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ゲームの世界が現実に  作者: わけわかめ
Ver,1 Assimilation Game
8/15

融合、そして、同化 その4

「オーガ!?」

確かキャラメイクでチラッと出たような…

「わかめん、考えてることはわかるわ。キャラメイクででた鬼人とは別。種別的に鬼人は人族で、オーガは魔物。鬼の力に飲まれた、というのが通説よ」

「…つまり?」

「力強く硬いってことよ。ほら、カナカムがもう戦ってるわ」

幾度も繰り出される重い一撃を避けながら隙を伺い、足を狙って突く。

転倒狙いか?

「わかめんも行ったほうがいいと思うわ。だって私の攻撃は一撃一撃は弱いから硬い相手には向いてないもの。だけど、わかめんのスキル上げにもいいと思うわよ」

「了解。ちょっと行ってくる」

連続縮地で近づき、羅刹那で足を切る。

「GYALUU!?」

オーガは体勢を崩し膝をつく。

一時だけだが隙は生まれた。

「センキューわかめん!荒ぶる槍は疾風の如し(サイクロンスピアー)!」

離たれた突風は腹を貫き壁へと衝突し消散する。

ただ、内臓を引き出すだけでは意味がないらしい。

「グロっ…」

身体に穴空いてるし内臓が見えてるよ…

「…そうね。でもそのかわり部位破壊がしやすいから私は好きよ。グロが苦手な子達はゴーレムと幽霊メインで倒してたわね…全年齢対象なのにグロ要素が高かったのはそういう事だったの」

「…とりあえずかなり弱ってるな。動きが鈍い」

さっきまでが新幹線だとすれば今の速度は新快速ほど。

さっきの状態と比べればまだ目で追える。

「あとは首をはねれば倒せるはず!…私の槍受けたのに死なないなんて頑丈ね」

「だろうな。また行ってくる」

1回目の縮地で左から敵のレンジ内へと入る。

もう一度されるものかとオーガが右腕で殴ってきたが、二度目の縮地で腕の上へ。

驚き戸惑っているオーガの腕を足場にし、三度目の縮地。

すれ違い様に羅刹那を首に当て、そのマヌケな顔が地に落ちた。

「…っと…ふぅ…疲れる」

着地とともに少し立ちくらみがしたが縮地の影響だろうとスルー。

…討伐経験値が入ってレベルも上がったな。

もしかして初討伐ボーナスもあるのか?

「ナイスわかめん!…それにしてもボスなんて初めて見た…何て急に出てきたんだろ?」

「β版はあくまでもお試しだったのかしら。確かによく考えたらβ版はかなり行けるところは狭かったわね…」

「そうなのか?」

「…ええ。この洞窟の入り口と南の沼地の出口の渓谷が落石で塞がれていたわ。だから私達は唯一行ける比較的高難易度な北東にあるボルボ火山でレベリングしていたのよ」

だから森の遺跡も知ってたのか。

やり込んでないと知らないよなそんな事

「山は登ろうとしたんだけど邪魔が多かったよね…カラスコロス」

カナカムから殺意がはみ出している。

その殺気を戦闘中に発揮してもらいたい。

「…私達はすぐ諦めて火山でレベリングをしていたわ。誰かがクリアしていた気がするけど…」

「そんな人いたっけ」

「……私も記憶が曖昧ね。今のは忘れて」

ギルマスよりもその参謀の方が知識が多い…やはりギルマス無能説は本当だったか

「わかめん、今変なこと考えたでしょ」

「……そんなことない。それよりドロップはなんだった?」

「えーっと……オーガの皮と爪だけ。経験値は沢山入ってる」

「私も同じよ。経験値がおいしいわ」

「………俺は角もあるな」

もしかしてラストアタックボーナスってやつか

「運がいいわね」

「ならわかめんが持ってて。もしも必要になったらお願いすると思う」

「了解。帰ったら倉庫に入れておく」

流石にレアアイテムを独り占めするのはな…せめて共有に入れておきたい。

そんなことを考えながら他に何か落ちていないか周りを見渡す。

…オーガが落ちてきた上に空洞がある気がする。

「カナカム、上に俺を吹き飛ばせるか?」

「大丈夫だけど…どうして?」

「…上に宝がありそうだからな」

「分かった。怪我しないでね」

俺をつかんだカナカムが上へと投げ飛ばした。

そして上昇気流のような風のおかげで態勢を持ち直し、縮地で空間に足をつけた。

「成功だ。少し探索するから休んでろ」

「うん、分かった。降りる時はまた言ってね」

懐中電灯で暗闇を照らす。

…何かが光った気がするな

近づいて確認すると何処かのチャンピオンベルトが。

何処かの国の字だとは思うが全く読めない。

CABの文字は基本的に日本語だからな…こういうオリジナル言語は読めない。

…というか錆びてるし読ませる気もないだろ

「とりあえず持って帰るか…他マトモなものもないしな」

再びカナカムを呼び下へと戻る。

下にアイテムはなにもなかったらしい。

「わかめんは何かあったの?」

「…これがあった」

さっきのチャンピオンベルトを渡す。

「…初回討伐の隠しボーナス的ネタ装備かな」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

オーガのチャンピオンベルト

オーガリアの洞窟に住みついたオーガチャンピオンの遺品。

老朽化による錆で本来の効果は発揮できていない。

STR +10

特殊効果

再生(小)

女性装備不可

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「……私達は装備できないしわかめんが装備したら?」

「いや売ったほうがいい。物好きが買うだろ」

絶対に装備したくない。

ダサいし俺に似合わないだろ

「…確かに。ならこれは店で売る」

「そうしてくれ」

サクヤとも合流し出口から外へ出る。

洞窟のジメジメした感覚から解放され、清々しい気分だ

「よし、乗って!早く次の街に向かうよ!」

「事故っても知らないからな」

…さっきの石畳に比べればまだ質は高いけどな

「わかめんはシートベルト忘れないでよ?」

「わかってるわかってる」

「…私も忘れそうな気がするわ。シートベルトに気がつかないって…わかめんは天然キャラなのかしら」

「そんな訳ないだろ」

どこが天然なんだ…

「んー………この先に城壁が見えるからあそこが次の街かな。10分ぐらいで着きそう」

「…俺は疲れたから寝る。着いたら起こしてくれ」

「おやすみ、わかめん」

…俺に戦闘は向いてないかもな…わかってる事だが




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「…きて……か…ん…」

「ん…もう着いたのか…」

今日はあの夢は見なかったか。

なんだろうな、あの夢は

「わかめん起きた?」

「…一応目は覚めてる。で、外が騒がしいが何かあったのか」

歓声のようなものが外から聞こえる。

かなり騒がしいが、不思議と嫌な感じはしない。

「あそこの洞窟のオーガを倒した事でステートの街との交易路が復活したの。だからこのマーチェンの街の人達が騒いでるんだって。商会長から代表して報奨も貰えるから早く行くよ」

…初解放ボーナス多くないか?

車を降り目の前の一際大きな建物の中へ。

それと同時にどこからともなく現れた美人ハニトラに奥への応接間へと案内された。

応接間の中にいたのはこれまた『大商人』といえばを体現したようなちょび髭の小太りの恰幅のいいステテコパンツを愛用してそうなおっさん。

当たり前のように服には無駄な装飾をつけている。

……いや、装備の素材の質はいいのか。

効果が多すぎて逆効果になっているだけだな

「儂はこのマーチェン街の商会長のディマーシュー・ハッザーじゃ。早速礼を言おう、ラナウェイ・ファクトリー。オーガリア洞窟に住み着いたモンスターを排除してくれて本当に助かった。彼奴のせいでステートとルリトとの取引が滞っていてな、儂らにも大打撃だった。高ランクの冒険者を派遣しようにも生憎出払っておったし、賞金首に指定しても全く効果はなかったからの…そうじゃ、本題を話そう。褒賞として賞金100万チェインに加え、このリストの中にあるものならなんでも一人一つ与えよう。本来なら一つだけじゃが、三人でやってきたお主らへの儂の投資じゃ。強いものとは個人的にも繋がりは持っておきたい。これからも宜しく頼もう」

…セリフが長いぞこのジジイ

渡された巻物…じゃない、スクロールを眺める。

よくわからないが古今東西の珍しいものが並んでいるらしい。

…個人的に気になるのはスキルの書だ。

使用すると本来習得できないスキルも習得できるらしい。

……わざマシンのスキル版ってことだな

「仲間と相談してもいいかしら?」

「構わんよ」

サクヤが少し寄れとジェスチャーで呼んでいる。

…俺が欲しいものも特にないし二人の得になるならいいか。

「私はこの店舗兼住宅がいいと思うわ。この街は商人街だから貰って損は無いはずよ」

サクヤは後の利を取るか…さっきの雰囲気を見る限りだとこの街は賑わっているしな。

それもアリだな

「…私はあっちの店も気にいってるから、端の方にあるこのチープワープゲートがいいと思う。それなら二つとも経営できるから」

ああ、その問題があったよな。

カナカムに経営を任せているからそこを失念していた。

通勤なんでしたことも無いからな…それも店舗を貰うならほぼ必須か

「……なら俺は何を取るべきなんだ?」

「わかめんは…好きなものを取ればいいわ。私のオススメは…そうね……このスキルの書なんてどうかしら。スキルポイントの消費無しでスキルが習得できるの。種族、ステータス的に困難でも習得できる優れものよ。地人はAGIが低いから…機動系スキルを取るのが丁度いいかしらね」

「…機動系スキル……これはレアアイテムじゃないか?」

スキルの書ではなく、『突破の書[速]』というアイテム。

他と違い習得できるスキルが書いていないが少なくとも速度に関するものだろう。

「決まったのかね?」

ハッザーが好奇を目に浮かべながら問いかける。

「えぇ、住居兼店舗、チープワープゲート、突破の書[速]を戴くわ。それで、受け取りはいつになるのかしら?」

「ほうほう…それを選ぶとは……ならば突破の書は今渡そう。ラッカー、持って来なさい」

少し驚くような表情を見せたが、それを隠しながら控えていた美人どうせハニトラに取ってくるように指示した。

…紅茶を一杯飲む間に再び控えめな足音が聞こえてきた。

かなり早いな

ただの美人ハニトラではないらしい。

「お持ちしました」

「うむ。では、これは君に」

「…感謝する」

早速受け取り中を見る。

…これ……あぁ…解読法は知ってるが今は無理だな。

後でやるか

「その本は儂が使用するはずだったが数字しか書いておらず、中が読めずに諦めておったのじゃ。どうじゃ、もしも無理だったのなら…」

「いいや大丈夫だ。これと同じようなものを見たことがある。」

中身はモールス信号(・・・・・・)だ。

変則的に0と1で書かれているが前にやったことがある。

問題はこれがアルファベットかひらがな変換かということだが…どちらにしても機械を利用しよう。

「そうか…もしも成功したなら教えて欲しい。他の突破の書も見つけ次第貴殿に売ろう」

「よろしく頼む。数日かかると思うが…気長に待っていてくれ」

…よし、これでレアスキルが増えるな

「……ねぇサクヤ、わかめんって意外と賢いの?」

「そうね…少なくとも赤点スレスレで死にかけていたカナカムよりは賢いと思うわよ」

「………」

二人がイチャついているがお前らの出番だぞ

「そして君達二人の要望だが…彼の解読報告の時には譲渡できるようにしておく。拠点は持っているかね?」

「ええ。私達はステートの街にあるリニッジグという屋敷を拠点にしているわ」

「ふむ…あそこか…記憶しておく。…では、改めて礼を言わせてもらおう。本当に、ありがとう」

ハッザーと固い握手を交わし外に出る。

ステートの街とは違った賑やかさだな。

「…そういえば、ワープゲートがあるなら街と街の間にもあるんじゃ無いのか?」

実際、ワープがなければ徒歩、もしくは馬車・自転車になるだろう。

「確かにそうね…私は何かオブジェの形をしていると思うわ」

…ステートの街のオブジェは…特に無かったような気がするが

「私も疲れたし噴水で休憩しよっか。もしも無かったら私の団扇で屋敷に戻ろうよ」

…カナカムとサクヤはベンチに座り、俺は噴水の淵に座る。

ついでにステータスでも見てみるか……ん?

後ろの噴水が少し光ったような気がする。

もしかして……

噴水に向けてインベントリなどを開くように力を込める。

…天に光の線が登った。

『チューリアワープゲート[マーチェン]が解放されました』

………何か聞こえたんだが

「わかめん!?何したの!?」

「ステートの方からも光が見えたような…気のせいじゃないわよね?」

二人が目を見開き驚愕の表情で聞いてくる。

…ラノベでもこういうのよくあるな

「……この噴水で街から街に転移できるらしい」

チューリア…確かこの国の名前だったな。

ということは国から国にワープするのは現状不可能と…

「へー……なら、私の団扇は無駄遣いせずに済んだね」

「そういうことになるわね。早速…初乗りいくわよー!」

「おう」

少しテンションの高いサクヤを横目にウインドウを操作する。

未到達地点は靄のかかった空撮かデフォルメで記された地図の横にあるリストを操作してステートの街を指定する。

…二つしか選択肢はないがな

決定すると体が浮き上がり、噴水の中へと突っ込んだ。

そのままSFの移動チューブのように噴出口を逆流し、気づけば外に飛び出した。

地面につく前に一度ホバリングし着地。

見慣れたステートの街だ。

………予想通り、マーチェンと同じくガヤ《プレイヤー&住民》がこちらを見ている。

「よし、夕日も見えて来たから二人とも帰るぞ」

「そうね。今日は疲れたわー…」

1番の対処法は何事もなかったかのように振る舞うこと。

あたかも当たり前であるかのように振る舞えば問題はない。

「おいお前ら、今のはなんだ」

やけに顔だけはいい全身黒塗りの皮鎧の男とその取り巻きが前を塞いできた。

どうせ元々はガキ(小・中学生)だろう。

……今の俺が言えたことじゃないがな

「…私、今は疲れているの。知りたければ貴方が試せばいいじゃない」

少し苛立ちを込めた凄むような声でサクヤが言う。

…あまりにもしつこいようならGMコールを…あるよな?

「うるせぇな…俺のレベルは16だ!お前らのようなヘナチョコとは違うんだよ!特にそこの初期装備!」

「……わかめん、今の私達のレベルは幾つかしら」

「一応確認する」

ステータスはと…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

名前:わかめ

種族:地人

ドワーフ

ジョブ

制作者

レベル 30

所持金:0チェイン

HP:78/78

MP:78/78

STR:214

VIT:78

DEX:214

AGI:31

INT:195

装備▼

両手:徹甲刀

頭:なし

体上:布の服

体下:布のズボン

靴:革の靴

スキル▼

スキルポイント:93p

・戦闘

刀術:LV.3

縮地 :LV.4

+抜刀術:LV.1

・魔法

付与:LV.1

・生産

採取:LV.1

製作:LV.8

・特殊

鑑定:LV.3

称号▽

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

おぉ、レベルもかなり上がってるな…抜刀術だけが全く上がらんが。

…あと、所持金が0なのは全て倉庫にぶち込んでいるからだ。

素寒貧じゃない………よな?

「俺のレベルは30だ」

「…なっ!?」

ステータス画面は…見せれるみたいだな。

名前とレベル以外を隠して目の前に突き出す。

「私も33。サクヤは?」

同じくカナカムも出したらしい。

「私も同じよ。……さて、もう一度 貴方の レベルを 聞かせて もらえる かしら?」

サクヤが顔は笑いながらも声は脅すように低い声で語りかける。

しかし、相手は三つのウインドウを見せられ戦意喪失しているらしい。

取り巻きも帰りたそうにしている。

……どうせ俺と同じβ落ち組だろうな

「じゅ…じゅう…ろく…だ…」

…サクヤ、本当に威圧スキル持ってないのか?

ここまで弱らせられるなら…持ってない筈ないよな…

「そう……なら、私達よりヘナチョコ、ね?」

あぁ、遂にオーラが出たな。

これは言い逃れができない……帰ったら改めて全員のステータスでも確認するか

「す…すいませんでしたぁぁぁっ!?」

邪魔者達はいつの間にか走り去り、道も空いた。

…そのあとは何もなく屋敷へと帰還し、ホテルに帰ってからは晩飯を食べて寝た。

ちなみに今日のバイキングでは久し振りにチョコファウンテンをした。

…ビターチョコだったので甘ったるいということもなく、チョコの苦味と苺の酸味、そして二つの甘味が合わさって美味かった。


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