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凶竜の姫様  作者: 京衛武百十
出逢い
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帰路

こうして再び離陸する。今度はすぐに毛布を使えるようにして。すると斬竜(キル)は、毛布を自分の体に掛けてその上で錬義(れんぎ)に抱きついた。先ほどまでよりは平気になってきたもののやはり空を飛んでいるのが怖いのだろう。とは言え、彼に抱きついていれば大丈夫そうではある。


確かに斬竜(キル)錬義(れんぎ)に対して媚を売るような振る舞いはしない。しないが、雌が雄に媚を売るような生物は、哺乳類に限ってもそんなに多いだろうか? スキンシップやコミュニケーションはともかく、人間の女性が男性に対して媚を売るような仕草と同じような仕草をするのは?


そう考えると、実は斬竜(キル)はもうすでに錬義(れんぎ)のことをパートナーだと考えている可能性もなくはない。発情はしていないというだけで。


朋群(ほうむ)人には、<発情期>を持つものと、地球人のように常時発情が可能なものがいる。ただ、ダイナソアンについてはそもそも個体数が少なく、これまでに確認された四人(うち二人はすでに鬼籍に入っている)の内で<発情期>が確認された者はいない。錬義(れんぎ)の今の状態も<発情>と言われるといささか疑問があるので、断言はできない。


とにかく、すべてはこれからということだろう。


「ブーン……」


ミネルバも不意にプロペラの回転数を上げたりするが、ヤキモチを表現しているのだろうか。




そして、食事や用足しの度に地上に下りたりすることで、最短の二週間ではとても錬是(れんぜ)には戻れそうもなかった。


けれど、錬義(れんぎ)は別にそれでもよかった。できれば<貴人エレクシア>が目覚めるまでには帰り着きたかったが、まあ、それも『できれば』なので、別にいいだろう。


それよりも、斬竜(キル)とこうしてずっと一緒にいられることが嬉しい。


しかも斬竜(キル)も、食事の時などにはそれこそ<猛獣>に戻るものの、長距離を移動し、植生も変わってきて見たことのない大きな赤い花を興味深そうに指でつついたりしている姿は、それこそ普通の<女の子>にも見えなくはなかった。


加えて、錬義(れんぎ)の真似をして服を着ようとしたのか毛布を体に巻き付けたりしたので、彼の予備のシャツを着せてあげたら、どうやら気に入ったようだった。裸の上にシャツを一枚羽織っているだけなため、完全に全裸だった時よりも何となくセクシャルにも見える。


ちょうど、


<彼氏のシャツを借りて羽織ってる女の子>


そのものなのだ。だから、機嫌よく錬義(れんぎ)と一緒にいる時には、普通に<カップル>のようにも見えた。


錬義(れんぎ)自身、それに慣れてきたのか、気恥ずかしさも薄れてきたのだった。



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