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凶竜の姫様  作者: 京衛武百十
出逢い
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ドーベルマンSpec.V3、淡々と対処する

ドーベルマンSpec.V3が自身の腕を極めにきたのを察した斬竜(キル)が体を回転させてそれを躱しつつ腕を引き抜いて後ろに飛び、距離を取ろうとする。


だが、そんな彼女の動きに、ドーベルマンSpec.V3は確実についてきた。


「!?」


腕を極められそうになった時にはそれほど焦ったような様子もなかった斬竜が、明らかに驚いた表情になった。確実に距離を取ったつもりだったのが追いすがられたからだ。


その様子に、錬義(れんぎ)も察する。


『やっぱり、ドーベルマンSpec.V3のスピードには驚かされるか……ま、そうだよね。力はもっと強いのもいるけど、この速度で動けるのは、野生にはほとんどいないからね』


錬義の言うとおりだった。機体の大きさもあって、出力そのものは、鵺竜(こうりゅう)どころか亜竜(ありゅう)にだって上回っているものはいる。しかし、電気的な反応速度の点では生物は機械には及ばないことも多い。ましてやドーベルマンSpec.V3は、<外敵に対する武力>としての役目を与えられたロボットである。相手よりも早く動き、攻撃の暇を与えず撃破することが望まれている。この程度のことはできて当たり前なのだ。


しかもこれでさえ、アンデルセンには及ばないが。


高性能機ゆえに数を確保できなかったアンデルセンの同型機を補うために、少し性能を落としても数を揃えることを目的として開発されたのが、ドーベルマンSpec.V3である。まあ、単純に数だけで言うならホビットMk-XXX(サーティ)でもよいのだが、<制圧>するだけならホビットMk-XXX(サーティ)による物量作戦でもいいのだが、今回のように、<個>としての力の差を見せ付けるという場合にも、ドーベルマンSpec.V3は用いられる。


「ギイッ!!」


地面に足を着いた瞬間にさらに横っ飛びして間合いを取ろうとした斬竜だったものの、それも完全に対処された。まったく振り切ることができないのだ。その上でドーベルマンSpec.V3が彼女の腕を再び掴む。


「!?」


それを振り切ろうとした斬竜だったものの、先ほどの彼女の動きを学習したドーベルマンSpec.V3に動きを予測され、抱き締めるようにして完全に捕まってしまったのだった。


「イギャアアアアッッ!?」


異様で奇怪な何かに抱き締められ、斬竜はパニックに陥った。足で滅茶苦茶に蹴りつけるが、ドーベルマンSpec.V3は、四本ある脚の内の前二本を器用に動かし、そこに施された弾力性のあるカバーで彼女の蹴りのすべてを受け止めてみせる。


そしてそんな様子を、研究棟の自室で、監視カメラやドーベルマンSpec.V3から送られてくるデータで確認していたアンデルセンが、


『やはり、単純な体格差で、竜女帝ほどの攻撃力はないか』


と判断していたのだった。



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