3・前世
黒沢とお客さんが待つ部屋に入るとそこに居たのは飛鳥にとって見知った顔をした二人だった。
「明海さんに青沼さんじゃないですか」
二人掛けのソファーにすわって飛鳥をじっと見ていた。
「こんにちは飛鳥君」
「久し振りだな飛鳥」
「…えぇこんにちはっす」
「とりあえず座れよ黒木」
黒沢に促されて二人に向かい合うように座った飛鳥はなんだかとてつもなく嫌な予感がしていた。
隣に座った黒沢は相変わらず楽しそうな顔をしながら唇をペロリと舐めていて、真っ正面の二人はニコニコと飛鳥を見ていた。
しばらく無言で向かい合っていた四人だったが、明海が口を開いた。
「ふふふ、飛鳥君私達貴方を勧誘しに来たの」
「勧誘?」
「そうよ、就職先まだ決まってないんでしょ?」
「…えぇまぁ」
今一番自分が気にしていることをずばっと言われてしまった飛鳥は今だにニコニコしている明海から目線を外した。
「話し変わるが飛鳥、お前は前世を信じるか?」
前世、そう言われた飛鳥は反射的に顔をあげてしまった、まさかこのお堅い青沼の口からそんな非現実的な言葉が出てくるとは付き合いの長い飛鳥でも想像できなかった。
「いったいいきなりなにを」
同様した飛鳥の口から出てきたのはなんとも頼りない声だったか、意味が分からず混乱している飛鳥にとどめをさすかのように青沼は懐から箱を取り出した。
「さて、先生も混ざってちょっと四人で話そうか、黒木~」
隣にいた黒沢がにこりと無駄にいい笑顔を浮かべながら箱を指差した。
箱にはこう書かれていた。
【魔法】と【剣】の世界を今ここに!!
伝説のRPGゲームが甦る!!