01 悪夢
ー君は、こんな事を聞かされても困惑するだろうし、必死になって反対するだろう
だけどこれは、君にだけ聞いてほしい、そして考えて欲しいー
…はっ!
目が覚めた途端、周りの鳥達が飛び始めた
「ルー、なんで泣いているの?怖い夢でも見た?」
ルー、本名はアメストリア・ルークス それが俺の名前だ
今は自分の部屋で寝ていたのだが、何故泣いている?
それよりも…
「なんでシーがここに居る…」
シー、本名はアメストリア・シークス
シーは俺の妹なのだが、俺はシーが嫌いだ
性格は確かに良い。だが兄の俺に良く絡んでくる。
俺は静かな方が好きだ、だから妹の事は好きではない
「だって、ルーいつまで経っても起きないんだもん、今昼の3時だよ」
え?
「3時って、本当か?」
ありえない。泣いていたことといい、寝過ごしたことといい一体何なんだ……
昨日は夜の8時に寝たぞ、約20時間寝てると言う事になるぞ
「本当だよ、私が昼の一時くらいに入ったら、ルーなんか、ごめん…シー…とか言ってたし」
「んな訳あるか!!俺がそんな事言うはずがないだろ!」
「本当だよ!」
シーはそう言うものの俺は全く信じていない
俺がシーに謝っている?何故?考えるだけ無駄と思うが、イライラしてきた
だけどシーの目を見ると、嘘をついている様には見えない
そんな風に思っていると、外から
「おーーーーい!!!!ルーク!シーク!あーそーぼー!!!」
………うるさいな、外からそんな大声で叫んだら、近所の人に怒られるだろ…
「窓からの景色を見てみろよ!!こんな快晴で外に出ないなんて、人生の9割を損してる!!」
俺は今寝起きなんだよ、今窓から景色を見ているが、下には家事をしているおばさん、自転車に乗っている子供、奥には紅く照らされている山がある、確かに快晴だな
確かにこんな天気には外に出た方がいい、だけど俺たちは今15…じゃ無くて12だぞ、そんな歳になっても遊ぶなんて、まだ子供だな
「仕方ない、シー、遊んでやれ」
「ルーは?」「俺は結構、一人にしてくれ」
「…わかった、んじゃ5時に帰るね」
何か不満気味だな、こんな快晴に外で遊ばないと、お嫁さんに行けないぞ
あ、そうだ
「ウィルに伝えておきたい事がある」
「? 何?」
「次から小声で誘え、と」
ウィルは毎度の如く外から俺の部屋がある方向に向かって大声で呼んでくる、先日その件について俺たち家族に苦情が入った、悪いのは俺らじゃ無いぞ
その事をウィル本人に伝えたら、全く反省していないのか、大笑いしやがった
今度1発殴りたい
「ん、分かったそれじゃ行ってくるね」
…行ったか、2階の窓から見る二人はなんだか楽しそうに見えるな
『お!シーク!良く来てくれたね!ルークは来ないのか?』
『うん、あの人は今宿題してる』
『宿題だと!?ルーク明日は学校だって言うのに、まだ宿題が終わってないなんて…なんて可哀想なんだ…仕方ない、僕たちだけで行こう、』
シー…勝手に人の印象下げるような嘘をつくなよ…俺はもう宿題は終わってるし俺はただ眠いんだよ…
楽しそうに見えたのが人を侮辱してるだけじゃねえか
それにしてもウィル、相変わらず元気だな
言い方は悪いが、ウィルの家は少し貧乏だ。
それにあいつは親の顔を見た事がないらしい。それを聞いた時のあいつは笑顔のままだった。だけどその目は何か嘘をついている様に見えた。それは悲しみか、それとも別の何かか俺には良く分からない。
顔を見たことも無いせいか、あいつにはこんな夢がある僕は、親と会いたい会って抱きしめてほしい、これが僕の夢さ
どうだ?つまらないだろう?でも僕にとってこれは何よりも大きい夢さ-
確かにこれは小さいな、とても小さいけどあいつにとってどんな事よりも大きい夢だ
そんな夢を持つウィルを尊敬してるし、本当に幸せになって欲しいと思う、俺も少し外に出てみるか…
一階に降りてみると母さんに出会った
“アメストリア・パーシー”
母の名だ
母は、結構と言うかめちゃくちゃ厳しい
正直そこがめちゃくちゃうざいと思う所もあるけど裏を返せばそれ程愛してくれるのだろう、そう思えば少し嬉しくなる
歳もそれ相応なのだろう、見れば分かる
「ルークス?どこに行くの?」
「…決めてない、そこら辺をぶらついてくる」
やっぱり前言撤回だ、一々こう言い事を言ってくるな、はっきり言ってうざいな
俺がそんな風に思っているのを悟ったのか母は少し怒り気味だ
「…そう、早めに帰ってね」
はいはい分かったから…
「分かったから、5時に帰ってくる
そうは言うも中々気が乗らない、溜息を吐いて扉を開けると、うざいくらい眩しい
そして暑すぎる…こんなん歩く気にもならない
とは言っといて結局市場に来てしまった。俺の住んでいる首都イシスは人も多く、活気がある。
この国クルイシスは海が近く、他の国と違って魚が安いし何より質がいい。
この国推しの食料は魚だけじゃ無い、オレンジだ、普通の国では水やりの際、真水を使うと思うがこの国では海水を使っている、ここの海水は大変水質が良く、オレンジを育てる際真水より圧倒的に美味しい
海の色も綺麗な青色で近くには港もある、俺が今いる市場は毎日が祭りのようなムードだ、
美味しい野菜を売ってる所もあるし焼き鳥の屋台等色んな屋台がある、最近では芸もこの市場では流行っている、でもみんな休日と言い働いてるものばかりだ
「おい!ルークス!ちょっとこっち来い!」
「おいおいヒューズの旦那!こんな所にあんなちっこいガキ来ちゃダメっすよ!!」
「そうだぜ!あいつ俺らのとこ見てビビってるぜ!ガハハハハハハ!!」
「ジョーン トーマスよく見ろ、あいつは俺たちに仕掛けに来てるんだ、丁度いい機会だ…ガキどもに大人の何たるかを教えてやる」
ヒューズ ジョーン トーマスおじさん達…皆んなが必死に働いてる中何この国を守る兵隊が酒場で酒飲んでんの…
この3人組はいつもは海を警備する役割をしているのだが、正直俺が見てる中で仕事と言う仕事をしてるようにはまるで見えない…いつも俺が見てる時は酒場で酒飲んで女性をナンパしてる
旦那と言われてるのがヒューズ、口調が荒いのがトーマス、そしてもう一人がジョーン、この3人はここら辺では悪い意味で人気だ、実際俺もちょっと苦手だが俺が小さい時もこの3人は俺と遊んでくれて楽しい、何よりここの酒場の看板娘に怒られてるのが見ててとても面白い
今もまた呼ばれたのだが、丁度暇だし、行くか
「おじさん達、何してるの?」
うわ…近づいて行くと超酒臭い…少し遠くてもすぐ臭う
右手には酒…左手には…何だあれトランプか?
「おうよ!!丁度今ババ抜きしてるんだよ!負けた奴がビール奢り、ルークスお前持ってるだろ?ちょっと付き合えよ」
二人のおっさんもニヤニヤしながらこっち見てくる…
そもそも俺は金持って無いしなんか買う為に外に出たんじゃ無い、おじさん達いくら酒が廻ってると言っても俺みたいな12歳に大量もある樽…一体どれだけ金がかかるんだ…想像するだけで鳥肌が立つ…
まあ、でも金持ってない事言えば許してくれ「おいガキンチョ!!まさか金持ってないなんて言わねえよなあぁ?あああん!?」
……いきなり怒声放ったせいで周りの人達がこっちを見始めた…
俺自身も凄いビビったのだが、顔に唾がつきまくりだ、最悪の一言に限る、
さらに周りの人達は「だらしない…」とか「酒臭いおっさん無理…」等言ってる人も聞こえる、俺も早くここから抜け出したい
思えば毎日こんな日常だ、戦争もなく俺から見れば皆んな楽しい毎日を送っている、実を言うと正直俺も楽しい、さっき正直にウィルの誘いに行けば良かった、いやいや俺は兄だ、そんな事はしないが今頃あいつら何してるかな
「おいルークス!やんのか!やんないのか!どっちなんだよ!!」
………うるさい…大体もし…
「おじさん達、今皆んな楽しく毎日過ごしてるけどもしここにいきなり敵が襲ってきたらどうするんだよ」
その瞬間、おじさん達の目が鋭くなった、やっぱり言うのやめた方が良かったのかな、めちゃくちゃ怖い
「…あぁ?敵って何だよ、大体この国クルイシスでは平和主義を結んでんだよ、戦争なんてしねえし正直俺も嫌だね、知ってるか?兵隊は金が良いんだよ、俺たちは適当に仕事をこなして、いっぺえ金を貰って、その金で女と遊ぶんだよ、金を高く積めば積むほど良い女が来る、女は金に弱いからな〜!あの目を見ると興奮するぜぇ!!」
…呆れた、酒飲んでるとは言えそんなことが言えるなんて、確かにそう言うのを生業としている女性もいるけど女性も人間だ、言い方ってものがあるのでは無いか
はあ…来た俺が馬鹿だった、移動しよ
『おいルークス!逃げんな!!!』『ガキンチョ!ビビってんのか!ガハハ!!!』『旦那!やっぱりあいつちびってますよ!』
後ろから何か聞こえるけど…まあ良いや、早く逃げよ
市場から離れた所に来てみたがここら辺家ばっかだな…
この国の家の作り方はさまざまだが1番多いのはなんと言ってもレンガで作るのが多い
レンガで家を作るメリットとしては、やはりこの国は海と隣合わせと言うこともありめちゃくちゃ寒い、だから耐熱性や蓄熱性に長けているレンガを使っている
はぁぁあ…なんかでかいイベント起きないかなあ…祭りもつい先日行ったが俺はその日丁度熱で行けなかった、最近の俺は学校でも休み時間になったら図書室で本を読むだけ、本と言っても俺は小説ばっかだが小説は素晴らしい物だ、その本に書かれている一言一言が作者やキャラクターの心情を読み取るのに重要な鍵にもなるし、その一言でとんでもない展開が待ち構えている、故に小説は最強だ、世界初長編小説を書いた日の丸の紫式部様は大変な偉業を成している、俺もいつかは紫式部様のような人になりたい
にしても、ヒューズおじさん達が言ってた敵…敵はなんだ…
確かにヒューズおじさんの言う通りこの国クルイシスは平和主義を結んでいるしそれでも来た場合は軍事力最強のガーゼル国とは互いに不可侵条約を組んでいる、それにもしもの事があった場合向こうが直ぐに駆けつけてくるらしいから、確かにそれは心強いし敵もいるわけがな「おい!!!皆んな!上見てみろよ!!!!!!」
突然近くの20代半ば位の男性がいきなり叫んできた、今日はなんだか叫ぶ奴と良く出会う、それで上を見ろと言われたが何も…あ、飛行機だ凄いな、めっちゃ速い…けどなんかあれおかしくね?こっちに来てる…と言うのか
「あの飛行機!こっちに来るぞ!!!!!!お前らここから今すぐ離れろー!!!!」
周りの者達は叫びながら逃げているが、なぜだろう…俺はここから離れられない、一歩も動けないただ上の青い空と煙が飛び出ている飛行機をずっと見ている…死ぬのか?俺はもう死ぬのか?いや、だめだ俺はまだ死ねない、動け、動け、動け、早く動け、走ってウィルや妹達に伝えるんだ…それに俺は誓ったんだ…もう2度とシーの時のような間違いを犯さないって
ゴォオォォオオオォオォォオオオォオォ
初の小説執筆です、誤字脱字とかあったら遠慮なく言ってください、レビューもめちゃくちゃ待ってます