごめん。ちょっとお邪魔させてもらうよ。まあ、明日にはいなくなってるから」


言葉が通じるわけではないが、錬義(れんぎ)は両手を合わせて詫びるような仕草を見せた。それから、上を向いて、


「さてと、おいで、ミネルバ!」


上空を旋回しているミネルバに声を掛ける。するとミネルバは彼目掛けて急降下し、軽量な機体を活かして岩にぶつかる直前で急上昇に転じる。しかも、ほぼ垂直に。


しかしさすがにそれは無理があり失速。空中で停止してしまう。普通ならこのまま墜落するところだが、なんと錬義(れんぎ)が跳び上がってミネルバの機体を掴み、そのまま岩の上に着地してみせたのである。


岩の上にミネルバを下すための強引なテクニックであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ