表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凶竜の姫様  作者: 京衛武百十
出逢い
16/96

凶竜の姫様、三つ巴の戦いに突入する

こうして、


凶竜の姫様。


サススクロファ竜(サススクロファ)


ストルティオ竜(ストルティオ)


三つ巴の戦いが始まった。


数の上では有利なサススクロファ竜(サススクロファ)ではあったが、ストルティオ竜(ストルティオ)の方が凶暴で力も強く、天敵である。しかも今は、凶竜の姫様が群れの幼体(こども)に襲い掛かっており、そちらも対処しなければいけない。


しかもストルティオ竜(ストルティオ)は、凶竜の姫様が首を締め上げている幼体(こども)に狙いを定めたらしく、容赦なく襲い掛かる。


が、それに対しては凶竜の姫様も獲物を奪われてはかなわんとばかりに、


「ぐあっっ!! がああっっ!!」


と威嚇しつつ、彼女ごと幼体(こども)の首筋に食らいついて来ようとするストルティオ竜(ストルティオ)の顔面に、容赦ない蹴りを食らわせた。


すると、体長五メートル以上あるストルティオ竜(ストルティオ)の膝がガクンと折れて、地面に突っ伏した。凶竜の姫様の蹴りの威力をまざまざと見せつける光景である。


「ぐうおおおおあああっっ!!」


凶竜の姫様は渾身の力を込めてサススクロファ竜(サススクロファ)の幼体の首を締め上げ、


ベギッッ!!


という、湿ったものの中で固いものがへし折れる音と共に、サススクロファ竜(サススクロファ)の幼体の頭を有り得ない方向へと捻じ曲げてみせた。瞬間、幼体の体から力が消え失せ、地面へと崩れ落ちる。


「ガッヒッ!」


「ガブアッッ!!」


自分達の幼体(こども)の死を目の当たりにし、サススクロファ竜(サススクロファ)らは、悔しそうに声を上げた。そして敵を討とうとでもするかのように一斉に凶竜の姫様に襲い掛かるが、そのうちの半数がストルティオ竜(ストルティオ)に阻まれ、残る半数も、機関砲のように連続で繰り出された凶竜の姫様の蹴りを次々と顔面に食らい、地面に突っ伏した。


すると、ストルティオ竜(ストルティオ)らは、凶竜の姫様が仕留めた幼体ではなく、彼女に蹴られ地面に倒れた一頭に襲い掛かった。無理に幼体を狙うのではなく、凶竜の姫様が作ってくれたチャンスを活かす方向に舵を切ったらしい。


幼体は死に、もう一頭の仲間もストルティオ竜(ストルティオ)に食らいつかれて、


「ビギャッ! ビギャアアアーッ!!」


と断末魔の声を上げながら体を食いちぎられていくのを目の当たりにし、遂に、


「ガビャアアアーッッ!!」


ボスらしき一頭が声を上げて、その場から逃げ出した。少しでも多くの仲間を生かすための決断だった。


そうしてサススクロファ竜(サススクロファ)らが立ち去った後、獲物を得た凶竜の姫様はその場で幼体に食らいつき、ストルティオ竜(ストルティオ)らも、仕留めた獲物を皆で引きずり出した。巣で待つ雌の下に餌を持ち帰るためだろう。


これによりストルティオ竜(ストルティオ)も去り、凶竜の姫様は、改めて悠々と獲物を貪り始めたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ