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凶竜の姫様  作者: 京衛武百十
出逢い
29/96

ティランタス、狩りの現場

タイラント竜(ティランタス)の狩りの現場に遭遇し、


「やった!」


と興奮していた。ストルティオを観察する際にも使ったドローンを再び放つ。


そんな錬義(れんぎ)の視線の先で、ティランタスはじりじりとエレファントスに迫っていく。ライオンやチーターのように身を潜めるには大きすぎるので、エレファントスにはすでに気付かれていた。


エレファントスとしても卵を守るために逃げることはできず、老いた個体を中心に守りを固めた。


これは、彼らとしての種を守るための戦略らしい。最悪、老いた個体を犠牲にすることで卵や若い個体を守るという。


地球人はそういうことについて様々な感情を抱くかもしれないが、それぞれの種がそれぞれの進化の中で得た答えなので、<地球人>という一つの種が他の種の選択について口出しするのはエゴに過ぎず傲慢以外の何物でもないだろう。


だから錬義(れんぎ)もそれについては何も言わない。彼はただ、鵺竜(こうりゅう)亜竜(ありゅう)のありのままの生態を知りたいだけなのだ。


それに、エレファントス側もむざむざ仲間を犠牲にするつもりは毛頭ない。長い首を高く掲げてより自分を大きく強く見せようとし、ティランタスを威嚇してくる。卵を守るために巣から離れようとしない数頭を覗いた十頭以上が立ちはだかっているのだから、それはもはや小さな山のようですらあった。


地球の動物であればどんな猛獣でもこれに挑もうという気にはならないに違いない。


なのに、ティランタスはまったく怯む様子もない。その体に必殺の気概を高めていっているのが見えるかのように戦意が満ち満ちていた。


そうして、十分に近付いた瞬間、弾かれるように走り出す。


エレファントス達も、威嚇が通じないとみるや頭を下げて今度は右に左にと振り出した。


彼ら首は非常に頑丈で、頭部も固く、ブラックジャックと呼ばれる打撃武器と同様の使い方をする強力な攻撃方法である。クリーンヒットすればティランタスさえ昏倒させるほどの威力があるのだ。


もっとも、同時に最大の弱点でもある脳を納めた頭部も含めて攻撃に使うので、場合によって自滅する危険性もある<諸刃の刃>でもあるが。


そういう意味では尻尾の方がいいように思えるだろうが、最後のインパクトの瞬間まで実際に目で追い微調整ができるので、彼らにとっては頼れる手段なのだろう。


そんなエレファントスの群れに、ティランタスが猛然と迫る。それに対して一番前にいたエレファントスが必殺の一撃を見舞う。


が、ティランタスの方が一枚上手だったようだ。太く長い首をわずかに体を下げて紙一重で躱し、首の根元に食らいついたのだった。



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