融合、そして、同化 その1
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CAB運営より
アップデートのお知らせ
Ver,1.0
Assimilation Game
変更点
1、『リアルワールド』の追加
・リアルワールドには希少なアイテムやモンスターが眠っています。
・リアルワールドに存在する物体は、インベントリに格納することでCAB内に持ち込めます。
・リアルワールドで死亡するとGAMEOVERとなり、復活できません。
2、チェインの為替機能の追加
・1円が1チェインの固定レートで換金できリアルワールドではチェインのまま使用できます。
・CAB内ではチェインのみ使用できます
3、『偉人装備』の追加
・皆さんのご要望にお応えし、偉人装備を新しく追加いたしました。
・これからのアップデートでも追加致しますのでご期待ください。
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「…何だコレ」
俺達が和気藹々と話していると目の前に長ったらしいウインドウが表示された。
閉じても再表示可能なのを確認し、もう一度確認する。
「リアルワールド…ねぇ……私達の世界もゲーム内、ってことかしら」
「…私のコレクションも持ってこれそう…」
「自転車を使えたのもそういう訳か」
金もあちらと同一と考えていいだろう。
そしてレアアイテム・モンスターは是非とも行くべきだ。
現実と同一であるなら、数に限りがあるはず。
宝を取る前に取られるなんて…
「ゲーマーの名折れだ」
…勿論自称だけどな。
「そうね…なら、リアルでも合流する?」
「…リアルワールドでも同じ座標…同じ場所に集まろう、って事か」
「そうそう。私、ある程度ならお金出せるから…まずは南から行こうと思うの」
見事なまでにスネを齧ろうとしてるな…便乗させてもらうが。
「なら全員がどこに住んでいるか言わないとな。集合場所を決めておかないと面倒くさい。ちなみに俺は大阪だ」
「私は…九州よ。新幹線で合流するのが楽かしら」
サクヤは九州…南の端か…
「私は北海道…北の端…」
カナカムは北海道…
「……全員バラッバラだな」
「なんでよ!散らばりすぎじゃない!?」
「私達に言われても…」
「俺達は親の元に生まれただけだしな…」
カナカムが机を叩いて訴えるが、これに関してはどうしようもない。
文句は神にでも言ってくれ
「…分かった。サクヤは博多駅で待っていて。わかめんは新大阪で私と合流よ」
「はいはい。無茶はいつものことね」
「了解」
新大阪ぐらいなら…まだ簡単だな
「それじゃ私は早速新幹線に乗ってくるわね!ログアウト!」
カナカムが一瞬にして消えた。
「…それじゃ、私達も行きましょうか」
「……だな」
ログアウトは…
「着いたら一旦ここに帰ってくるわ。また後でね、わかめん」
「おう。ログアウト」
身体が飛ぶように、現世へと…
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「早速私のコレクション達を回収しなきゃね!」
ログアウトした私は、まず部屋のものを回収する。
骨董品はもちろん、服やアクセサリーも全て。
「あ…昔こんな物も集めてた気がする…」
…って感傷に浸ってる場合じゃなかった。
二人と合流しなくちゃ…
「車の鍵と…別荘の鍵…あと…」
必要なものと持って行くものに分けてインベントリへ収納する。
今日はもうメイド達はいないはず。
しばらく帰って来れないから…置き書きしておこうかな
「うーん…『ちょっと旅に出てくる。探さないで』…これでいいかな」
メモ帳に直接書いてテーブルの上に置く。
忘れ物が無いか確認して部屋を出る。
ここからは見つかっちゃいけないから最短でガレージに行かないと。
「…お嬢様?」
「………あっ」
部屋に出て1分も経ってないのに…
「…ちょっと眠ってて♪」
「え………」
壁ドンで抑えつつ、調合の試行錯誤中にできた眠り粉を吹きかける。
「…zzz」
眠った彼女をゆっくりと床に寝かせ、再びガレージを目指す。
愛車の赤いスポーツカー、一番長い付き合いの黒い大型バイク、今ここには無い白いクルーザー。
だけど、サーチャーは幸運なことに九州に停泊中。
三つとも回収できる。
「逃走なら…お願い、スカイクレーパー!」
スカーレットを格納し、ガレージを開く。
「3…2…1…開いたっ!」
吹かしていたエンジンをギアと噛ませて地を駆ける。
敷地の外へ出ると、既に日は沈んで、信じるものは目とヘッドライトだけ…だけど、通行量が無い今ならいつもよりも煌めくことができる。
「スカイクレーパー…フルスロットル!」
指令に忠実に、ソレが闇の中で咆哮し、閃光は尾を引いて闇に輝く。
「久しぶり…この感覚…!」
搭乗者とともに鼓動は高まり、千早振る針は地獄を指す。
「駅まで付いてきてね…スカイクレーパー!」
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「…御爺様、まだ起きてるのかしら」
整理を終わらせた私は母屋の御爺様の部屋へと向かう。
もう隠居なされたけれど…早寝早起きは欠かさないから…
「血花、入りなさい」
起きてらしたのね…
「…失礼します」
襖を開け、部屋の中へと足を踏み入れる。
御爺様の招かれるまま座布団の上に正座する。
「血花、何か用があってきたのだろう?」
なんでもお見通し…やっぱり御爺様には敵わないわ…
「…はい。私は今日から旅に出ることになりました。どこへ行く、いつまで続くかもわかりません。それに、危険も伴います。ですが…私は…どうしても行きたいんです」
「…そうか」
私の言葉を聞かれ、御爺様が何かを思い出すような仕草をされる。
すると、徐に後ろに祀られていた刀を…
「…血花、此れは先祖より受け継がれてきた短刀じゃ。儂は此れが仕事の褒美として昔の殿様に授けられたものとしか知らぬ。そして、此れは当主に代々授けられていくこととなっておる。ならば血花、お前に授けよう。」
両手で慎重に、大切に受け取る。
目には涙が溢れ、咽び泣いているようにも見える。
「御爺様……!」
「行け、血花。その瞳で世界の真髄を見極めてくるがいい…絶対に諦めるでないぞ」
「はい…っ!」
最早長居は無用。
立ち上がり、部屋を出る。
「行ってまいります、御爺様」
背中に感じる暖かい視線を背に受けながら、家を出る。
「車を持って行くわけにはいかないし…どうしようかしら…」
と考えながらガレージの前を通ると、一人でにガレージの扉が開く。
そこには見たことのない車があった。
銀色の、言うなればロードスター。
ボンネットにある手紙を読めば、御爺様からの餞別であることが分かった。
同梱されていた鍵でエンジンを始動し、力強い振動が座席にも伝わる。
「重ね重ね…感謝いたします…御爺様…!」
そして、流星は、山の闇へと消えた。
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「さて、俺もそろそろ行くか」
私物の中でも必要なものとコレクションだけ回収し、家を出る。
俺は地下鉄に乗って駅を目指す。
家から出るのは名残惜しいが、長い旅だと考えれば普通だろう。
ギルマスはそろそろ駅に着いた頃か。
…今日は客足が少ないからか、見慣れたはずの企業の広告がやけに目に入る。
あの顔、どこかで見たような…
『まもなく新大阪です』
…もう着いたか。
駅の一角にあるベンチ付近でログイン。
「…サクヤはもう着いたのか」
「……そうよ」
どこか元気がないような、それでいて何か吹っ切れたような、そんな態度だ。
「何かあったのか?」
「…なんでもないわ。気にしないで」
「何かあったなら無理せず…いや、深追いはしないでおく」
関係がこじれたら大変だからな…
「ありがとう、わかめん」
「…ああ。俺は部屋に帰って寝るから…カナカムが来たら起こしてくれ。」
サロンを出て自室へと帰る。
掃除も兼ね、眠くなるまでの暇つぶしとして部屋を整理する。
そこまで苦ではないはずだ。
「はてさて……何か出るか…楽しみだ」
次回にちょっとした設定開示コーナーを置くかもしれない
置かないかもしれない