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2・お客さん

2019/5/17

登場人物設定に一人つけたしました。

飛鳥が独り本を読んでいると、次第に教室が騒がしくなってきた。

高校三年になった飛鳥はこれから社会人になるかまた学校に通うかの二択の選択を迫られていた。

飛鳥としてはさっさと就職して自由に行きたいと思っていた、あやふやな進路の事を考えながら本を読んでいると隣から控えめな声で名前を呼ばれた。

「黒木さん?」

「…あーなに?赤条さん」

「あっいや、その」

もじもじと飛鳥を見ながら視線をあっちにこっちにとやっている赤条を不思議に思いながら飛鳥はまた声をかけた。

「赤条さん?」

「あっ、あのね!」

「うん」

「黒木君って進路決まってるのかな?って思ってね!あっ別に深い意味はないんだけど、少し気になって……」

「まぁぼちぼち」

「そうなんだ!」

飛鳥はきらきらとした目線を向けてくる赤条に若干の罪悪感を感じつつ進路について言葉を濁した。

ぼちぼちなんて嘘だ、自分は全く決まっていない、けれどここでそう言うのはいくら前世の記憶がある中身がおっさんだったとしても、いや中身がおっさんだからこそ、プライドが許さなかった。

赤条との会話が終わった後飛鳥はまた本へと視線を戻し、赤条はそんな飛鳥をチラチラと見ていた。

「はいホームルーム始めるぞー」

ガラッとドアから入ってきたのはこのクラスの担任の、黒沢(くろさわ)だ。

黒い髪に黒い瞳、飛鳥と同じ色彩を持つ黒沢の事を少しほんの少し気になっていた。

「それじゃこのまま進路についての授業だ、内定決まってる奴はまぁ、うるさくしないで好きな事をやってろ、決まってない奴は黒板に貼ってあるプリントとか見てろ、あぁそれから黒木」

「はい?」

プリントを見ようと中途半端に席を立った所で自分の名前を呼ばれた飛鳥は間抜けな声を出しながら黒沢の方へと視線を向けた。

「お前は俺と一緒に行くぞ」

「……俺何にもしてないと思うんですけど」

「まぁまぁいいからいいから」

「あっちょ」

黒沢が飛鳥の腕を引っ張ると教室の出口まできた、教室内ではにやにやとした視線を向けてくるクラスメートや心配そうに見てくる赤条等がいた、幼馴染の咲はにやにやしている側だ、裏切りやがって、そう悪態をつきながら黒沢と教室を出た。

「先生」

「ん?」

「あの」

「お前にお客さんだ」

「お客さん?」

飛鳥が質問を言う前に返事をしてきたが、その内容がいまいちピンと来ない、お客さん、ここは学校だ、生徒個人にお客さんが来るなんて事は滅多にない、そして妙に楽しそうにしている黒沢の事も酷く気になる、黒沢は心の底から楽しいと感じている時は唇を舐める癖があるのだ、そう考えて面倒な予感を感じてしまい飛鳥は肩を落とした

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